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34 告白

「人間として転生する前、私は天使、エルザは魔王でした」


エルザとルミナスが人間に転生した理由と目的を一通りザイドに話すと、ルミナスはさらにザイドとザイドの母親の話をする。


「あなたの母親は息絶える前にあなたの加護を願いました。そしてそれに答えたのが天使だった頃の私です。そしてその証としてその羽をあなたの母親へ渡しました」


ルミナスの言葉にザイドはただただ目を見開いて聞いていることしかできなかった。


「あなたに何かしらの災いがふりかからないように、そしてあなたが困難にぶつかった時に倒れてしまわないように、ずっと見守り時に手助けをしていました」


ふぅっと息を吐き出しながらルミナスは瞳を閉じる。


「あの日あなたの顔を見るまではすっかり忘れていたのです。人間になってから天使の頃の記憶は曖昧でほとんどなかったと言っても過言ではありません。でも、あなたを見た瞬間にあなたの記憶が甦りました」


ザイドはルミナスの話を聞きながら震える手を固く固く握りしめていた。


「……母さんが亡くなる直前に、この天使の羽が守ってくれる、この羽と一緒にずっと見守っているからって言ったんだ。でも、俺はその時天使がいるならなんで今すぐに母さんを助けてくれないんだって思ったよ。なんで死なせてしまうんだ……天使なんてどこにもいないじゃないかって」


ザイドの言葉にルミナスの胸はひどく痛んだ。


(天使の時には何も感じなかったことなのに、どうして今はこんなにも胸が苦しく悲しいのでしょう。ザイドのお母さんはあれが寿命だったのだからどうしようもないことなのに……こんなにも苦しいなんて)


「それからもずっと天使なんて信じなかった、いや、信じたくなかったってのが正しいかもな。でも、俺に何かしら良くないことが起こりそうな時、辛いことが起こった時、まるで奇蹟でも起こったんじゃないかって位のタイミングで回避されたりどんでん返しが起こったりするんだ」


天使の羽を優しく撫でながら、ザイドは言う。


「その度に思ってた。天使なんて認めたくない、でももしかしたらやっぱりこの羽のおかげなんじゃないかって」


そう言って、ザイドはルミナスの瞳をじっと見つめた。


「母さんの願いを叶えるために、あんたがずっと俺を見守ってくれてたんだな。それなのに、信じたくないなんて思って……すまなかった」


ずっと見守ってくれて、ありがとう。


ふんわりとはにかみながら笑うザイドの笑顔に、ルミナスの胸は高鳴り頬が赤くなっていくのがわかる。


(こ、この気持ちはなんなのでしょう?お礼を言われたことの嬉しさ?照れ?でもそれだけでないような気がしてなりません)


トクトクと早まる鼓動にルミナスは動揺を隠せない。


「い、いえ、あの、天使として当たり前のことをしたまでですので……」


あわあわと両手を大きく振りながら後退りすると、足元にあった小石につまづいてしまう。


「っおい、危ない……!」


後ろに倒れそうになるルミナスを間一髪で抱き止めるザイド。ルミナスはザイドの両手にすっぽりと覆われていた。


「あっぶねぇ、大丈夫か?」


心配そうに除きこむザイドの顔があまりにも近すぎて、ルミナスはさらに動揺してしまう。


「あ、あ、あの、近いです!エルドラとはどんなに近くても平気なのに、あ、あなただとなんだか胸がドキドキしてしまいます!」


両手を突きだしてザイドを遠ざけるルミナスの様子に、ザイドまで思わず顔を赤らめてしまう。


「えっ、いや、えっ?……嘘だろ?」







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