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63話 出発



俺は陽夏が起きるまで箱を開けたり、箱を並び替えたりして暇を潰していた。


俺はスキルがあるので寝なくていいが、陽夏のあの気持ちの良さそうな顔を見ていると俺も少し寝たくなってきた。


しかし、それと同じタイミングでカーテンの隙間から日が漏れ始めた。


…………やっぱり起きていよう。


俺はカーテンを開け、陽の光を入れる。


陽夏は陽の光を避けるようにごろんと寝返りをうった。


この様子だとまだまだ起きなそうだな。



「おーい、陽夏、朝だぞー。」


「むにゃむにゃ、ちょっと晴輝、それは朝ご飯じゃなくて土だよぉー。」



こいつはなんて夢を見てるんだ、どうやったら俺が朝ご飯と土を間違えるんだよ。



「おい、起きろって。」



俺は陽夏の肩を揺さぶった。



「んぇ、晴輝?」



陽夏寝ぼけて居るのか何度も揺さぶっても薄目を開けるだけで起きようとしない。



「はぁ、仕方がない。もう少し待つか…………。」



俺は陽夏の隣に座った。



「…………チラッ。」



あれ、今なんか目が開いたような…………。



「おーい、起きてるのか?」



返事は無い。


うぅん、寝ているようだし、気のせいかな…………。



「…………チラッ。」



うん。今完全に目を開けましたね。



「おい、起きてるのは分かってるんだぞ、早く準備してダンジョンに行くぞ。」



そういうが、陽夏は頑なに寝たフリを続けている。


俺は陽夏の脇腹をツンっとした。



「ひゃっ!?」



その瞬間陽夏は飛び起きて壁まで後ずさった。



「な、何よ…………。」


「やっと起きたな。」



このまま寝続けられても時間の無駄だ。


俺にはそこまで時間は残っていない。


出来るだけ早くしないといけないから強硬手段に出させてもらった。


陽夏は起きてしまった事に気がついたのか、しまったという表情した。



「もぉ、もうちょっと寝かせてくれてもいいじゃない。」



陽夏はジト目で俺の事を睨む。


うん。まぁ、なんか陽夏程の美少女に睨まれたら嫌な気持ちよりも先にご褒美という言葉が出てきてしまうな。


まぁ、俺にはゆうちゃんが居るからご褒美では無いんだけどな。



「まぁまぁ、もう目が覚めただろ? 早く準備して出発しよう。」


「…………しょうがないわね。」



陽夏は渋々と言った様子で身だしなみを整え始めた。


歯ブラシなどの生活用品は隣の部屋等に置いてあった予備の物などを拝借して使ってもらってる。


俺は…………まぁ、なんか使わなくてもそこまで汚れてないし良いだろう。


どのスキルの効果かは分からないが、どれだけ適当な生活をしていても汚くならないのだ。


はっきりいって便利だ。


まぁ、そんなところなので俺は朝の支度をする必要が無いので、高校の頃に使っていた鞄の中に食料品や生活用品を詰めていった。


俺は別に必要無いが、陽夏には必要なので、用意しなくてはならない。


とはいえ、そこまで持っていくものも無いので、俺の支度はすぐに終わった。


だが、陽夏はいつの間にか洗面所で何やら色々やっているようだ。


多分俺は入らない方がいいと思うし、外から陽夏に支度は終わったかと聞くが、まだという答えしか帰って来なかった。


やはり女の子の朝の支度は大変なのだろう。


別に俺が女の子の生活など知ってるはずは無いのだが、よくそういう話は聞く。



やや経って陽夏が洗面所から出てきた。


洗面所から出てきた陽夏を見て俺はびっくりした。



すごい。


洗面所から出てきた陽夏はまるで別人かのような美貌を放っていた。


確かに前々から陽夏は美少女だったが、あまり資源に余裕が無いのかメイクや髪のセットなどはしていなかった。


しかし、俺の家に来てまだ電気も繋がっているためメイクや髪のセットなどもやった結果、いつもとは違う何と言うか、美少女JKと言った感じだ。



「ど、どう? 似合ってる?」


「あぁ、はっきり言ってめちゃくちゃ可愛い。モテるJKって感じだな!」



なんかこの表現は気持ち悪い気もするが、俺ももうほとんどおっさんなんだ。しょうがないだろう。


俺がそう俺の中では最大限の褒め言葉を陽夏に送ると、陽夏は少し赤くなってワナワナと震え出した。


え、まさか俺言葉のチョイス間違えたか!? それとも俺の言葉はそんなに気持ち悪かったのか?



「ひ、陽夏?」


「っ!? ま、まぁ、こんな事してもどうせダンジョンに行ったらぐしゃぐしゃになっちゃうんだけどね!」



そう言って陽夏は髪をわしゃわしゃとした。


良かった。別に怒っているわけじゃ無さそうだ。



「勿体ないな。別に今くらい良いだろう。せっかく可愛いんだから。」


「…………そんな事言われたら余計諦められないじゃない…………。」


「ん? どういう事だ?」


「何でもない!」



陽夏はサッと俺に背を向け、刀等を持ち玄関に出た。



「あ、ちょっと待てよ!」



俺は鞄を持って陽夏に着いて行った。


俺達はそのままゴブリンのダンジョンに向かった。


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