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02 店主と天使の羽

誤字修正しました。ありがとうございました!

精霊の案内で街に到着したエルドラ達は、すぐに街の住民達の視線に気づいた。住民達は皆ルミナエルの美しさに驚き、エルドラの美男子ぶりに黄色い声をあげている。


「さっさと武器屋を探すぞ」

エルドラがキョロキョロと辺りを見渡すと、いつの間にかルミナエルの周りに人だかりができていた。


「なんという美しさ……!あなたはまさか天使なのですか、いや、女神なのでは……?」

「おぉ、なんと、女神様が現れたぞ」

人々はこぞってやれ天使だやれ女神だと騒いでいる。


「いえ、あの私は女神様ではありません。天使ではありま…」

「我々はただの人間です。そんなことよりお尋ねしたいのですが、この街には武器屋はありますか」

天使であることを言いそうになるルミナエルを遮って、エルドラは聞き込みをする。


「武器屋ならあそこにありますよ」

指差さされた方向を見ると、そこには武器屋の看板があった。


「どうもありがとう」

エルドラがにっこりと微笑み礼を言うと、その場にいた女性達が黄色い声と共に悲鳴をあげる。


「ねぇ、武器もいいけど今晩泊まる所はあるのかい?なければうちの店においでよ。宿屋は複数あるけどうちは特別にお安くしておくからさ」

女性がエルドラにしなだれかかりながら耳打ちする。


「あぁ、気が向いたら伺うとするよ、すまないが今は急いでいるので失礼」

またにっこりと笑顔を向けると、女性は撃ち抜かれたようにその場に崩れ落ちた。


(ふん、人間とは全くくだらないものだ。さっさと仕事を終わらせて魔界に帰りたい)


エルドラはため息をついてルミナエルを見ると、

「どうして私が天使だとわかったのでしょう、羽もないというのに。さすがに女神と言われるのは困りましたね、女神様の中には嫉妬深く猛々しい方もいらっしゃるのでこのことが知れたら面倒です」

ルミナエルは違う意味でため息をついていた。その様子にエルドラはうんざりする。


「うかつに自分が天使だと言うのはやめろ。人間相手にそんなこと言っても頭がおかしいと思われるか、逆に盲信する奴に付きまとわれて無駄に崇められるだけだ」


「人間は簡単に作り物を崇拝してしまいますからね……むやみに惑い人や迷い人を増やす行いをしてしまっては、天使としてあるまじき行為です」

胸に手を当てて神妙な面持ちをするルミナエルを、ひどく疲れた顔でエルドラは見つめていた。




ギィ……と武器屋の扉を開けると、奥から店の主人とおぼしき人物が顔を覗かせる。20代半ばから後半位の年齢で、無精髭を生やし少し長めの茶髪をひとつに束ねている。


「いらっしゃい、見ない顔だな。旅人さんか?」

エルドラを見てからルミナエルを見て、店の主人は息を飲む。


ルミナエルを見た瞬間に、ルミナエルの後ろに白く大きな羽根が見えたのだ。


「……天使の……羽根?」

唖然とする店主に、エルドラがまた呆れた顔をして否定しようとする。だが、横にいるルミナエルの様子がおかしいことに気づいた。


「ルミナエル?」

ルミナエルもまた、店主の顔を見つめて呆然としていた。


(よくわからないがなんとなくややこしそうだな)


こほん、と咳払いをしてエルドラは店主に声をかけた。

「俺達はちょっと見映えの良いただの人間だ。旅をしているんだが、見ての通り連れの服装と装備が足りていない。見繕ってくれないか。金はここから取ってくれ」


机の上にドン!と山賊が落としていった金品を置くと、店主はその音に驚き我に返る。


「あ、あぁそうだよな。天使なんていないしな。すまねぇ」

店主の発言にルミナエルは一瞬異を唱えそうになるが、エルドラがそれを目線で制する。


「てゆーかあんた、随分とあれな格好だな……旅人で剣や弓を持ってるとなると冒険者か何かか?それでその格好は無理があるだろ。少し待ってろよ、今見繕ってやるから」







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