188話 月曜の現人神2
「あっ、やべっ!」
俺は落ちていく月曜の現人神を拾いに行く。
が、時すでに遅し。
月曜の現人神は地面に落ちて死んでしまっていた。
月曜の現人神から何か情報でも引き出せないかと思っていたのに残念だ。
まぁ、まずはこの街の住人に俺の礎となってもらおう。
俺はその場所から下へと下っていった。
月曜の現人神の土地は日曜の現人神の土地ほど広くは無い。
故に金持ちの家だとしても日曜の現人神の所程の広さは無い。
好都合だ。
家が密集しているということは人口密度も高いはずだ。
人が色んな所に逃げてしまうのも防げるというわけだ。
俺は自分達のトップである月曜の現人神が死んだ事も知らずに呑気に歩いている街の人間に夢殺を使い、その後痛みを感じる間もなく殺した。
近くにいた人が悲鳴を上げ逃げてゆく。
よし、何とかなったな。
人口密度が高いと言う事は混乱も早く広がりやすい。
しばらくして日曜の現人神の土地の時と同様に騎士のような人が集まってくる。
今度は銀の鎧を着ていた。
俺はその全てを素早い動きで戦闘不能にしていく。
日曜の現人神の時よりも熟練度が上がっているため、更に楽に魔力を吸収することが出来た。
それからは日曜の現人神の土地と同様に家を壊していこうと思ったのだが、一際大きな建物を見つけたので、とりあえずそこに入ってみることにした。
その建物の前には、奴隷専門店と書かれた看板が置かれていた。
…………悪趣味だな。
俺は中に入っていく。
中にいたぶくぶくと太った煌びやかな装飾品を身につけた店の主人のような人間が慌てて奥へと逃げていく。
「お、おい! あいつを殺せ!」
店の主人でのような人間がそう叫ぶと周りから人達が飛び出してくる。
…………流石に護衛は居るようだな。
だが、月曜の現人神の力を完全に吸収した俺にかかればその程度の脅威はもはや脅威ではない。
瞬時に魔力を吸い取り、命を刈り取る。
店の主人でのような人間は腰が抜けたのか地面で震えていた。
よく見ると失禁もしている。
汚いな。
…………そうだ、いいことを思いついた。
「おい、お前。」
「な、ななな、なんでしょうかっ!? お、お金ならいくらでもあげますので命だけは!」
「わかったわかった、それで、その奴隷とやらは契約さえすればなんでも言う事を聞くのか?」
「へ? あ、あぁ、はい。何でも言う事は聞きますが…………。」
「分かった、じゃあここにいる奴隷全員と契約させてくれ。出来れば既に売ってしまっている奴隷とも契約したいのだが…………。」
「わ、分かりました! 今すぐさせていただきます!」
店の主人でのような人間は慌てて色んな書類とよく分からない道具のようなものを取り出した。
「これに血を1滴垂らしていただければ契約完了です! それからは奴隷共はどんな命令でも聞きます!」
「そうか、御苦労。」
「じゃあ…………!」
「せめて苦しまないように殺してやる。」
俺は首を風魔法を応用して刎ねる。
店の主人でのような人間は目を見開いたままの状態で俺を睨みつけていた。
良いじゃないか、最高待遇だぞ?
ぐちゃぐちゃに治しながら殺して意識が無くなれば気付けの魔法を使って無理やり起こしてそれをまた繰り返すなんて事だってできたんだ。
それに比べればいい方だろう。
俺は契約した奴隷を全員呼び寄せる。
奴隷は不安な表情だったり、怒りの表情だったりと多種多様な表情をしていた。
俺は全員聞こえる声で話しかける。
「ここにいる奴隷のみんなにはここにいる住民全員を俺の所に連れてきてほしい。そうしたら君達の命は保証しよう。」
俺が奴隷のみんなにそういうが、みんなは混乱している様で、一応は命令は聞くが、何が起こっているかは分かっていないようだった。
一部の奴隷は俺が何をしていたのか知っている奴隷も居たようで、そういった人達は即座に行動を始めていた。
それを見て他のみんなも何か不穏なものを感じ取ったのか、勢い良く行動し始めた。
こう人たちに任せていた方が早く楽に全員の魔力を吸収する事が出来るだろう。
俺は奴隷達が行動するのを奴隷専門店の椅子に座って待っているが、そんな時、1人の周りの奴隷よりも格好が綺麗な奴隷が俺の所に向かってきた。
「あの…………質問あるのですが…………。」
「ん? どうした?」
「ここに集めた人達は全員殺されてしまうのですか…………?」
「…………あぁ。」
「そ、それはここの人達が悪い人だからですか!?」
「そうだ、俺に害をなす人間や悪人は全員殺すと決めたんだ。」
「そんな…………。」
その奴隷は明らかにショックを受けていた。
「…………私のご主人様はいい人です、悪い人なんかじゃありません! あなたに害をなすこともありません! だから、殺さないでください! 殺すなら私を…………!」
あぁ、そういう事か、自分のご主人様を守るためにそう言っているのか。
…………申し訳ないが、それは出来ない。
「いずれここにいる人達は大規模魔法で全員殺すんだ。勿論君もね。だから、今殺してもあと殺してもどっちにしろ死ぬんだから同じじゃないかな?」
俺がそう言うとその奴隷は絶句していた。




