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40歳過ぎたオッサンの見る明晰夢  作者: ファンタ爺LV999
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第1夜 勇者

「おお成功だ!」


「ようこそ勇者様」


ん?勇者様?来たー男の夢勇者だー!てか本当に夢なんだけど。


「あの、あなた方は?」


そうだよな、先ずは状況の把握からだよな、わかっているじゃないか俺!まあなんとなく状況はわかってるんだが。


「ワシはここベネルーシェ王国の国王ベネルーシェ6世じゃ」


「私は第一王女のミリアリアと申します」


「今この国を含む人間界は凶悪な魔王の軍勢によって滅亡の危機に瀕しているのじゃ。そこで異界から勇者を呼ぶ秘術を使いお主を呼び出したのじゃ。どうかその勇者の力で人間を救って欲しい」


ほうほう、国王自ら説明して頭を下げるとはよほど切羽詰まってるんだな、てか予想通りの展開だな。

まあこの手の異世界小説は結構読んでたからこんなテンプレ展開になるよなー、で、多分ゲームみたいなレベルとかステータスとか出るんだろうなー。


「勇者様、現在のステータスを教えてはいただけませんか?」


やっぱりねー、ここでまさかのなんちゃって勇者って事はないよなー・・・無いはず・・・本当にそれだけはやめて。


「ステータスオープン。レベル1でHP200、MP150、筋力111、魔力108、体力122、精神力97、知力100、敏捷性105。称号魔法剣士、勇者。属性火、風、光。ですね」


「なんとレベル1でその数字ですか?素晴らしい流石勇者様です」


おお、勇者で良かった。

それよりレベル1にしては高いという事はやっぱり勇者はチートって事で良いんだろうなー、やったね。


「先ずはゆっくりお休み下さい、明日にはパーティー候補の者達を連れて来ますのでパーティーを組んで早速レベル上げに向かってもらいます」


いや、先ずは歓迎会とかしてくれよ!まあ俺の夢だしなー、俺こんなにセッカチだったかなー。


「この者達が勇者様とパーティーを組み共に戦う決意を持った者達です」


うーん、女性が少ない。勇者パーティーと言えば美女だらけのハーレムパーティーだろ、俺の夢なんだからそうじゃなきゃおかしいだろ!


って結局選んだのは厳つい顔の盾役戦士とイケメンシーフにオッサン魔導士ってなんだよ、まあ回復役のプリーストだけは俺好みの美女で少しは安心したが。


「それでパーティーも決まったし早速レベル上げに行きたいんだがどこが良いんだ?」


おい俺、何そんなに急いでんだよ、夢なんだから先ずはプリーストの姉ちゃんとイチャラブしろよ!


「そうですな、西に3日ほど行った「帰らずの森」か北に5日ほどの所にある「冥府のダンジョン」あたりが魔物も強くてレベル上げには最適かと」


おいおい、いきなり魔物の強い所って、ステータス高くてもレベルは1なんだぞ。


「そうか、ならダンジョンに行ってみるか」


ってコラ俺、何簡単に決めてんだよ、慎重とか用心って言葉知らねえのか!


あーあ、オヤジ好みのエロ展開になる事もなくダンジョンに来ちまったよ、しかもいきなり強い魔物がいる所って有りかよ。

まあダンジョンなら浅い階層は弱い魔物って相場は決まってるしなんとかなるか・・・多分。


おお、予想通り浅い階層は魔物も弱かったぜ、ここらへんは異世界小説通りだな、読み込んどいて良かった。


ほうほうほう、もう十階層のボス戦かい、レベルも既に29になってるしちょっと早くね?コレも勇者補正か?まあなんにしても早く強くなるのは良い事だ。


ん?もう三十階層のボス戦?途中を見てないぞ?コレはやっぱり夢だからか?うーんなんだか端折り過ぎのような気もするが。


で?また途中を飛ばして七十階層?おい俺、飛ばしすぎだろ!いや成長スピードじゃ無くて!

ってそう言えばレベルも80超えてるし、やっぱ成長スピードも飛ばしすぎだ!


「来たぞ91階層、ここからは未踏破の階層だな」


「はい、ここからはどんな魔物が現れるかわかりません、気を引き締めて参りましょう」


くうーーー唯一の癒しプリーストのメイリンちゃん可愛い、魔王討伐の暁には是非お近付きになりたい。


ドンドン踏破して行ってちょうど百階層のボス戦かー。相手はベヒーモス?まあかなり強くなったみたいだし大丈夫か。


「討伐完了」


「やりましたな」


「さて続きが有るのか無いのか」


おいオヤジ魔術師、不吉な事言うんじゃ無えよ。もう俺のレベルも100でカンストしてんだから続きがあってもコレで終わりだぞ。


お?良かったこのダンジョンの最下層はここ百階層だったようだ、まあキリが良いのが夢らしくて良いな。


「お帰りなさい勇者様。ダンジョンの成果はいかがだったでしょうか?」


おお、王女様に迎えてもらえるのもグッとくるな、メイリンちゃんも良いけどミリアリアちゃんも魅力的だし、うーん、魔王討伐後はミリアリアちゃんとって言うのも捨てがたい、いっそ2人ともって出来るのか?


