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207話 夢力



俺が階段を登っていき、次の階段を登ろうとした時、ある異変に気づく。


階段の先が何かで塞がれているのだ。


…………これ以上先には進ませないって事なのか?


いや、しかし、あいつは俺を最上階で待ち受けてるんじゃないのか?


…………どちらにせよ最上階にゆうちゃんと教会のみんなが居る以上は登っていかなければならない。


俺はその塞いでるものを何とか破壊しようとする。


その物はそこまでの強さは無く、思ったよりも簡単に破壊される。


しかし、その瞬間、俺の視界が眩い光に包まれる。


くそっ!? やっぱり罠だったか!


俺は焼かれた体をある程度治しながら結界を構築する。


魔力をケチって防御する余裕は俺にはもうない。


俺はほぼ全力でその攻撃に対応する。


この攻撃には見覚えがある。


日曜の現人神の攻撃だ。


その威力は1度食らった時より明らかに強くなっていた。


どうしてここまで力を取り戻すことが出来たのかは分からないが、とにかく俺はこの攻撃を防がなくてはいけない。


日曜の現人神の攻撃は物凄い威力だったが、俺の力だって1度食らった時よりも遥かに強くなっている。


その力を遺憾無く発揮することにより、俺の治す能力とモルフィスの結界魔法を使う事によってその攻撃は完全に防ぐことができた。



「やはりこの程度の攻撃では死なんか…………私の全力ではあったのだがな…………。」



俺は声が発せられる方向に刀を向ける。


そこに現れたのは巫女服に身を包んだ小学生ぐらいに見える女の子だった。



「…………お前、日曜の現人神…………か?」


「…………あぁ、そうだ。…………そんな目で見るな、私もこんなちんちくりんな姿になるとは思って無かった。だが、私の化身がこれだったから仕方がないのだ…………。」



そうか、日曜の現人神もモルフィスのように意識を乗っ取っているのか。


そう考えるとあいつの中には日曜の現人神の意識だけでなく、その体の元の持ち主である女の子も居るという訳だ。


…………少々不憫ではあるが、仕方ない。


ここで殺す。



「ふっ、私は逃げるよ。この程度の強さなら…………勝機はあるかもしれんからな。」



そう言って日曜の現人神は地面に沈んでいってしまった。


ダンジョンが自由に使えるとこんな芸当も出来てしまうのか…………厄介だ。


攻撃するだけ攻撃して、攻撃されそうになったら逃げる。


そんなことが出来てしまう。


まぁ、俺は少ない魔力で体を全回復させることが出来るため、俺を殺すためには必殺の攻撃を放たなければいけない。


だからこそ細かく攻撃してくることは無いだろう。


それに、日曜の現人神は全力だとは言っていたが疲れている様子は無かった。


やはり何らかの力によって自身を強化していると考えて良さそうだ。


そうなればまだ奥の手が隠されていると思っても良いだろう。



「待ってろよ? 絶対に殺してやるからな?」



俺はどこかで聞いているであろう現人神共にその言葉を投げかける。


それから俺はまた階段を登っていく。


やはり相手も俺が時間経過で少しづつ強くなる事は知っているのか、それ以降は俺の邪魔はしなくなった。


そのため、なんの障害も無くサクサクと進んでいけた。


アイツらの思惑通りに動くのは癪だが…………今回だけは乗ってやることにする。


少しでも早くあいつらを殺したゆうちゃんと教会のみんなを助けたいからな。


あのだだっ広い空間は無いため、今どこら辺に居るかは分からないが、少なくとももう最上階近くだ。


俺は階段を登ろうとした。


…………この上に何か気配を感じる。


特に何か塞がれているとかそういうのでは無いが、人が何かが居るというのは分かった。


ゆうちゃんと教会のみんなが居ると思い、俺はすぐさま階段を駆け上がる。



「ゆうちゃん! みんな!」



俺は叫ぶ。


…………居た!


俺はかなり遠くに磔にされていたゆうちゃんと教会のみんなを見つけた。


俺は救助に行こうとするが、その瞬間ゆうちゃんと教会のみんなが地面に沈み込む。



「待ってたよ、晴輝君。」



俺の後ろから声が聞こえる。


振り向きざまに魔力を込めた一撃を背後に放つ。



「ははは、無駄だよ、僕はそこに居ないからね。」



土曜の現人神の馬鹿にするような声が聞こえる。


俺の背後には誰も居なかった。


ただ土曜の現人神が俺に向かって喋りかけているだけのようだ。



「君は魔力の本質について知っているかな?」


「魔力の本質?」


「そう、魔力って昔は夢力って言われていたのは知っているね?」



俺はその事について知らないはずだが、モルフィスはそのことを知っていた。


どうやら歴史を習う時に一緒に習ったことらしい。


夢力の語源は夢のような力と言う意味らしいが…………それが何なんだ?



「君達は夢力というものについて誤解しているんだよ。」


「…………どういう事だ?」


「夢力って言うのはね、その名の通り夢の力…………そう、想いの力何だよ。」



モルフィスが物凄い衝撃を受けている。


俺からしたらはぁ、そうですか、程度の衝撃しかないのだが、やはり一般常識が崩れるというのは衝撃の大きいもののようだ。


土曜の現人神は意味深にそう言っていたが、なんの意味があるのだろうか。


俺は混乱しながらも土曜の現人神の話を聞き続ける。

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