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90話 帰還



「このダンジョンに魔力がなくなってきているってどいう事なんだ?」


「そのままの意味よ。このダンジョンはもうモンスターを生み出したりする魔力がもう生み出されなくなってきてるってこと。」


「そうなのか…………だけど何で…………。」


「十中八九あの腕が消えたからだと思うわ。」



そういえばさっき陽夏はあの腕からこのダンジョンの魔力が生み出されていると言っていた。


つまり魔力が無くなったこのダンジョンは無力化されたということか?


俺がそのことについて聞くと、陽夏はこくりと頷いた。



「今から探せば残ったアイテムとかは出てくると思うけど、それ以上のアイテムは出てこないと思うの。モンスターはどうなるかは分からないけど、少なくとも弱体化するか、それに準じた様子になると思う。」


「そうか…………。」



俺は落胆した。


このダンジョンを制覇すればゆうちゃんを助ける術がきっと見つかると信じていたから。


ここまで来て何の成果もないとなると流石に落ち込むのは仕方の無い事だろう。


それでも俺は諦めない。



「じゃあ、とりあえずホテル街に戻るか。ついでにアイテムとか探しながら戻ろう。」


「そうね…………。」


「じゃあ早速…………って、お前その刀どうしたんだ?」



陽夏の刀は異様な形…………いや、俺が見た中では少なくともおかした形はしていないように見えるんだが、それでも何か妙だ。


刀な筈なのだが、盾や弓などの少なくとも刀では無い何かにも見える。


陽夏はそれを見るが、特に驚きもせず、それを振るった。


その瞬間、それははっきりと刀になった。


俺は意味が分からず混乱していた。



「これ…………何?」



陽夏は自分がやった事にも関わらず、自分では何が何だか分かっていないようだった。


陽夏は不思議そうに刀を見つめる。



「…………こんなの知らないけど、何故かこれの使い方がわかる気がする。」



そう言うと陽夏は刀を持ち替え、いつの間にかそれは盾になり、弓になり、剣になり、杖になった。


俺はその様子を唖然としながら見つめる。


明らかに異様な様子に恐怖すら覚えた。



「それってまさかさっき思い出したとかいう記憶が関係してたりするのか?」


「…………多分ね。少なくともあの記憶を思い出してから使えるようになった見たいだわ。」



またあの記憶か。


少なくとも今の所いい事しかないな。


陽夏が刀以外の武器を使っているところは見た事がないが、他の武器を使えるようになれば戦闘の幅が広がるだろう。


この前戦った弓の女の人のように遠距離から攻撃出来たりすれば強いだろう。



「それ以外に何か使える記憶とかは無いのか?」


「多分あると思う。けど、今はまだ使えない。今はただ記憶にあるってだけで、具体的には思い出せない。」


「そうか…………。」



まぁ、これもこれから他のダンジョンを攻略したりすれば解き明かされていくのだろうか。



「まぁ、とりあえずホテル街に帰ろう。いつまでもここに留まっていても意味は無いからな。」


「そうね、ホテル街のみんなも心配だしね。」



謎は増えたばかりだったが、収穫もあった。


まずあの石を持って帰ることによってホテル街の防衛力を大幅にあげることが出来る。


それに俺達自身の能力も格段と上がった。


特に陽夏何かは今までとは比べ物にならない程に強くなっただろう。


陽夏にも俺にも沢山の謎が残ってしまった。


しかし、それも収穫と言えば収穫だろう。


その謎がある事でもしかしたらゆうちゃんを救う手がかりになるかもしれない。


その可能性が生まれたというだけで上出来だ。



「じゃあ、走って帰るか。モンスターも弱体化するみたいだし、危険は無いだろうし、さっさと帰った方がいい。」



今までならずっと走っていたら危なかったが、今はモンスターもいないみたいだし、しかも俺のスキルの運搬があるため陽夏の体力もそこまで消費されない。


だったら時間短縮にも走った方がいい。


陽夏はそれに同意し、ダンジョンを駆け抜ける事になった。


最初の方がモンスターが出てきた。


しかし、そのモンスター達は陽夏の言う通りかなり弱体化していて取るに足らない存在だった。


そのため走るのは止めずにサクサクと倒していった。


そして10時間ほど経ったあとはもはやモンスターが出てくることすら無くなった。


どうやら本当にあの腕が魔力を生み出していたようだ。


あの後もモンスターは出ること無く、俺達に残った障壁は階段を探すことだけになった。


モンスターが居ないことは俺達の帰路を単調なものとしたが、それでも陽夏と色々な謎について話しながら走るのは意外と楽しかった。


それだけ話してもそこまで謎が解明された訳では無いのだが、それでも帰路を楽しく彩ってくれたのは確かだ。


正直話す事も尽きてきた今新たな話す話題は救世主的な存在だったのだ。


そうこうしているうちに見慣れた眩しい光が身を包む。


帰り出して2日程だった時のことだった。



「あー、やっと帰って来れたわねー。」



陽夏が伸びをする。


俺達はやっとホテル街に帰ってこれたようだ。


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