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157話 ゾンビ男再来



ゾンビ男は地面に降りると直ぐに手に持っていた禍々しい杖を振った。


ろくな事じゃないのは確定しているので、俺は黒鉄に魔力を込めて攻撃をしようとしたが、体が上手く動かずに攻撃できなかった。


俺の中のナニカは早く変われと言わんばかりに俺の意識に攻撃をしてくる。



「あぁ、もう、分かったよ!」



俺はそのまま動けずに居たとしてもただ攻撃を何度も受けて死ぬだけだ。


そんな事になるならこいつに意識を受け渡した方がいい。


こいつらを殺せるなら構わない。


が、俺の憎悪は消えた訳では無い。


こいつらを殺しても俺には一番の憎悪の対象が居るから、1度湧いた憎悪は簡単には無くならない。


俺は体の主導権を受け渡したが、それでもいつでもその主導権を取り戻せる準備はしていた。


俺の体が少しづつ軽くなっていく感覚がある。


どうやっているのかは分からないが、俺はどんどんと動けるようになっていった。


しかし、それより前にゾンビ男は動きだした。



「さぁ! 喰らいあって、強かになり、あの晴輝とかいう野郎をぶち殺してやりなさい!」



ゾンビ男は思いっきり気持ちの悪い笑みを浮かべ、杖を振り下ろした。


俺は俺の中のナニカと考えが一致し、苦虫を噛み潰したような顔をした。



「な、なんですかその顔は!? 貴方はこれから死ぬのですよ!? もっと、その命乞いとかをした方がいいのでは?」



ゾンビ男はそんな調子に乗ったセリフを吐く。


気持ち悪いったらありゃしない。


俺は無言でそのゾンビ共に攻撃する。


元々は全員俺が殺した敵の死体なので、この前の時とは違い躊躇などは無い。


足や腕などの体を動かすのに関係する部位を重点的に切っていく。


…………悔しいが、戦うのなら俺の中のナニカの方が強いようだ。


俺はその調子でゾンビを殲滅していく。


首を切ろうとも胸を切りさこうとも何も無かったかのように突撃してくるゾンビは厄介極まりないが、それでも俺はゾンビを切り進み、ゾンビ男へと近づいて行った。


しかし、ゾンビ男は近くのゾンビに持ち上げられ更に奥へ奥へと逃げていく。


それでも、死体の数には限りがあり、このまま押し込めば何とか殺す事が出来る。


そう思っていた。



「…………くそっ。」



俺はお腹が切り裂かれる感覚を覚えた。


周りを見渡すと、キラリと輝く糸のようなものが見えた。


俺は空を飛んでいる金髪男を睨みつける。


金髪男はニンマリと笑いながら僕の方を見ている。


俺はそいつの顔面を一発どころかその顔をボコボコにしたい気持ちに駆られるが、俺の攻撃は今あいつには届かないため、その気持ちを押さえつけ、ゾンビを倒していく。


ゾンビはいずれ全員倒し切ることができるだめ、それが終わってからあの金髪男を倒そう。


そう思ったが、そう簡単なことではなかった。


それに気づいたのはゾンビ男の表情を見たからだ。


ゾンビ男は押されているはずなのにも関わらずにあの気持ち悪い笑みを浮かべ続けていた。


俺はその笑みに嫌な予感がしたため、周りを見渡した。


すると、後ろにゾンビが沢山いた。


普通のゾンビが居るだけなら別にいい。


しかし、そこに居たのは普通のゾンビでは無かった。



「ふふふ、これで命乞いをする気になりましたか? そう、私のゾンビ達は喰らいあう事によってどんどん強くなっていくのですよ。つまり、貴方が手足を切り落としたとしてもその手足を喰らって他のゾンビが強くなっていく…………。手も足も出ないとはこの事ですね!」



そう言ってゾンビ男は高笑いをした。


俺は舌打ちをする。


これじゃあジリ貧だ、何か策を考えなくては。


俺はとりあえず周りのゾンビを行動不能にしていく。


しかし、強化されたゾンビは今までのゾンビよりも少し固く、素早く、力強かった。


その程度では俺を止められる程では無いのだが、それでもこれが更に強くなっていくと俺ですら倒すのに時間がかかってしまうかもしれない。


そうなるとあの金髪男からの攻撃も何度も食らってしまうと流石の俺でも回復が間に合わなくなってしまうかもしれない。


しかし、俺は何も思いつかなかったが、俺の中のナニカは何か考えがあるのか、ただゾンビを倒し続ける。



「何を考えているんですか? そんなことをしていても私のゾンビ達が強くなるだけですよ?」



ゾンビ男はそんな俺の動きを不思議そうに見つつも、その上から目線な態度は崩さなかった。


俺だって何をしたいのかは分からないが、今回ばかりはその態度を崩してやりたいと俺は本心から思った。


ゾンビは互いに喰らいあいどんどんと強くなっていく。


あるゾンビは体を肥大化させ、あるゾンビは体を金属の様にしていた。


また、腕を剣のようなして俺を攻撃してくるものもいて、どんどんと俺も押されだした。


それでも、数は減っていっていたので、まだ戦えていた。


どうしても攻撃が効かない敵にはあの金髪男の攻撃を上手く当てて倒した。


その度にゾンビ男は金髪男を何か言いたげな表情で見詰めていたが、何か言わなかった所からきっとあの二人には主従関係が築かれているのだろう。


そんなこんなでゾンビの数は全部で15体にまで数を減らした。

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