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195話 異世界



異世界。


聞き覚えのある言葉だ。


確か、ついこの前異世界への移動方法が確立して、現在研究中とか何とかという話だったはずだ。


まぁ、俺がほとんどの国を潰している以上、研究はもう程終わったようなものだろうが…………。


それが今関係あるのだろうか?



「それがなんの関係があるのかって顔だね、まぁ、仕方がないか。」



土曜の現人神は俺の事を煽るような言葉使いをする。


くそ、体が動くのならすぐにでも攻撃しに行ったものを…………。



「勘の鈍い君に教えてあげると、この装置はいわば異世界へ行くための機械のプロトタイプなんだ、使用はされたこと無いけど、まぁ、確実に異世界に行くことはできるんだ。異世界は僕達の世界よりは現実性が高いみたいで、そのまま行ったら僕達の存在は消えてなくなってしまうからいったん全てを夢に変えて…………って、こんな事君に言っても理解出来ないか!」


「…………早く本題を言え。」



俺はスキルによって頭の回転や記憶力は常人離れしているが、全く知らない知識に関しては何も出来ない。


というか、元々俺は学がある方では無いので、どれだけ頭の回転が早かろうが、頭は良くは無い。


非常にイラつくが、そう言った専門の事は分からないのだ。


土曜の現人神はピンチのはずなのに、余裕綽々で俺に対する。



「あはは、怖い怖い、じゃあ本題に移らせてもらうけど、これから僕たちはこのプロトタイプで異世界に逃げる。勿論君のお仲間たちも連れてね。」


「はっ!? やめろ! お前たちが逃げるのに教会のみんなは関係ないだろ!?」


「いやー、それがあるんだな、君が何らかの方法でこっちの世界まで来てしまったら困るだろ? その時の人質が欲しいんだ。」


「…………。」



また俺のせいなのか、みんなは俺のせいでずっとこんな不幸な仕打ちを受け続けている。


ならいっその事…………。


いや、ここまで来たなら責任を果たそう。


もうみんなを助けられるのは俺だけなんだ、それが弱気になっていたらだめだ。


俺は少しだけ動くようになってきた体を必死に動かしてみんなの元へ向かう。


周りの魔力が少なすぎて俺の体は上手く治っていかない。


これ程までの体の欠損を治す為にはかなりの魔力が必要になるため、俺が生み出している魔力量でも到底足りていない。


それでも、そんな体でも俺は必死にみんなへと向かっていく。



だが、俺の体はみんなに届かないまま土曜の現人神は全員にその機械の取り付けを完了してしまった。



「ふぅ、間に合った、協力ありがとね日曜の現人神。」


「…………あぁ、こちらこそ、崇拝の力が無くなった我らにはこれくらいしか選択肢は残されていないからな…………。」


「あはは、そうだね。じゃ、バイバイ。」



その瞬間、日曜の現人神の体がビリビリに引き裂かれ、直後消えた。


何が起こったんだ?


これが正常な異世界への転移なのか?



「…………そっか、プロトタイプは異世界の侵略を軸に作られてるから…………うん、半分失敗、半分成功かな?」


「お、おい、教会のみんなは大丈夫なんだろうな?」


「…………まぁ、何とかするよ、君はこの世界で余生を楽しんでいなよ、塵だらけの世界でね。」



その声には確かな怒気が含まれていた。


次の瞬間、そこにいた俺以外の全員の体がビリビリに引き裂かれて消えていった。


その様子を俺は指をくわえて見ているしか無かった。


みんなの姿が消えていくうちに、どんどんと俺の視界が暗くなっていくかのような感覚に陥る。


俺は1人残されたその空間でただ体を治すことしか出来なかった。


微弱とはいえ俺は魔力を生み出している。


時間をかければ全回復も簡単な事だった。


俺は体が治るとすぐに目の前にあった機械を見つめる。


…………さっぱり分からないが、土曜の現人神がやっていた手順と同じ事を俺もする。


しかし、特に何かが動く様子は無い。


…………本当に、もう終わりなのか?


みんなは俺の知らないどこか遠くの異世界へと行ってしまった。


俺がそこへ行く手立ては現状、無い。


俺は来た道を戻っていく。


こうなればもうやけだ。


全てを道ずれにして俺も死のう。


みんなを助ける手段がないのならもう俺が生きる意味は無い。


最後の最後まで世界に見捨てられた人生だった。


そんな人生もみんなのおかげで潤った。


しかし、そんなみんなに俺は恩を仇で返したんだ。


これ以上生きていてもしょうがない。


こんな世界は要らない。


元来た道は無限かと思うほど長かった。


しかし、道を進むにつれてほんの少しづつだけ魔力量が増えてくるため、その度に体をしっかりと回復し、さらに速度を上げて元いた部屋まで戻る。


そして、かなりの時間をかけ、俺は元いた部屋まで戻ってきた。


3人の現人神は律儀にまだそこで待っていた。


まずはこいつらからだ。


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