29話 幼女現る
ふぅ、やっと家に帰れた。
俺は休む必要が無いのであそこに留まる必要は無いし、それにあそこに居たら色々詮索されてボロが出そうだったので逃げてきたのだ。
さて、これからどうしようか。
やはり日に日にモンスターの被害は大きくなってきているようだ。
多分被害の拡大と防衛者の強化の釣り合いが取れているからまだ大丈夫だが、今回のようにいきなりモンスターが大量に溢れるとその釣り合いが壊れてしまう。
これからも今回のようにモンスターが大量に溢れると困る。だから俺は強くならなくてはいけない。
俺は3つのやることを決めた。
まず1つ目は言わずもがな箱を開ける事だ。これは最優先事項だ。これが俺の力の源だからな。
2つ目は外に出る回数を増やすという事だ。
コナーと話をして案外ここでゴブリンを倒す事はホテル街の安全に繋がるようだ。
何かあった時に戦力が多いと守って貰えるかも知れない。だから少しでも被害を少なくさせる為にもゴブリンはこちらで対処しようと思ったのだ。
そして3つ目はダンジョンに行ってみようという事だ。
なんで急に行きたくなったかと言うと、俺は今回の事の原因はやはりダンジョンにあると思うのだ。
コナーや陽夏に俺はダンジョンの一番奥には何があるのかと聞いた事がある。
その問に2人は「ダンジョンの一番奥は迷路になっていてそこから先はどうなっているのか分かっていない」と言うのだ。
その迷路の探索が進んで無い理由は人材不足もあるが、1番は野宿が危険すぎるということだ。
ウルフやゴブリンは寝込みを襲ったりする事もあるらしい。しかも迷路は死角が多く、そんな所で野宿をしたらただじゃすまないらしい。
だが、そこで俺はひとつのことを思いついた。
俺寝なくていいしその迷路を攻略出来るんじゃね?
それが攻略出来ればモンスターが溢れるのを止めたり出来るかもしれない。
その事を2人には伝えていない為それに協力してもらうことは出来ない。
一人で行くのは嫌だが、仕方なくそうするしかない。
だが、一人で行くからには出来るだけ準備はしたい。
そこで1つ目に決めたやることが箱を開ける為に戻ってくるというわけだ。
取り敢えず強くなれるスキルを全部昇格させることを目標にして箱を開けよう。
俺はいつもの定位置に着く。
座り心地はいいとは言えないベッドだ。もういっその事何処かの家から取ってこようか…………。
いや、どこの誰かも知れない人のベッドなんて使いたくないな。
そいつがそこでナニをしたか分からんしな。
だが、そこで俺は一つのことを思い出す。
俺の隣の部屋って結構な美人さんが住んでいたという事だ。
俺がたまに家の外に出る(玄関まで)時にそこから美人な女の人が出て行くのを何回か見た事があるのだ。
んー。あの人のベッドだったら使ってもいい…………かな?
どこの誰かも知れない人がナニしたか分からんベッドは嫌だが、あの人がナニかをしたベッドなら大歓迎だ。
そこからの俺の行動は速かった。
物凄い勢いで箱を放り出し、そのまま俺の部屋を出て隣の部屋のドアの前に行く。
そして、慣れた手つきでその鍵を外し、中に入る。
ううむ。玄関は色んな小物などが置いてあってかなり可愛い雰囲気だ。
これは女の子の家で間違いない。
俺はそのままズンズンと中へと進んでいく。
「これが女の子の家かー。へぇー。」
俺は勿論女の子の部屋に入ったのはこれが初めてだ。
もう住んでは居ないのだが、それでも興奮が抑えきれない。
さてさて、本題に入ろうか。
俺は部屋の端にあったピンクの布団がかかったベッドに向かっていく。
そこまで高そうなベッドでは無いが、それでも俺のベッドよりかは良さそうなものだし、それに美人な人が使ってた補正も掛かってる。文句は無い。
俺はこれを持っていく事にした。
「よいしょっと。」
ゴトン
ベッドを持ち上げると、何かが落ちたような音がした。
何かベッドの上に置いてあったのかな?
そう思いベッドの下を見るとそこには…………。
小さな女の子が頭を押えて蹲っていた。
え、ちょっと待って。理解出来ない。
なんでこんなところに幼女が居るんだ? 生憎俺のスキルには幼女キラー何てものはないぞ?
そんなふうに思考を停止させ固まっていると、その女の子がこっちを見た。
「えーと、大丈夫?」
「…………。」
「えっと…………。」
「うっ…………うぅぅ。」
「ちょ、ちょっと待っ。」
「うわぁぁぁーーーーん!!」
「わぁぁ!!」
ちょ、泣かないでくれよ!? これは俺が悪いのか!? 俺が悪いんだな!? ごめんな!?
というかなんでこんなところに女の子が居るんだ!?
俺はここにこの女の子がいる理由を色々考えるが、全然思い付かない。
と、とりあえず泣き止ませなくては。
俺は一旦ベッドを降ろし、女の子に向き合う。
秘技! モザイクつけた方が良いレベルの変顔!
「ひっ…………。」
女の子は泣き止んだ。え、そんなに怖かったの?
「よしよし。怖かったね。」
俺は女の子の頭を撫でてあげた。
多分俺がベッドを持ち上げた時に落ちてしまったのだろう。
思考が落ち着いてきた。だから俺レベルになると女の子の扱いなんてちょちょいのちょいなのだ。
そうして、女の子は落ち着いたのか、目を擦りながら俺に話しかけてきた。
「お兄ちゃん…………だれ?」
うーーーん。それはこっちのせりふだよぉぉぉ。
前回の睡眠のことに真面目に答えてくれた人がいて嬉しかったなう