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106話 目を治す



俺は陽夏とコナーを治しながらちらっと女の人を見る。


女の人はコナーの言った通り、地面に倒れ痙攣していた。


よく見ると目から血を流している。


やはりコナーが使っていた能力みたいな物なのだろうか。


たまに見ていたコナーの能力は目を閉じさせると言った物だったが、さっきの女の人の能力はそれとは違い、相手の目を潰すという凶悪なものだった。


違いはあるにせよ、コナーと何か関係がありそうだな。


俺はその女の人から目線を外し、陽夏とコナーに視線を向ける。


一旦あっちは放っておいも大丈夫そうだ。


俺はまず陽夏とコナーの治療を優先しよう。


コナーはまだ大丈夫そうだが、陽夏がキツそうだ。


俺が治したことで出血は収まっているが、それでもまだ目を開けられていない。


陽夏はあまり防御系のスキルや回復系のスキルのレベルが高くないため、もろにダメージを食らってしまったのだろう。


とはいえそれをフォローするための役割を俺が担っていたのだが、こうも広範囲に攻撃を受けてしまえばどうする事も出来ない。


これは今後の課題だな。


ともかく今は陽夏だ。


コナーはもう大分大丈夫そうなので、陽夏の目を治す。


陽夏を治していると、いきなり目を開け、刀を抜いた。



「危なっ!?」



その刀は俺には当たらなかったが、スレスレの所を通って行った。



「あっ、ごめん! 大丈夫!?」


「あ、あぁ、大丈夫だぞ。」


「本当にごめんなさい、敵を倒さなきゃって思ってたら周りの事を考えてなくて…………。」


「気をつけてくれよ? 敵は今もう瀕死状態だから大丈夫だ。それよりも目はもう痛くないのか? 少なくともまだ治ってはいないように見えるんだが…………。」


「え? あっ、痛っ!?」



俺の言葉を聞いた陽夏はまだ痛みが残っていた事に気付いたのか、すぐに目を押さえた。



「落ち着け、治してやるから。」


「う、うん。ありがとう。」



それにしても敵を討つ為なら痛みも忘れる事が出来るなんて凄いな。


それでも敵が居なくなったと分かればやはり傷は痛むようだ。


俺は陽夏の目をしっかりと治す。


イメージとしては元の状態よりも良くするくらいに治していく。



「これでよし、もう目を開けて大丈夫だ。」


「…………治ってる、ありがとう、晴輝。本当晴輝は凄いわね。」


「はは、ありがとう、他に違和感とかは無いのか?」


「うん、大丈夫。」



よし、成功したようだ。


今までとは違い全然治らなかったため少しびっくりしたが、ちゃんと治せて良かった。



「じゃあ、あの女の人の所に行こうか。」



俺達は地面に転がっている女の人の元へ行った。


目からは夥しい量の血が流れているし、痙攣もかなり弱弱しいものになっていて、少なくとも生きていて奇襲を狙っているようには見えなかった。


コナーも特に何も言ってこないので大丈夫なのだろう。


コナーは躊躇せずに鞄の中から瓶に入った目を取り出した。



「ちょ、危ないわよ!?」


「大丈夫大丈夫、この人はもう瀕死みたいだから僕を害することはできないよ。まぁ、それ以外にも自分で使わなくても使える罠とかがあるかもしれないけどね。」



そう言ってコナーは笑う。



「いや、笑えねえよ。」


「ははは、はぁ、そうだよね、ごめん、ちょっと軽率だったかも。」



コナーは冷静になると自分が危ない事に気付いたようだ。


やはり痛みから解放したということでみんな気が緩んでいるのだろう。


まぁ、結果罠とかは無さそうだし良かった。


コナーは瓶の中の目を吸収した。



「…………凄い、目を操る力が強化されたみたいだ。今まで未来予知とか鑑定の力が強化されてたけど、戦闘ではやっぱりこっちの方が使えるから嬉しいね。」


「ということは、さっきみたいな目を潰す能力が使えるってことか?」



さっきの女の人の能力を使えば相手がどんなに強くとも目さえあれば混乱は免れないだろう。


しかし、コナーはその問いに微妙な顔をした。



「うぅん、出来なくは無いけどさっきの女の人みたいになっちゃうかな。しかもあの人よりも威力が弱いから、人ひとりの目を潰したらあんな感じになっちゃうと思うから、多分実用は出来ないかなぁ。それでも目を閉じさせる力とか、開けさせる力とかはただ強化されてるから実用出来ると思うよ。」


「そうなのか、まぁ、それだけ使えるだけでも物凄い強化だよな。」



コナーが何百体もの敵の目を一気に潰す姿等も思い浮かべたが、それが出来るようになるのはまだまだ先のようだな。


ただ、それだけでもサポートとしては十分だ。


こう考えるとうちのメンバーはアタッカー2人にサポーターが2人とかいうアンバランスな組み合わせだな。


まぁ、俺がタンクになれば良いのだが、俺もどちらかと言えばサポーターだからな。


まぁ、今のままでもちゃんと戦闘は成り立っているし、別にいいか。



「あ、晴輝君、もうこの人に夢食(ばく)使っちゃって大丈夫だよ。もう起きることも無さそうだし。」


「そうか…………。」



俺達に攻撃してきたとはいえ、ここまで酷い感じになられてしまっては少し可哀想に見えてくるな。


まぁ、せめて早く楽にしてやるか。


俺は血塗れの頭に手をつけた。

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