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115話 人為的



「待ってくれ、あれが生き物ってどういう事だ? どう見てもただの液体にしか見えないが…………。」


「うん、僕も最初はそう思ったんだけど、見てるうちにやっぱり生き物だってことに気がついたんだよ。」



あの液体が生き物だとすると、俺は生き物のネバネバの中に手を突っ込んでいたということになる。


うわぁ、ちょっとゾワっとした。



「晴輝君はキメラって知ってる?」


「あぁ、色んな動物とかが合体してるやつだろ?」


「そうそう、この液体は人工的に造られたキメラみたいなものみたいなんだ。それで体外魔力、つまり自分以外のものに影響を与える魔力を吸収してそれでダンジョンを造ってるみたいだよ。」



キメラか…………。


いや、どこから見てもなにかの動物が組み合わさって出来た物には見えないけどな…………。


どうみてもただの変な色した液体にしか見えない。


それに、そのキメラがダンジョンを作る為の魔力を吸収していたんだな。


つまりダンジョンって言うのは生き物なのだろうか…………。



「いやまて、一瞬聞き流してしまったが、人為的に作られたものって事はこれは人間が作ったって事なのか!?」


「いや、それは分からない。少なくとも自然に出来たものでは無いみたいだね。体外魔力を吸収する生き物みたいなのを色々掛け合わせて周りから魔力を大量に吸収するキメラが造られてるみたいなんだ。僕が見た感じではそんなような情報が見えるんだ。」


「そうか、じゃあまだ人間が造った物じゃない可能性もあるのか。」



ダンジョンはあの液体が中心なのは分かった。


あの液体が生き物でそれが地球を侵略しようとしてきているならまだ分かる。


だが、それが人間が作ったものなら。


もしそうなら、俺は()()が嫌いになってしまうかもしれない。


元々人の事を好きになるなど無かったが、更に憎んでしまうかもしれない。


しかし、この液体は人間以外が作った可能性もある訳だ。


それなら逆に少し安心だ。


別にいい事では無いが、その製作者が宇宙人的な物なのだとしたら心置き無くぶち殺せるからな。



「まぁ、地球に居るような生き物でもないし、人間が造ったっていう可能性は低いかな。こんな厄災が人災だったなんて最悪だもんね。」


「…………そうだな。」


「あ、そう言えば、周りの機械もちょっと調べてみたんだけど、ここ全体がダンジョンを作る為の部屋だったみたいだよ。だからここが正真正銘このダンジョンの最深部だってわけだね。」


「そうなのか、何か他のところを探したらまだ階段があるんじゃないかって思って少し怖かったんだが、それは杞憂だったようだな。」



前のゴブリンのダンジョンの時も何かあったら困るためあの機械の部屋から出た後かなり色んな所を回ったからな。


あの時はあそこまで言った労力をまたもう一度繰り返してしまうのではないかとかなり不安だった。


今回も同じように探そうかと思ったが、その必要は無いようだな。



「この部屋の金属も殆ど地球にあるものと変わりないように見えて結構微妙に違うものが多いから、やっぱりこのダンジョンは地球外から来たんじゃないかって思うよ。SFチックな話だね。」


「SFチックて、このダンジョンそのものがSFみたいなものだろ…………。」



それにしても今まであまり考えてこなかったが、このダンジョンってものは明らかに地球のものでは無いし、物理法則なども確実に破っている。


つまり高度な文明を持った地球外生命体とかによる攻撃だって言う可能性も有り得るよな。


まぁ、それ程高度な技術を持っているのならさっさと地球を焼け野原にしてしまえば良いはずで、何故こんなにも回りくどい手法をとっているのかは分からないけどな。


その生命体みたいなものの道楽的な感じで俺達が殺されているのかもしれないし、ただ単純にこの方法以外に攻撃の手段がないのかもしれない。


どちらにせよ憶測にすぎないし、まず地球外生命体の攻撃じゃない可能性だって有り得る。


今分かっているのは、地球では無い所からこのダンジョンが来たという事だけだ。



「はぁ、また謎が生まれてしまったな。」


「そうだね、まぁ、まだダンジョンは世界中にあるし、まだまだ謎は深まるんだろうね。」



そう思うと少し憂鬱な気分になる。


俺はゆうちゃんを救う為にダンジョンに潜っているのだが、一向にゆうちゃんを生き返らせる方法が見つからない。


いや、断片的には分かっているのだが、それ以上の進展がないというのが正しいだろう。


あと少しのところで1歩足りずにてか届かない感覚だ。


ゆうちゃんに何が起こるか分からない以上、急がなくてはいけないのに…………。


それを考えると俺はどんどんと自信がなくなっていってしまう。



「大丈夫だって、人を生き返らせる方法は必ずあるさ。これだけダンジョンがあって全てのダンジョンを巡ってその中に人を生き返らせる技術が無いわけないよ。」


「あぁ、俺は諦めない。」



それが俺の責務だ。


そうして俺達はまだ調べたりないとタダをこねるコナーを無理やり引っ張ってダンジョンから帰還した。


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