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213話 最後の戦い4



「コナー、これでいいんだよね!?」


「…………うん、これで晴輝君とゆうちゃんだけに分離できる…………と思うよ。」


「えっ!? 思うってどういうこと!? 未来が見えるんじゃないの!?」


「…………。」



2人は俺を助けるために尽力してくれている。


俺も俺に出来ることを全力でやっている。


しかし、それでも俺以外のものにはその効果を発揮できない。


故に、俺から別れた物には何も出来ない。


だからこそ、俺から別れて動いているこの謎の物に俺は干渉できない。


が、その代わりに俺がこの体を制御しやすくなった。


体はまだ制御出来ているわけでは無いが、スキルを止めるのは楽になった。


その時、俺の目が見えるようになる。


そうして周りの状況を把握した俺は絶句した。


そこに居たのは、少し体が溶けたガイアだったからだ。


俺の中のガイアを探してみると、ガイアの存在が限りなく薄くなっていた。


…………そうか、肩を切り落とされた時にガイアの意識もそこに入ってしまったのか…………。


これは少しまずい状況になってしまった。


なぜなら、俺から切り落とされた分身は俺には制御が出来ない。


だからこそ、あの別れたガイアは様々な魔法を使えるし、モルフィスの使う魔核融合魔法も使えてしまっていた。


俺から別れたガイアは魔法を使って大剣を生み出して陽夏へと斬りかかった。


俺が何とか陽夏を助けることが出来ないのがもどかしい。


しかし、俺のその心配は杞憂だったようだ。


陽夏はその卓越した身体能力と剣術によってガイアの大剣をスキルを一切使わずに対応している。


ガイアも前の世界では名を馳せる程の実力の持ち主だったはずなのに、手も足も出ていない。


陽夏は何とかガイアに対応しながらも俺の事を見ていた。


なぜなら、俺が動き出して陽夏を攻撃しに向かっていたからだ。


俺の攻撃はただの身体能力に任せたものだ。


しかし、それもガイアが別れたことによって少しだけ落ちている。


しかし、数の利はこっちにあった。


そのため、明らかに陽夏は俺を警戒しながらガイアを攻撃していたのだ。



【七月流火】



陽夏はまたその攻撃を放った。


その攻撃は別れたガイアを貫いて俺にまで攻撃を当てた。


ガイアは腹部を一刀両断されており、地面でのたうち回っている。


そう言う俺の右肩も落ちている。


そして、その落とされた右肩もうねうねと動き始めて少しづつ大きくなっていっている。


今回は、レアだ。


レアは小ぶりな盾のようなものを作り出し使っていた。


そこで俺は違和感を覚えた。


よく考えたらレアが剣を使っていて、ガイアが盾を使っていたはずだ。


しかし、今はそれが逆になってしまっている。


…………そうか、あの二人はお互いの事が好きだったから、混ざりあったことによってお互いの想いが伝わったんだろう。


だからこそ相手の力に頼っているのだろう。


別れたレアは地面でのたうち回っているガイアに手を差し伸べた。


ガイアはそれを掴み、ぐちゃぐちゃに混ざっていく。


そして、そのまま2人は溶けてなくなっていった。



「え? 何が起こってるの!?」



陽夏は戸惑いながらその様子を眺めていた。


陽夏とコナーには分からないだろうが、ガイアとレアはずっと昔から両想いなんだ、きっと2人になりたかったのだろう。


その想いが強かったお陰で2人の意識のほとんどが俺から別れていったのだろう。


どうだ? これでわかっただろ? 全員が全員一緒になる事を望んでいるわけじゃないんだ。


だから、もう戦うのはやめて別れよう。


俺は俺にに語りかける。


しかし、その言葉を俺は無視する。


…………やはり無理か。


俺の体は今だにモルフィスの意思に従っている。


そのモルフィスは今黙りを決め込んでいる。


まぁ、黙っていたところで俺の意思は変わらない。


絶対に少なくとも俺とゆうちゃんはこいつから分離する。


なんでモルフィスの一緒に居たい相手に俺とゆうちゃんが含まれているのかは分からないが、少なくとも俺達は陽夏とコナーと一緒に過ごしたいんだ。


その為にも、今は俺が陽夏とコナーに負けなくてはいけない。



「ひ、ひな…………つ…………。」


「晴輝!?」



俺はガイアとレアの存在が殆ど居なくなったことにより少しだけ体の制御を取り戻していた。



「………殺す気で…………こい!」


「…………何言ってんの、当たり前じゃない! 私をほっぽって他の女の所にいった奴に優しくする義理も無いわよ!」



…………そうだよな、確かに陽夏が俺の事を好きなのだとしたら俺は酷いことをした。


俺は陽夏のためを思って陽夏を突き放してホテル街を去ったが、陽夏にしてみれば好きな人に捨てられたみたいなものだ、辛くないはずは無い。


なのに、ひなつは俺の為にここまで強くなって、俺を迎えに来てくれた。


…………本当にいい子だ。


陽夏になら俺は殺されてもいい、本心からそう思った。

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