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39話 鬼剣術


ゆうちゃんがゴブリンを俺に譲ってくれてからはサクサクと進んで行けた。


俺は勝手に塔を進んでいくにつれてどんどんゴブリンは強くなっていくものだと思っていたが、それは勘違いだったようだ。


何十階も登ったが、それでも強さは変わっているようには感じなかった。


ここまで来るのに休憩の時間も入れて15時間ほど経った。


2人ともご飯も食べなくてもいいし、寝なくても良いが、歩き続ければ疲れはする。


俺はスキルの効果で全然疲れないが、それでもゆうちゃんは疲れてしまう。


だから、ちょこちょこ休みを挟んだのだ。



「ねー、お兄ちゃん。後どのくらいで終わるー?」


「んー、分かんないなー。」


「えー!! 飽きた! お兄ちゃんと歩いてる時はイチャイチャ出来ないし! つまんない!」



むぅ。困ったな。歩いている時は周りを警戒しているのでゆうちゃんのイチャイチャは控えている。


休憩はその為に取っていると言っても過言では無い。


まさか無限に続いている訳では無いと思うが、あの見上げた時の高さを見るにまだまだ掛かりそうだ。



「分かった! 次の階に行ったら壁とか壊して個室作って思いっきりイチャつこう!」


「うん!」



俺がそう提案するとゆうちゃんの機嫌は一気に良くなったようで、早く行こうと俺の服の袖を引っ張ってくる。



「よし!」



俺はゆうちゃんを抱き抱えて全力で走った。


勿論振動でゆうちゃんがキツくない程度にだ。



「きゃー!」



ゆうちゃんは楽しそうな悲鳴を上げた。


周りを見ると遠くにゴブリンが見えるが、早く次の回に行きたいから素通りする事にした。


本気で探すと階段はものの数分で見つかった。


俺はその階段を駆け上がる。



「よし! じゃあイチャつくぞ!」


「いえーい!」



イチャつくと言ってもかなり健全な事しか出来ないのが歯痒いが、少しでも俺は天国に逝ってしまうレベルの嬉しさがあるからOKだ。



さて、イチャつくために周りから見えないようにそこら辺の壁を壊したりして簡易的な個室を作ろう。


イチャついてる時に周りからの邪魔が入るのは嫌だし、それに邪魔が入る=攻撃されるみたいなものなので危ない。


だから、これは一石二鳥なのだ。



俺は周りの壁を見る。



「あれ? 壁が無い? って、何あれ?」



俺は周りを見るが、先程までの雰囲気は無く、だだっ広い空間が広がっていただけだった。


まぁ、それだけならまだ良かったのだが、問題はその空間を覆い尽くすようにいるゴブリンの数だ。



「すごぉい! ゴブリンがいっぱい!」


「そう…………だな…………。」



この数はやばい。


ゴブリン一体一体はそこまで強い訳では無い。


だが、数も数だ。



ゴブリン達は俺たちの声を聞き、俺達の存在に気がついたのか、一斉にこちらを向く。



「げっ。」



まずいぞ。この量は流石にきつい。



「ゆうちゃん! 一旦逃げるよ!」


「う、うん!」



流石にこの数のゴブリンに睨まれるとゆうちゃんも怖いようで、不安げな表情を浮かべる。


守らなくては!


俺達は階段を降りた。



「このまま撒けたらいいんだが…………そうも行かないよな。はぁ、戦うしかないか。」



逃げながらチラッと後ろを見ると、階段からゴブリンが大量に降りてくるのが見えた。



「ゆうちゃん! 後ろに下がって隠れてて!」


「うん!」



ゆうちゃんはとてとてと走って行った。


こんな可愛い姿を他の奴らが見てしまったら絶対そっち行ってしまうだろうが、隠密のドレスの効果で気付かれずに逃げられたようだ。


こんな可愛い姿他の奴には見せたくないしな。特にゴブリンとかになんかな。



ゴブリン達はその量のせいで思うように階段を降りられていない。


あのだだっ広い空間で戦っていたら囲まれるだろうし、こっちに降りてきて正解だったな。



「さぁ! 来い! こっちだ!」



俺はゴブリン達を煽るように大声を出して、双剣を構える。


ゴブリン達の方を見ると、各々色んな動きをしながら向かってくる。


その全てを見極め、首撥ねていく。


攻撃は一回も食らわないように回避しながら攻撃を繰り返す。


いくら強くなったからと言って、体の硬さが金属のようになった訳でもない。切られたら少しは傷がつくし、攻撃を何度も何度も食らってしまうといずれは押されてしまう。



攻撃は最大の防御だとよく言うだろう。


俺は1番近くで俺を攻撃してこようと構えるゴブリンの首を落として、無力化して行った。


もう何体倒したのか分からないが、夥しい数のゴブリンの頭が床に転がっている。



「はぁ、はぁ。」



一旦後ろに下がった俺は肩で息をしながら体制を立て直す。


接近戦。しかもスレスレを交わしていくような接戦は体力の消費が激しい。



「しっかしいつまで湧いてくるんだ! キリがない!」



俺は吐き捨てるように叫んだ。


イライラするのもしょうがないだろう。さっさと終わらせたいのに一向に終わる気配がないのだ。


俺はさっさとこいつらを全員殺してゆうちゃんとイチャイチャしたいのに!



そこで俺はホテル街でウルフと戦った時の事を思い出した。


そういえばあの時、陽夏はウルフを1発で一掃していたよな。《鬼術》だったかな…………。


あれが使えれば今の状況を打破出来るかもしれない。



俺はゴブリン達の方に向き直り、あの時の陽夏の構えをとる。


俺の双剣に力が集まるのを感じる。



「はぁぁぁ!!!」



その力を放出するかのように双剣を振り払う。


名も無き技だ。


だが、その斬撃はゴブリンを切り裂き、その背後にあった壁にまで傷をつけた。


その一撃だけで今俺の目の前に居たゴブリンは全て消えていった。



「ははっ、こりゃすげぇ…………。」



俺は予想外のその威力に若干引きつつも、さらなるゴブリンの出現に備え、双剣を構え直した。


今日、私の好きなアイドルのコンサートがあるんですよ。それで、行きたかったんだけどお金が無くて行けなかった! ちくしょう!

いや、チケット当たるかは分からないんだけどねw

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