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86話 謎の部屋



運搬を手に入れてからの探索はかなり楽なものとなった。


テンポが早くなったのかと言われるとそういうことでは無いのだが、やはり楽というのは精神面に多大な影響を与える。


確かに欲しいアイテムが出なくてがっかりはするが、それでもこれまでとは違い、次に期待しようという気持ちになれる。


この気持ちになれるだけでもその間の探索が非常に楽になる。


それのお陰で今までは2人ともイライラしたりしていたりしたのだけど、今は談笑するくらいで特にイライラしたりはしていない。


それにまだLv1だという事も考えるとまだまだ楽になるだろう。


そう思うと探索にも精が出るというものだ。


その後も俺達は探索を続けたのだが、陽夏の剣術のスキルが鬼剣術に昇格した段階でそれ以上上がらなくなってしまった。


ほかのスキルは上がっていったが鬼剣術だけが上がっていないことを考えると、1回昇格した場合はもうそれ以上はレベルアップしないのだろう。


そう考えると俺がこの石を使えないことにも辻褄が合う。


俺のスキルのほとんどは昇華をしているものだし、使えなくてもおかしくない。


例外としてここで新しく手に入れたスキルである運搬はまだ昇格を果たしていないため、レベルが上がるだろう。


とすればこの残った石は他の人に使わせることが出来るだろう。


そうすればここら一体の防衛力もあがるだろうし、出来ることだって増える。


例えばダンジョンの攻略に人員を割くとかな。


世界中でもとりあえず今を生きるのに必死でそこまでダンジョンは攻略出来ていないらしい。


行けたとしてもだいたい1日程で行き来出来る程度までしか進まないため攻略が進まないらしい。


多分1日ほどであのだだっ広い部屋に辿り着くと仮定してもあそこにはまだ辿り着いていないのだろう。


だからこそこんな石がある事も知られていなかったのだろう。


俺達はそのままの勢いで石を集めまくる。


剣術の石かそれ以外の石なのかは分からないがその石もかなり集まり、陽夏のスキルもかなりの数が昇格した。


俺の運搬も6レベルになり、その度に探索が楽になった。


陽夏は「私の今までの努力って…………。」と言って虚無っていたが、仕方の無い事だろう。


何体も何体も命の危機に晒されながらもモンスターを倒してやっと1レベルあげることが出来る程度のものだったのがここまでサクサクと手に入れることが出来てしまえばそうなるのも分かる。


ただ、その魔力には身体能力などをあげる力もあるらしいし、無駄な事では無かっただろう。


俺は陽夏を慰めつつ探索を続けた。


そうしているうちに1日ほど経った。


陽夏は運搬の効果なのかまだ疲れていないとは言っていたが、流石に睡眠は取った方がいい。


最近ずっと眠っていない俺が言うのもなんだが、運搬のスキルの効果で疲れが無いとはいえ睡眠にはそれ以外の効果も沢山ある。


それに睡眠を取らなかったことによる弊害の有無だって分かっていない。


ここからもまだまだ探索は続ける訳だし、ここらで陽夏がダメになってしまえばここからの探索は厳しいものとなってしまう。


それだけは絶対に避けなければ行けないものだ。


そう陽夏に伝えると陽夏は渋々と言った様子でまた俺を枕にして眠った。



◇◇◇◇



陽夏が寝ている間に俺はふと思い箱を開け始めた。


良く考えればこの時間に箱を開けていれば良かったよな。


何故それに気が付かなかったのか分からないが、今からでも遅くない。


俺は陽夏が寝ている間、箱を開け続けた。


今の俺の力にかかればここら一体を埋め尽くすのは造作もない事だ。



「…………何これ?」


「ん? あぁ、おはよう。見ての通り箱を開けていたんだ。」



俺の周りは箱でいっぱいになっていた。


やはり空き時間は有効活用しなくてはな。


そう思っていると陽夏は深いため息をつき、顔を抑える。



「私これでもピチピチのJKなんだけどなー。」


「おう、それは知ってるぞ、出会った時に話してくれたじゃないか。」


「それはそうなんだけどさぁ。」



陽夏は呆れ顔でこちらを見る。



「そりゃゆうちゃんが居るから他の女の子が目に入らないっていうのは分かるし好感も持てるんだけどね…………。」


「ん? ゆうちゃんがどうしたんだ?」


「何でもないわよ、もう、早く行きましょ!」



陽夏は急に起き上がり、先に進もうとする。



「あっ、ちょっと待てよ!」



階段はもう前日のうちから見つけていた。


しかし、今日は一旦寝ようということになったのであがるのは明日になっていたため、陽夏はずんずんと進んでいく。


1人で行動すると非常に危ないので、俺は急いで追いかける。


すると、陽夏が階段の前で止まった。



「何よ、これ…………。」



陽夏の驚く声が聞こえる。


俺も急いで階段を駆け上る。


そこにあったのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



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