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199話 終焉4




なんだこれ。


こんな黒くて光沢のある金属は見たことが無い。


しかし、このものには少し見覚えがある。


どことなく教会のみんなを異世界に送った道具に似ているのだ。


それとは少し違うように見えるが、詳細を知らない俺からすれば大部分は同じように見える。


しかし、そんな事よりも気になるのは何故俺の魔法でこれは消えてなくならなかったかということだ。


俺の魔法に耐えられるものは存在しないはずだ。


何せこの魔法は物質を攻撃することによって破壊するのではなく、もっと根源から崩しているのだ。


だから、どんなものでも貫通してそのものを崩壊させるはずなのだ。


だが、これは少なくとも形を保っている。


触る事は出来ないが、どう見てもしっかりと己を持っている。


しかし、こんなものがあったとしても意味は無いんだ。


これがあったところで俺はそれによって死ぬことはできないし、みんなを元に戻す事もできない。


もうこんな世界になってしまった以上死ぬ事を探すことしか俺には出来ないんだ。


俺が異世界に来てしまった時の人質等と言ってみんなをつれていってしまったため、俺はもう何も残っていないんだ。


…………まて、何かを見落としている。


土曜の現人神は確かに俺が異世界に来てしまった時と言っていた。


つまり、俺が異世界へ行く手段はない訳では無いという訳だ。


だが、そのための手段も俺が壊してしまっただろうし…………。


俺はその時目の前にあったものに気がついた。


俺は目の前にあったものに飛びつく。


そうだ、これが使えたら俺も異世界にいけるはずだ!


考えてみれば異世界に行く実験があの土曜の現人神が居た場所だけだというのはおかしいだろう。


これは多分プロトタイプでは無い完成品なのだろうか。


どこにあったのかは分からないが、場所的には日曜の現人神の土地だろうか。


…………そうか、あいつらはここが俺によって壊されたと思ってあっちのタイプを使ったのか。


あの時半分成功で半分失敗と言っていたし、多分こっちで異世界に向かった方が良いのだろう。


俺は思わぬ収穫に喜ぶ。


が、その調子はずっとは続かなかった。


何故なら、この道具の使い方が分からないからだ。


とりあえず適当にボタンを押してみるなどということをやってしまえば取り返しのつかないことになる可能性もある。


例えばあの道具が壊れてしまうとかな。


それを防ぐためにも慎重に使わなければいけない。


しかし、こうやっている間にも皆は辛い思いをしているかもしれない。


もうやってられない。


こんな状態で慎重になるなんて無理だ。


俺は記憶を掘り起こす。


そして、土曜の現人神がやっていた事を事細かに思い出す。


あいつは俺と話しながらも何やら難しそうな事を物凄い速さでやっていた。


はっきりいってその時は良く見えていなかったが、今になって見てみると思ったよりも仕事をしていてびっくりした。


まぁ、同じ手順かは分からないが、さっきのを真似すれば行けるかもしれない。


俺は体に色々つけたり、よく分からない道具をよく分からないまま記憶の中の土曜の現人神の真似をしてやっていった。


何が起こっているのかは分からなかったが、次第に俺の存在が消えていくような感覚がした。


まるでその道具に全てが吸い込まれるような感覚だった。


まぁ、このまま生きていてもしょうがない。


これで死んでしまってもラッキーだし、異世界に行く事が出来たとしてもハッピーだ。


俺はその道具に身を任せる。


その前に、最後のステップである赤いボタンを押した。


すると、この道具の外側が謎の黒い壁で埋まる。


そして中には液体の様なものが満ちていく。


その液体は俺に触れた瞬間、よく分からない動きをしだす。


そうしていると、俺の意識は闇に落ちていく。


その時、俺の魔力が体外魔力も体内魔力も全て吸われていった。


しかし、夢を想い、食い、喰らい、奪い、殺す能力だけは俺に残っていた。


それ以外が全て吸い尽くされ、俺の意識は完全に闇に落ちた。




◇◇◇◇




それからやや経った後、俺は何となく意識というものがあるような感覚に陥った。


そして、俺の中に謎の記憶が入ってきたり、逆に俺の記憶が出ていったりした。


そんな中、俺の記憶が、意識がどこかへと急激に流れ始めた。


そして、どんどんと流れていったある時、俺の意識がそこにリンクした。


そして俺は全てを悟った。


俺は異世界に来たのだと。


俺自身ではなく多分今の俺は精神体のような存在なのだろうが、それでも俺と似た考えを持った人間がいたおかげでそいつに少しづつ同期していく事が出来るようになった。


そして、俺はそいつの、晴輝の意識を乗っ取らんと行動を始めた。

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