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182話 過去12



俺はそれから本当に何もせずに日々を過ごした。


何かをしてしまえば教会のみんなが殺されてしまうと思い何が何でも何もしないように心がけた。


ご飯も食べずにただ寝ていた方がいいとも考えたが、それはご飯を食べないということをしているため、それだったら食べていた方がいいとのことだった。


正直教会のみんなが命の危機に晒されているということを考えるだけで死にたくなった。


どう考えても自分を責めるように思考が向かっていく。


どうしてこんなことになってしまったのかと考えれば全て俺が生きているのが悪いという結論に至ってしまう。


だから死のうとしてもみんなは殺されて俺は何とか回復されて生き続けるだろう。


みんなが死ぬくらいなら俺が死にたいのに、俺が死んだらみんなも死ぬという悪循環だ。


何をどうやっても日曜の現人神という絶対的権力に逆らえない。


俺は次第にその権力ではある日曜の現人神を恨むようになった。


1度だけ会ったあの顔。


あの顔がたまらなく憎い。


そしていつも見るあの黒い人。


あいつも憎い。


あの二人だけは絶対に許さない。


俺にはその2人を十分に恨むだけの時間はたっぷりあった。


それが、幸か不幸か俺の何かを変えた。


その瞬間、俺の夢が変わったのだろう。


みんなと幸せに暮らすという夢からあの二人や教会のみんなに害をなす存在を1人残さず殺す夢へと。


俺はいつも通りに目を覚ました。


きっかり毎日同じ時間の起床だ。


それに合わせて黒い人が体を拭くタオルや朝食を持ってくる。


俺はそれを待っていた。


ドアが開かれる。


黒い人はいつも通りトレイにそういったものを乗せて運んできたが、俺の部屋に入った瞬間、それをガシャンと落とした。


そしてどこからともなく取りだした二本の短剣を構える。



「…………良いのですか? おかしな行動を取れば貴方のお仲間の命が危険に…………。」


「黙れ。」



俺は黒い人の懐へと瞬時に飛び込む。


俺の夢が変わった事によって俺のスキルの性質はガラリと変わった。


物を食べやすくするスキルが魔力を食べる事のできるスキルに変わり、それを使って生み出した魔力を全て食ったことによって俺のスキルは異常な程レベルアップしていた。


黒い人はその速度に着いてこれずにいきなり懐に現れた俺に驚愕している。



「なっ、何を!?」


「遅いよ。」



夢殺(ばく)



俺は黒い人の夢、魔力を全て殺し、奪い、食らった。


黒い人はそれだけでもう体が動けない程まで弱まった。


体に負荷をかけたりしてトレーニングしたり、体に負荷をかけることによって身体能力を向上させる道具か何かでも使っていたのだろう。


俺は地に伏した黒い人の背中を何度も何度も殴った。


次に足、腕、頭と順番に殴っていく。


黒い人からは血も何も出た様には見えない。


多分自分の存在を隠す道具でも使っているのだろう。


なんにせよ死んでいるのか生きているのか分からない以上、放置する訳にはいかない。


俺は部屋まで戻り、鉄のベットを解体し、パイプを削り槍のような形にする。


そして、それを黒い人へと何度も何度も突き刺した。


それでも血は出ないが、少なくとも首と胴体らしき部位は離れ離れになっていて、ピクリとも動かない。


…………本当に死んでるのかな?


分からなかったから胴体と頭も何度も何度も滅多刺しにしていく。


こいつは確実に殺さなくてはいけない。


新たな被害が出る前にさっさと殺さなくては。


俺は身体中がバラバラになり、少なくとも人間の形を保っていない程度になるまで滅多刺しにし続ける。



「…………よし、仕事完了。」



まず1人は殺した。


あとは何人いるだろうか?


まぁ、まずは外に出なければ分からない。


俺は周りの魔力を全て吸収して力を強めつつ、その暗い道を進んでいく。


このどこかに教会のみんなとあの日曜の現人神が居るはずだ、


まずは教会のみんなが最優先だ。


そのみんなを探してから、日曜の現人神を殺そう。


俺はそうやって進むのだが、気がつけば外に出てしまっていた。


中に入ろうとしても入口が分からない。


俺はその建物の壁を壊そうとするが、壊す度に他のところの壁が動いて壊す事ができなくなる。


これは、俺がここに入るのを拒んでいるのか。


つまり、日曜の現人神も俺とは会いたくないということだろう。


僥倖だ!


つまり日曜の現人神は自分自身で俺に勝てないかもしれないということを言っているのだ。


俺は何度も何度も壁を壊して壊して壊しまくる。


何度もそうやっているうちに、どんどんとそのドーム状の建物の色が白っぽくなっていき、中が見えてきた。


これは外壁が壊れてきているということだろう。


俺はチャンスだと思い壊し続ける。


しかし、その瞬間、ドーム状の建物のてっぺんから空飛ぶ円盤のようなものが飛び出した。


その空飛ぶ円盤のようなものの上に教会のみんなが乗っている。


空飛ぶ円盤のようなものはものすごい速さでどこかへと飛んでいってしまった。



「くそ! 逃げられた!」



俺がもっとスピードがあればあれは捕えられたかもしれない。


後悔は尽きない。


が、そんな事を言っていたとしてもしょうがない。


早くみんなを探そう。


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