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06 魔族の魔力

 リールと呼ばれたその少女はツインテールの髪の毛を揺らして怒っている。

「お子様とは何よ!私もう15歳なのよ!立派なレディだわ」

 確かにこの国では17歳で成人となるのでもう少しで大人の仲間入りだ。しかしレディ、と言う割にはまだ服装も幼く、魔法使いのローブもショート丈のポンチョで中には背後の腰回りに大きなリボンのついたAラインのワンピースを着ていて可愛らしい。


 ふん、とリールがそっぽを向くと、ザイドはへいへい分かった分かったと頬杖をついた。


「そんなことより、勇者様!」

「勇者、様?」

 突然言われてエルザはキョトンとするが、リールは気にしない。


「先ほどは助けていただいてありがとうございました」

「あ、あぁ、別に。てゆーか、勇者じゃないけど」

「あの強さで勇者様じゃないなんてあり得ないです!それとも勇者であることを隠さなければいけない事情でもあるのでしょうか、わかりました!そうであれば私も勇者様とは呼ばずにエルザ様とお呼びします」

 エルザの話は全く聞こえていない様子でリールは一方的に納得しニコニコと微笑んでいる。


「あー、まぁ、どうでもいいけど……。そんなことより、今回みたいな怪物は前にも現れたことがあるのか」

 エルザがザイドに尋ねると、ザイドは苦々しい顔で返事をする。

「あぁ、前にも見たことのない怪物が突然街の近くに現れたことがある。その時はあそこまで強くなかったから俺たちだけでもなんとかなったけど……」


「前に現れた怪物にも首輪のようなものはついていたか」

「首輪?……そういえばついていたような気がするな」


 ザイドの返事にエルザとルミナスは目を合わせて微かに頷いた。




 宴会も終わり、エルザとルミナスはザイドの紹介してくれた宿屋に泊まっていた。一応兄妹ということで一緒の部屋にしてもらっている。


「あの怪物の首輪に魔族の魔力の反応がありましたね」

「あぁ、首輪の中央にチューブのようなものがついていた。そこから黒紫色の光が漏れていたからそこに魔力が貯められていたんだろう」

「あの魔力は恐らくギザルドのものですよね」


 ギザルド。エルドラの部下であり、今回人間界に何らかの形で関わり精霊界に戦を仕掛けた一人とされている。


「魔族であるギザルドが直接人間界に介入することは不可能だ。だが魔力がギザルドのものだとすると何らかの形で関わっていることは確かだろうな。もしくは強制的に関わらざるを得ない状況か何かなのか」

 エルザは顎に手を置いて考え込む。


「強制的に、とはどういうことでしょう。人間には魔界や天界の者と直接関わる技術はまだ持ち合わせていないはずですが」

「だが実際に魔族と天使が関わる何かは起っている。我々には知らぬ所で人間が何らかの技術を得たのかどうか」


 エルザの言葉にルミナスは神妙な面持ちで言った。

「とにかく、朝になったら怪物について街で情報を得ましょう」




 早朝、バタバタバタ、と騒がしい足音が聞こえる。目覚めたばかりの虚な目でエルザがゆっくり起き上がると、突然ドアが激しく叩かれた。

「旅人エルザとルミナス!出てこい!」






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