37 出立
エルザ達が怪物とバーゼイルを倒してから数週間後。ついに出立の日が訪れた。
「本当に行くのか?ここにずっといてもいいんだぞ」
「そうだよ、あんた達はこの街の恩人みたいなもんなんだから」
街の人達に別れを惜しまれルミナスは少し申し訳なさそうな様子だが、エルザは始終変わらない。
「怪物が生成されている以上、その根元を消さないとまた同じようなことが起こる。それを阻止するためにも俺たちは行くよ」
ただ…とエルザはザイドとリールの顔を見る。
「二人まで連れて行くことになるのは申し訳ないと思っている。ザイドは武器屋の店主でもあるしこの街には必要な人間だろう。リールだってまだ子供だ」
「なーに、ザイドの店には従業員もいるんだし店番くらいできるだろ」
街の人の言葉に、ザイドの店の店員は大きく首を縦に振った。
「大丈夫です!ザイドさんが戻ってくるまでしっかり切り盛りしますんで!」
店員の言葉に、そりゃ安心だな よろしく頼むぞ、とザイドは店員の肩をポンと叩いた。
「リールはどうせ行くなって行っても勝手について行っちまうだろ。そういう子さ。むしろなんだか申し訳ないね」
「子供子供ってみんな失礼ね!私ももうすぐ成人するんだから!それにエルザ様の足手まといになんてならないように頑張るわよ!」
リールは腰に手を当ててふんす!と鼻息を荒くする。そんなリールを見て、エルザ達も街の人達も優しく微笑んでいた。
道中困らないようにと沢山の物資を持たされながら、街の人達に手を大きく振ってエルザ達は街を出た。
「行ってきます」
「さて、ここからバーゼイルのいる場所へ向かうわけだが」
「またあの転移魔法か?ここなら街の連中にも見られないから大丈夫だろ」
街を出てからほどよく歩いた道の先で、エルザ達は立ち止まり今後の話し合いをしていた。そこは岩場に囲まれた拓けた場所だった。
「いや、バーゼイルのいる場所にはどうやら強めの結界が張ってあるようだ。転移魔法は恐らく使えない」
「だったらどうやって向かうんだ?バーゼイルがいる場所はエルザが透視してユリギス領の外れだとわかったが、ここから歩いて行くとなると数ヶ月はかかるだろう。馬を使ったとしてもかなりの距離だ」
カインが難しい顔で聞く。その言葉に、ザイドやリールも神妙な面持ちになっていった。
「心配ない、大丈夫だ」
そう言って、エルザは片手を目の前の岩場の壁に翳した。




