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150話 コナーの過去5



僕はその紙を見てただならないものを感じて絶句してしまった。


そこにはこう書いてあった。



僕のお母さんとお父さんがあいつらに殺された。


このままだと僕らも殺されてしまう。


一緒に逃げよう。



僕はその紙を布団のシーツの隙間の間に隠した。


僕は見てはいけないものを見てしまったような感覚に陥り、ビクビクしながらその日は過ごした。


カゲ君のお母さんとお父さんが殺された?


あいつらとは多分あの研究者の事なのだろう。


だけどなんで?


僕には到底わかる気はしなかったが、それでもここが危険なところだと言うのは分かった。


僕は何回も辛い実験をさせられていたし、ここが嫌な場所なのは分かっていた。


だから逃げ出すのは賛成だ。


だけど、僕らがあの大人達を掻い潜ってここから抜け出すなんて出来ないと思った。


だからこそ僕はそれは見なかったことにしようと思った。


次の日からも僕への実験は続いた。


その日からも僕がその事を知った事はバレていなかったのか、 特にそれに関して勘づかれたような様子はなかった。


だから僕は大丈夫だと思っていた。


しかし、変化は突然に起こった。


その日はいつも通りに研究者のような男が部屋の中に入ってきた。


が、その日はその男の様子がいつもとは違った。


いつもは気だるげな表情で僕に接してくるのに、今日は何故か少し焦った様子だった。



「おい、お前これはなんなんだ!?」



研究者のような男は僕に1枚の紙切れを突き付けた。


それは僕がカゲ君から貰ったあの紙切れだった。


僕は動揺してしまい、ただただごめんなさいと言い続けた。



「はぁ、謝られても意味無いんだけどなぁ、本当に面倒な事になった。」



男はいつにも増して大きなため息をついた。


そして男はしばし思案した後、僕に1つの提案をした。



「なぁ、お前がこれを持っていることを他の奴らに知られたらかなり面倒なことになるんだ。お前も俺も最悪の場合殺されちまうんだ。だからひとつ提案がある、お前も俺もこれは見無かったことにする。これでいいな?」


「どういう事?」



僕はその意味が分かっていなかった。


だから男が提案をしてきているということが分からず、そんな事は嫌だと思っていた。



「えーと、なんて言うかな…………あぁ、もうめんどくせぇな、分かった。お前がこの紙を持っていたことを誰にも話さないで、尚且つこれの内容も忘れた振りをしてくれればお前の好きな物をやろう。だから黙っていてくれ。」


「好きなのも…………なんでもいいの?」


「あぁ、おもちゃでもお菓子でもなんでも調達していてやるよ。だから約束してくれるか?」


「うん!」



その当時の僕は男に言いくるめられたことにも気づかないままその提案を飲んだ。


それからは僕は律儀にそれを守った。


だけど、カゲ君と居る時は違った。


カゲ君はあの日以来ずっと元気が無い。


ご飯もしっかりと食べれて居ないのか、大分痩せてきてしまった。


カゲ君は僕に会う度に脱出の準備を進めていて、あともう少しで完成するという事を僕に伝えていた。


その話を聞いているうちに、カゲ君がここから逃げ出そうとしているのは本気なんだと感じるようになってきた。


そして、カゲ君の話を聞くに本当に僕達は殺されてしまうらしい。


僕たちはこの場所で何かの実験をされていて、その実験が終われば僕達は用済みになってそのまま殺されてしまうらしい。


カゲ君のお母さんとお父さんがそうなのかは分からないけど、少なくともこの場所で人は死んでいる。


だから僕達だって殺されないという保証は無い。


カゲ君と会う度に僕達はここを脱出するための計画を練って行った。


どうやらカゲくんは魔法のようなものが使えるらしく、それを使えば逃げる事だった出来るかもしれないとの事だった。


初めに聞いた時はそんなことできるはずがないと思っていたが、少なくともカゲ君は本当にそれができるかのような口調で話していた。


その時の僕はこの場所から一刻も早く出たかったから、その話を完全に信じ、カゲ君主体で一緒に逃げる計画を立てた。


僕達が逃げる為の計画を立てるのは僕達がそこまで頻繁に会えないということもあるため立て切るのにかなりの時間がかかってしまった。


その間にも僕の実験はどんどんと辛さをましていき、僕達が脱出計画を立て終えたころには、もはや僕は気絶してしまうくらいのハードなものへと変わっていった。


僕は辛さに耐え兼ねて何度も何度も計画をすぐに実行しようとしたが、それは小学生とは思えないほどの精神力で耐え抜いた。


そして、作戦決行の日は刻一刻と近づいてきた。

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