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04 怪物

店内に慌てて入ってきた相手に、店主であるザイドは舌打ちをする。

「くそっ、また出てきたのかよ。自警団の奴らに声かけろ!俺も今行く!」


ザイドはカウンターの裏に設置していた双剣を手にして店を出ようとする。が、エルドラ達のことを思い出して慌てて声をかけた。

「お勘定は後でいいからそれそのまま装備して行け!ここにいると危ないかもしれねぇから早く逃げろよ!」


バタバタと店を出ていくザイド達を見て、エルドラ達は顔を合わせて頷いた。


「感じたか」

「はい。ここから少し遠いですが、あの気配は恐らく魔族」

「街の近くと言っていたな。俺達も行ってみよう」




逃げる街の人々の反対に向かって歩き出すと、街を出てすぐの辺りに剣や魔法の杖を持った人々が大きな何かと戦っていた。

それは見上げるほどの大きさで人のような姿をしているが二本の腕の他に背中から四本の腕が出ており、体の色はくすんだ緑で口からは鋭い牙が何本も生えている。首には首輪のようなものが巻かれていた。



戦う人々の中には武器屋の店内ザイドもおり、ザイドはエルドラ達の姿を見て驚いた。

「なんだお前ら、逃げてなかったのかよ!」


「これは……皆街の人達か?武器屋のあんたまでなぜ戦っているんだ?領主が配置している騎士達がどこにもいないのはどういうことだ」

武器を装備して戦っているのは騎士ではなくどう見ても街の人々だ。エルドラの質問に、ザイドは苦々しい顔をして返事をする。


「領主様は自分の手持ちの騎士を消費したくないんだとよ。何が起ころうがいつだって誰も助けに来やしない。俺達は自分達で自分達の街を守らなきゃいけねぇんだよ!」


ザイドは双剣を構えながら走り出す。ザイドを援護するように近くにいた魔法使いらしき少女の魔法攻撃が繰り広げられ、ザイドは宙を軽々と飛び双剣を投げる。双剣は怪物の体を貫いてザイドに戻ってくる。だがそれは怪物にとってはかすり傷のようなものだ。


「ちくしょう、どうすりゃいいんだよ」


武器を持った他の人々も怪物に何度も攻撃を仕掛けるが怪物は弱る様子もなく、沢山の腕を振るって人々をなぎ倒していく。時折口から紫色の閃光を放ち、地面には炎も広がっている。


気づけば先ほど魔法攻撃をした少女に向かってその閃光が放たれる。

「私の防御魔法じゃ防ぎきれない……!」

少女が目を瞑った瞬間に、エルドラが少女を担いで閃光を避け、安全な場所に着地した。


「大丈夫か」

エルドラに聞かれた少女は、突然の出来事に驚きと羨望の眼差しでエルドラを見ていた。


その間も、怪物からの攻撃は止まらない。と、怪物の首輪に黒紫色の薄く光るものが見える。


「見えたか」

エルドラが目を細めて言うと、ルミナエルも同じく目を細めて頷いた。

「はい、ありますね」


その言葉が合図となってエルドラは剣を構えて走り出した。

エルドラの後方からルミナエルが弓を構えて矢を何本も放つ。ルミナエルの矢は怪物の腕を次々と吹き飛ばし、あっという間に怪物の腕は一本も無い状態になっていた。


怪物は咆哮をあげながらエルドラに向かって口から閃光を放つ。だがそれが届く前にエルドラは高く高く飛び、怪物の頭のてっぺんから剣を一気に振り下ろした。







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