「これは王女殿下お迎えありがとうございます。お陰でレベルをカンストする事が出来ました」


そうだった、俺の夢なのに俺の意思は関係無いんだった、おい俺、頼むから魔王討伐の暁にはどっちかと上手くやれよ。


「それは大変喜ばしいですわ。それで共の者達はどうです?」


「はい、我々も全員レベル100に到達致しました」


余計な事考えてる内にドンドン進んでるな、この強面顔の戦士もまあ自慢げに報告する事、いや本当に自慢しているのか?ダンジョン制覇もレベルカンストも珍しい事みたいだし。


「まあ、それでこそ勇者パーティーの一員ですわ。それではいよいよ魔王討伐に出発ですわね」


あれ?出発式とか壮行会とかはしてくれないの?俺グレるよ?って言っても俺の夢は聞き入れてくれないし。


はーーー、ご馳走イベントもイチャラブイベントも起こらずに魔王討伐に向かっちゃったよ、本当に模範的勇者だね。


で?何で勇者パーティーだけで魔王城に向かってんだ?魔王軍は軍団だろ?それじゃいくら強くても数で圧倒されて終わりだろう。


あれ?魔王軍が出て来ねえ、代わりに四天王とか言うのが出て来た。

あっ!一人目撃破・・・二人目撃破・・・三人目撃破・・・四人目撃破って四天王弱っ!


何だこれ?確かに夢だけど軍団相手じゃ無いってご都合主義過ぎだろ、まあ魔王が倒せればそれで良いか。


よし、次は魔王だっ・・・と思ったら12魔将とか言うのが出て来た、これ絶対仏教の12神将からとってるよね、まあ夢だしね。


そして簡単に撃破と、次はいよいよ・・・5魔将軍ですか、これはあれだ、三国志の蜀の5虎将軍が元ネタだ絶対。


流石にここまで来るとサクッとは行かないがとりあえず撃破と、そして次は・・・多分素直に魔王じゃないだろうな。


やっぱり、次は被り物してる、名前は魔レンジャーって、今度は戦隊もので来ましたか、どうなってる俺の夢!


名前はお遊びだったが強さは本物だった、侮り難し魔レンジャー。


次は何だ?もう何が来ても驚かねえぞ。


次は・・何だあれ?変なフルメタルプレートに緑色の大男?マントのガチムチ魔族に覆面で丸い大楯?纏まりのない格好だな、なんか一見普通の弓使いに見える魔族も・・・・・わかったこれはマーベルコミックだ、映画は好きなんだがなー、多分名前は魔ベンジャーズとか言うんだろうなー。


やっぱり、思った通りに名乗ったよ、まあ俺の夢なんだから当たって当然か。


そしてそれなりに強かった、まあ後になるほど強いのはお決まりか、だからこそ世のバトルものはパワーインフレが激しくなるのではあるが。


そしてとうとう魔王戦ですか、なんかここまでで疲れたんだが。

まあそうだな、コントロール出来なくても一応戦っているのは俺なんだから疲れるのは当然か。


「ほう、勇者とは珍しい。だがこの俺を倒せるかな」


うん、そのフラグを待ってた、これで勝ちは決定したね。


ギャイーン、ガイーン、ギャリギャリギャリ、カーン、ガキン、ガキガキガキ。


うーん、自分で死亡フラグ立てておきながら中々頑張るね、剣撃の音が自分でも煩い、まあ魔王だしそんなに簡単に倒されたりはしないか。


ザクッ

「グワー」


ようやく攻撃が当たったよ、まあこっちは5人パーティーだし時間の問題だったね。


ドシュッ

「グオオォォォ魔帝様申し訳ありません・・・」


ようやく勝った・・・でも・・・最後に不穏な事言ってたよね、魔帝様って何?魔王がラスボスじゃないの?


「よくも大事な部下の1人を殺めてくれたな」


あれ?いつの間に現れた?てか強さが魔王の比じゃ無いんだが。


「奥するな、相手は1人だ、かかれ」


おい俺、馬鹿な事は止めろ、勝てっこ無えよ。


「グワー」

「うわー」

「おおぉぉぉ」

「グエッ」

「キャーー」


ほらみろ全く歯が立たねえじゃ無えか。


「お前達をここで葬り去るのは簡単だがこいつの仇を討ちたい者は他に居るのでな、今回だけは生かしておいてやる」


助かったーー、てか魔帝かあいつに勝てる人間て居るのか?

まあ取り敢えずはベネルーシェ王国に帰って報告だな。


「首尾はどうじゃ?魔王は倒したのか?」


早速それかよ、先ずは労いの言葉とかじゃ無えのかよ、本当に王族って奴は。


「はい、魔王は無事討伐出来ました」


「そうか、そうか、良くやった、良くやってくれた」


王様喜びすぎ、まあその後の事を知らなけりゃ当然か、周りも同じような雰囲気だし。


「それで、御報告が1つあります」


「おう、なんじゃ?プリーストといい中になったから結婚したいとかか?」


くっ!この王様ここで俺の希望を当てて来やがった、当たってはいないがなんか悔しいな。


「そうではありません、実は魔王を討伐した後魔帝と言う者が現れまして」


「何?魔帝だと?」


「はい、強大な力を持っており私たちの力では遠く及びませんでした」


あっ!王様一気に落胆した。まあそうだろうな、魔王さえ討伐に苦労したのにそれより強い魔帝が現れたんだから。


「そうか、わかった。今日はもう良い、下がって休め」


まあ一応の目的の魔王は倒したんだし、ご馳走食べて休ませてもらおう。


あれ?まだ夢から覚めてねえ。ってかこれどこ?牢の中?


「おいこれはどう言う事だ?」


そうだそうだ、牢番風情が重要情報を知って居るとは思わないが現状の確認は大事だな。


「黙れ偽勇者め」


えっ?偽勇者?どゆこと?


「偽とはなんだ、俺は魔王を倒した本物の勇者だぞ」


そうだそうだ、もっと言ってやれ。


「本物は先ほど召喚の間で召喚されたよ。今頃は歓迎の晩餐会でも開いている事だろうさ」


おい、おれの時はそんなの開いてもらってないぞ、てかこれが魔王を討伐した勇者に対する扱いかーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


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