120話 オークのダンジョン
数十分ほどゆうちゃんに慰めてもらい俺は陽夏の部屋の所まで戻った。
その間に陽夏は風呂に入ったりして準備を終わらせたようだ。
女の子にしてはとてつもなく早いが、本人曰く手際良くやればこれくらいで終わるらしい。
しかもダンジョンに行くためファッションなどに気を使う必要は無いためその分時間もかからないらしい。
まぁ、ダンジョンの中だと汚れたり破れたりするしオシャレなどしない方がいいよな。
陽夏はいつも通りラフな格好だったが、やはり風呂に入ると何だか女の子という感じがする。
「あっ、晴輝どこいってたのよ!」
「あぁ、ちょっとな。そんな事より早く行こうぜ。」
「露骨な話題逸らしね…………まぁ、良いけど。それで、今回はオークのダンジョンでいいのね?」
「別にいいが、オークのダンジョンってどれくらいどこら辺にあるんだ?」
ここら辺の地理は元々そこまで分かっていないが大体は分かっている。
しかし、オークのダンジョンがどこにあるかなど見当もつかない。
「えっと、どこだったっけ?」
「いや分からんのかい。」
「コナー、どこかわかる?」
「あぁ、ゴブリンのダンジョンをすぎてちょっと歩いたところにあるよ。ゴブリンのダンジョンやウルフのダンジョンに比べたら距離が離れてしまうけど、そこまで遠くは無いよ。」
「そうなのか。」
なら何かあった時にはすぐに帰ってくる事も出来るわけだな。
「そう言えばそんなに近いならオークがここまで来たりはしないのか?」
「うーん、するかもね。モンスターは他のモンスターのダンジョンがある場所には現れないんだけど、今はゴブリンのダンジョンが無くなったからこっちに来る可能性もあるとは思う。けど、このくらい距離が離れていればゴブリンやウルフ程の数は来ないはずだよ。そこまでの数が来ないならオーク程度なら多分抑え込むことが出来るから大丈夫だと思う。」
「そうか、じゃあ心配要らないんだな。」
「うん。それにここの人達の指揮はこれから佐々木君に取ってもらうことになったからね。佐々木君はしっかり者だから大丈夫だよ。」
「それなら安心だな。」
やはり俺たちが駄目になったら共倒れになるようじゃ駄目だよな。
この街の人達だけでこの街を守ることが出来なくては駄目だ。
「で、みんなもう準備はいいんだな?」
「うん、準備万端だよ。」
「よし、じゃあ出発しようか。」
そうして俺達はオークのダンジョンへと向かった。
通っている道は見覚えのないものばかりだった。
やはり俺が引きこもっているあいだにここら辺はもう俺が知らないものになってしまったのだろう。
まぁ、もうここら辺の記憶も無いけどな。
俺達はかなりの速度で走っていき1時間ほどだった頃にダンジョンに着いた。
外見は殆どゴブリンのダンジョンと変わらなかった。
恐怖みたいなのは無いが、やはりそこはかとない不気味さは感じてしまう。
俺達は少し息を整えダンジョンの中へ入っていった。
中はゴブリンのダンジョンとは違い草原のような場所になっていた。
そして何よりダンジョンの中が迷宮のようになっていない。
「あはは、驚いたようだね。ダンジョンにも色々な種類があって、ゴブリンのダンジョンみたいな迷宮になっているところもあればここみたいに平原になっているところだってあるんだ。」
「そうなのか…………というか、すぐそこにオークが居るじゃないか。」
「あぁ、こういうタイプのところだと敵にはすぐ見つかってしまうね。けど、このタイプの場所は敵にも見つかりやすいけど、階段とかも見つかりやすいんだ。さぁ、今はこのオークを倒しちゃおうか!」
「了解!」
そう言って俺と陽夏が駆ける。
コナーの能力も上がっているため周りにいるオークの殆どは目を閉じたり操られたりして動きがぎこちなくなっている。
そんな動きをしている敵など俺達にかかれば瞬殺だ。
陽夏は華麗な動きでオークをバッサバサと倒していく。
オークと言うともっと太ったイメージだったが、そんなことは無く、どちらかと言うと人間のような形にされた豚の様な見た目で、そこまで太ってはいなかった。
だから俺もそのオーク達を美しく倒していける。
太刀筋を美しくする事により無駄が省け、攻撃と攻撃が繋がり素早い攻撃になる。
「制圧完了!」
陽夏が最後の一体を倒す。
とりあえず周りのオークは全員倒すことが出来た。
「もっと先に行ったら多分まだ居るだろうから今のうちに階段を探しちゃおうか。」
コナーの目が赤く光る。
「あったあった、こっちだよ!」
コナーはその能力を使って階段を一瞬のうちに探し当てる。
マジで有能すぎだろ。
そんなコナーの能力もあり、オークを殲滅しつつ俺達はどんどんと先に進んでいった。
何だか最近はずっと順調に進めている。
このままいけばゆうちゃんを生き返らせられる時も近いかもしれない。
そう思うとモチベーションは無限に湧いてくる。
ゆうちゃん、待っててくれよ。
俺が必ず助けるからな。




