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44 芯の強さ

エルザ達とラインが戦っているすぐ近くでは、カインとリールがユイと戦っていた。


氷結列刃(クコリタプロトス)!!」

リールが唱えるとユイに鋭い氷の刃が次々に襲いかかる。だがユイは素早くその氷の刃を避けて行き、カインヘ攻撃を繰り出した。


素早い動きで攻撃してくるユイに対し、カインも同様に素早い動きで応戦する。


風華殺傷陣(アネトラモウマス)!!」

リールがまた唱えると、今度はかまいたちのように風の刃がユイを襲う。それを避けるごとにユイはカインから離れざるを得ない。


「くっそ、君ってばちょっとやっかいだよ、ね!」

そう言ってユイが投げた剣に繋がる糸は、リールの持つ杖に絡まった。そしてユイはその糸をしっかり引いている。


「くっ、何よ!離さないんだから!」

リールは杖を離すまいと杖を持つ手に力を入れた。


「リール!」

カインが駆け寄ろうとするが、すかさずユイがもう片方の剣を投げてカインの剣に糸を巻き付ける。


「リールちゃんって言うの?君さ、なんでカインを仲間にしたの?カインは元々はこっちの人間だよ、敵じゃん」


「エルザ様が仲間にするからよ。仲間にするって認めたってことは信じるに値する人間ってことだもの」


意志の強そうな瞳でしっかりとユイを見つめ、そう答える。


「それに、何があったかは知らないけどいたくなくてもそっちにいなければいけない理由があったからでしょう。根っからの悪人ってわけじゃないものきっと」


リールの答えに、ユイはつまらなそうな顔をする。


「何それ。だったら僕達だって同じだろ?」


「でも今あなた達は刃を向けてきてるじゃない。敵対する相手にはちゃんと立ち向かうわよ」


体ごと持っていかれそうになる杖を必死に掴みながら、リールはきっぱりと言い放った。


「君も孤児だったんだろ?ずるいよね、僕たちは散々ひどい目にあってこんなことさせられているのに、君は人にも場所にも恵まれてるじゃないか」


むかつくよね、とユイは不機嫌そうな顔でさらに糸を引く力を強める。


ユイの言葉を聞いて、杖を持つ手に力を込めながら、リールはゆっくりと深呼吸した。


「そうね、私は恵まれていると思うわ。赤ん坊だったから捨てられるまでの記憶はないし、小さい頃はわけもわからず生きていくのに必死だったの。でも、街の人達に優しくしてもらって、なんとか生きていけるだけの力をつけてきたわ。そしてエルザ様達と出会うことができた」


瞳をゆっくり閉じて、また開く。その目はしっかりとユイを捉えていた。


「仮定の話になってしまうけれど、もしも私があなた達と同じだったとしたらそれならその場所でも私は私が思う最善を尽くして生きていくわ。だから、もしもあなた達があなた達なりの最善を尽くして生きてきたのなら、私はあなた達のことを否定したりはしない」


すうっと息を吸ってから、きっぱりとリールは言葉を放つ。


「だから、あなた達が私達を殺そうとするなら容赦はしない。あなた達の命に真っ向から立ち向かうわ!」


リールの言葉を聞いた瞬間、ユイは全身に大きく吹き荒れる風を感じた。


そしてカインもまた、リールの言葉を聞いていつの間にか両目にいっぱいの涙を浮かべていた。




ドオオオン!と突然エルザ達の方から大きな音がする。ラインが大鎌でエルザに攻撃をしかけているがエルザは反撃していない。


するとラインの背後に大きな魔方陣が浮かび上がっているのが見え、ユイは我に返る。


「ようやく来たんだ…」







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