2話 謎の箱を拾う
ワンチャンもう1話投稿する!
終わった。
顔の写真が晒されてしまうと、仲良くしてくれる人なんて居なくなる。
誹謗中傷コメントを書き込まれて、追放されるんだ。
加工詐欺をしすぎた人は、掲示板などに書き込まれ、ずっと、加工詐欺の人というレッテルを貼られ続ける。
そんな奴と仲良くする物好きは居ない。
ゲームなどの集まりなら分からないが、俺が居るのはどちらかと言えば恋愛とかそういう事をする場だ。
もう戻れない…………。
俺は体に力が入らなくなる感覚を感じた。
そりゃそうだ。ネットは俺の全てみたいな物なのだ。
俺の親はもう死んでしまっている。2人とも交通事故で死んだ。その頃俺は高校生だったが、そのショックで高校は辞めてしまった。
それからは死亡保険で入ってきた金と、親の遺産で暮らしている。
一生分はないが、人生の半分を遊んで暮らせる程度の金ならあった。
俺は無気力に生きていたが、それでも楽しみは一つだけあった。それがネットだ。
ネットは俺に生を繋ぎ止める存在だった。
それが無くなってしまったんだったら俺はもう死ぬしかないだろう。
俺はフラフラとしながらネムちゃんが座っていたベンチに座った。
ここで一休みしたらロープを買いに行こう。
もう楽になりたい。
俺はもう座っている気力もなくなり、人目も気にせず寝転がった。
「いたっ。」
腰に痛みが走る。どうやらベンチの上にはものが置いてあったようだ。
腰の下敷きになったその物を手に取って見てみると、それは、ダイアル式の鍵が付いた黒い箱であった。
何だこれ?
俺は物凄い違和感を感じた。
何故ならそれは俺の触ったことの無い材質のものだったからだ。
金属のようなものでもなく、プラスチックのようなものでもない。木のようなものでもないし、布や柔らかい素材のものでもない。
それを触った感想は、どんなものよりも固いだ。
明らかにおかしい。
そして、もうひとつ気になるのは、ダイアルだ。
6桁の番号を入れると開く仕組みになっているみたいだ。
この異様な雰囲気を放っている箱の中にはなにがあるのか。俺はそれが気になって仕方がなくなってしまった。
しかし、ここで開ける訳にも行かないので、持ってきていた鞄の中に箱を入れ、持ち帰る事にした。
そうして今に至るという訳だ。
俺は何万通りものパターンを全てこなし、箱を開けることが出来たんだ。それでうっきうきで中身を見ようとしたんだが、その中から出てきたのは、箱だ。
そう。全く同じな。
始め、俺は単純作業のやり過ぎておかしくなってしまったんじゃないかと思ったんだが、ほっぺたをつねっても、目を擦っても、ベタベタ触っても変わることは無かった。
そうして俺は初めてそれが現実だと信じた。
だっておかしいだろ? 俺は頭が悪いので、論理的に説明したり、文学的に説明することは出来ないが、それでも、なんというか、おかしい。その一言に尽きる。
よしよしよし。1回冷静になろう。その出てきた箱は一番最初の箱と似ている物だ。ならば、これも開ければ何か出てくる可能性が高い。
多分、箱だろうが。
俺は実験を始めることにした。
まずは箱を何個も開けてみる。箱以外の中身が出てきたらそれはそれでいいし、箱が出たとしてもその箱を比較してみたりすることが出来る。
結果としては、全く同じ箱が何個も出てきた。そう、全く同じだ。
どれだけ比べてみても違う所が見当たらない。
だが、俺は重大なことに気付いた。
それは、番号が毎回ランダムなものになっているという事だ。
箱本体は全く同じもののようだが、番号は変わっている。という事は、全く同じという訳じゃないのか?
うぅむ。分からない。
ここまで開けるまでに丸一日程費やしている為、思考能力が低下しているのか、答えになかなか辿り着かない。
俺は悩みの元凶である謎の箱を眺めた。
この箱は悩みの元凶であると共に、俺を救ってくれた存在でもある。この箱は異常だ。そんな存在が身近にあるにもかかわらずそれを解明せずに死んでしまうのは勿体ない。
死ぬのはこの箱の一番奥には何が入っているのか確認してからでいいだろう。
俺は壁に箱を並べた。
「よし! 目標はこの壁一面を箱で埋め尽くす事だ!」
本当にそれほどの量の箱が出てくるのかは分からないが、それを目標とした。
ふぅ。流石に疲れたな。
適当に食事を取って今日は寝るか!
俺はカップラーメンにお湯を入れ、暇を潰す為にテレビをつけた。
『速報です。今日、午前6時頃、男性一人の遺体が発見されました。遺体には、何かで溶かされたような形跡があり、警察は、他殺の可能性も視野に入れ、捜査をすすめています。』
うーん。最近物騒だな。まぁ、俺の家は見るからにゴミ屋敷だし泥棒なんて入って来ないとは思うがな。
俺は毎日の様に食べているカップラーメンを食べ終え、倒れる様にして、眠りに入った。
『速報です。今日、午後2時頃、東京都内に謎の建造物が発見されました。謎の建造物は凹凸のない塔のような形をしており、全長は…………えっと、どんなに高性能な望遠鏡を使っても確認出来ないとのこと。 警察は、謎の建造物の周りを閉鎖し、調査をすすめています。』
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