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202話 人の居ない街



俺が着いたそこには誰も居なかった。


明らかに大規模なシェルターのようなものがあり、ついこの前まで誰かが住んでいたような容貌をしているのに、誰も居ない。


隠れているのかと思い地面を壊したり建物を壊したりして人を探すが、どこにも居ない。


それに、物資なども一つもない。


移住したのかと思ったが、ここらのダンジョンは凪以外の人によって無力化されたようで、モンスターの姿はどこにも無かった。


だからこそここから離れるメリットが感じられない。


争った形跡もなく、このままここに居ればある程度の安全が確保されそうだったのに、そこには誰も居ないというのが、俺もモルフィスも不思議だと感じた。


ここに今差し迫っている危機と言えば俺という存在しか…………。


…………まさか、俺がここに来るという事が分かっていたのか?


うちのホテル街ではコナーが未来を見ることによって危機を退けたりしていたが、まさかここにも同じ様な能力を使える人でも居るというのか?


居たとしてもおかしくないが、それにしてもなんで逃げたのだろうか。


ここから逃げたとしてももう逃げられるところは限られている。


ここから1番近いところと言えばドイツとイタリアだ。


しかし、そこまで行くのにも時間は掛かるだろうし、モンスターにも襲われる。


はっきりいって俺という存在から逃れるよりも酷い目にあってしまいそうだ。


まぁ、どうせ俺と会ったら全員が殺されてしまうが、モルフィスは人を殺す事に罪悪感を覚えているので、少なくとも苦しんで殺されることは無い。


そのため、ここに居た方がいい。


それが分からなかったとしても、どちらにせよここに残った方が良いと判断するはずだ。


しかし、ここの人達はそれをしなかった。


どうして…………。


俺の口がにやりと笑う。


モルフィスの考えは俺にも伝わってきた。


それは、ここに現人神の一部が居たんじゃないかという考えだ。


確かに現人神の1人なら俺に勝てないというのは分かっているだろうし、逃げるという選択をするはずだ。


しかし、現人神は何故人々を束ねあげていたのかが分からない。


逃げるのなら一人でいた方が楽なはずだし、仲間を探すにも現人神程の力を手に入れたのなら一人で行動したてダンジョンを攻略しまくって自分の力を取り戻した方がいいはずだ。


だからこそその行動原理が分からない。


思えば現人神は全員国のようなものを持っていて、その国民に自分を崇めさせていた。


それはどの現人神においても共通だった。


しかし、火曜と水曜と木曜の現人神はその国をまとめあげるようなカリスマも無いようだったし、色んな人にちやほやされて生きていたいと思うような人間にも見えなかった。


なのにあの3人は国を作ってそれを治めていた。


何か自分を崇めさせる事に意味でもあるのだろうか?


分からないが、少なくともここに人が居ないと分かったため、俺は行動を開始し始めた。


現人神の姿を追うように俺はドイツとイタリアへと向かった。


現人神がそこに居なくともそこにいる人達は殺されてしまうので、俺は行きたくはなかったが、体は依然として言うことを聞かない。


今居た位置からは少し離れているのでそれまでにどうにかしたい。


が、俺の頑張りも虚しく目的地にはすぐに着いてしまった。


何故なら、現人神が近くに居るかもしれないと分かった瞬間モルフィスが浮遊魔法を使って物凄い速さで移動し始めたからだ。


浮遊魔法を使えば地上を走るよりも遥かに早い速度が出る。


そのためすぐにドイツに着いてしまった。


しかし、やはりそこにも人は居ない。


こうなってしまえばいよいよヨーロッパには現人神は居ない可能性が出てくる。


イタリアに居る可能性もあるが、もう何らかの方法で海を渡ってアメリカなどに逃げてしまった可能性もある。


まぁ、アメリカに行ったとしても俺はすぐにそこに行けるため意味は無い。


それでも、モルフィスは不機嫌になっていた。


モルフィスは現人神に相当な恨みがある。


モルフィスは大切な人達を現人神に攫われた挙句よく分からない異世界に連れ去られたんだ、恨まないわけが無い。


俺の凪への恨みぐらいの恨みはあるだろう。


だが、その恨みは俺に害があるため、申し訳ないが止めさせてもらう。


まだ、止められないが、いずれは必ず止めさせてもらう。


が、やはり今は止めることは出来ずに、ドイツの街を探索する。


それでもやはり人は居ない。


モルフィスはさっさと現人神を探すためにすぐにイタリアに行こうとする。


しかし、その時空中に何かが居るのに気がつく。


音などはほとんど無い。


しかし、俺の目にはそれが何なのか分かった。


ミサイルだ。



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