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42話 ダンジョンの無力化



俺はもう物凄い話術で2人を何とか納得してもらった。



「う、うぅん? まぁ、その子は孤児みたいだし手を出さないのなら一緒に居ることには目をつぶっておいてあげるわ。」



陽夏はまぁ、許しては居ないがしょうが無いと言った感じだ。



「お兄ちゃんはかっこいいから他の女の子が集まってきちゃうのはしょうが無い事よね! というかお兄ちゃんは私だけで独占してちゃ他の人が可哀想だよね…………。」



ゆうちゃんは納得(?)してくれたのか分からないが、まぁ、何かブツブツと呟いているだけで怒ったりはして無いし多分大丈夫だろう。



「まぁ、それは良いとして、ダンジョンの攻略は上手く行ったの? 晴輝の力は…………まぁ、言いたくないみたいだから言わないけど、君は結構強いみたいだし補給の問題が無ければかなり高くまで登れると思うんだけど。」


「その事なんだが、確かにゴブリンは大丈夫だった。あれならどんだけ増えても勝てると思う。高くなるにつれてゴブリンが強くなるという事は無かったんだ。だが、問題が発生した。…………謎の女の人が現れたんだ。その人はよく分かんない言語を話していて、よく分かんない技を使って攻撃してきたから多分俺達の敵だと思う。」


「晴輝が言った感じだとその所に他の防衛者とかが来てる可能性も少ないし、その様子だとモンスターの可能性もあるね。まぁ、取り敢えずはマスターに言ってみるのが早そうね。行くわよ!」



そう言って陽夏は俺の手を強引に引いて行った。


俺は為す術なく、無心で防衛者組合の中を通って行った。





◇◇◇◇




「へぇ…………。」



俺達がコナーにダンジョンでの事を話すと、コナーはそれ程驚いた様子を見せなかった。まるで分かっていたかのような反応だ。


コナーは少し考えたあと話し始めた。



「んー、実はね。君がダンジョンに行って少し経った後にある報告が入ったんだ。トレントのダンジョンが無力化したという報告だ。」


「トレントって言ったらあの警察署を襲ったやつか?」


「そうそう。そこが無力化…………というか、トレントが出なくなったらしいんだ。」



そうなのか。俺は別にダンジョンに詳しい訳でも無い。なんならそこら辺にいる子供に負ける程の知識量しかない。


だからなのか、その無力化という報告が、特段珍しいものと感じなかった。


が、陽夏は物凄く驚いた様子でコナーを問い詰めていた。



「ちょっと!? 無力化ってどういう事!? じゃああの周りにトレントは出なくなったって事!?」


「ああ。」


「それって、世界初の安全地帯が出来たって事じゃない!!」


「ちょ、話についていけないんだが。その、安全地帯って言うのはモンスターが出ない所って意味でいいのか?」


「そうよ!」



どうやら物凄く凄い事らしいのだが、いまいちピンと来ない。



「じゃあ、そこに移動したりするのかしら?」


「いや、今の所ここはとても住みやすいし周りのモンスターも少ない。とりあえずはここに住むつもりでいたんだけど…………晴輝君の報告でかなり状況が変わった。晴輝君が言っている女の人がホテル街に現れたりするんだとしたらここは地獄絵図になるだろうね。」


「そうね…………けどだからと言って住民をその安全地帯に連れていくってものキツイわよね、」


「うん。負傷者も大量に出ると思うし、最悪かなりの数の死者も出るだろう。」



あの女の人は物凄い戦闘力を持っていた。


あれに勝てる一般人は居ないだろう。


だからと言って避難させようにもこの人数だと守る切る事も出来ない…………どうすればいいんだ?



「うーん。最善はそのゴブリンのダンジョンに居たって言うその女の人を無力化する事なんだが、出来るかい?」


「絶対無理だ!」



いや、出来る可能性はある。だが、そんなことを言ってしまったら絶対何とかして行かせようとするに決まってるしな。


戦うのはいいが、絶対に勝てる相手にしか俺は戦いを挑みたくない。


故に今の状態でもう1回戦わせられるのは不味いのだ!



「えー、君でも勝てないレベルなのかい? 言ってる感じでは頑張れば勝てるかもってくらいだと思ったんだけど…………。」


「マジで無理! 瞬殺される!」


「そ、そんなに強いの…………? も、もうみんなを守れないじゃない…………!」



陽夏は頭を抱える。


少し罪悪感はあるが、俺が行かされる位ならこれくらいの罪悪感は楽勝で乗り切れる。



「そっか…………無理か。分かった!」



そう言ってコナーは立ち上がる。


そして部屋にあった書棚のような所から1枚の紙を取ってきた。



「はい! ここがトレントのダンジョンがあった場所! 君はここを調査してくれ! 安全そうだったら少しの犠牲を出してでもトレントのダンジョン付近に移住するべきだと思うからね!」


「え、俺の拒否権はあるの?」


「え、いや…………行ってくれないの?」



コナーはうるうるした目で見てくる。


くっ、この前は子ども扱いされるのは嫌だと言っていたくせにこういう時だけその見た目を武器に使ってきやがる!


ちょこざいな!



「うわー、晴輝こんな顔をしてる子の頼みを断っちゃうんだー。へー。大人気なーい。」


「分かった分かった! やるから!」


「「チョロっ!」」



うるさい! そんなこと分かってるわ!


まぁ、行くのはちょっと凪の事が気になるからだ。


あの人は別に仲がいい訳でもないが、知り合いではある。


背中を預けるというのはよく分からないが、距離感が縮まる効果でもあるのだろうか?


その凪は警察署に居たらしいし、そこに行ったら手がかりがあるかも知れない。



「じゃあ、ここだから! 気を付けてねー!」



コナーはダンジョンがある位置に丸をつけて地図を俺に渡してきた。


その地図にはダンジョンの表記は無い。


その表記はやはりダンジョンは突然出てきたものなのだと俺に再確認させた。



俺とゆうちゃんは休むことも無く、また外へと歩いていった。



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