魔導師は最強になる
「よし、ついたぞ」
チュートリアルでも訪れたプラント大森林にはすでに5人パーティーが3組ほど確認できる。初級冒険者にとってここは最高の狩場だったからな。
やっぱり.……魔導師はいないか……合計15人いる冒険者の中には1人も魔導師はいなかった。
パーティーの人数制限が5人なのは、パーティーの人数が多すぎると達成される依頼が少なくなってしまうからだったっけ。
森に入ると早速モンスターがいる。ゴブリンだ。こいつは弱いはずだがチュートリアルで傷を負わされてから少しトラウマだ。
背をこちらに向けているのでこちらには気づいていない。詠唱を始める
〓〓〓〓〓「ファイアボール」
チュートリアル同様炎がゴブリンを丸焦げにする。
『レベルが1上がった』
レベルが上がると同時に新しい魔法の詠唱が頭に浮かんでくる。詠唱は日本語を話すと言うよりは知らない言語を意味も分からずカタカナで話してる感じがする。ドロップは今回はないようだ。
狩猟対象のオークを探しているとそう遠くない距離で爆発音が聞こえてくる。こんな低レベルのモンスターしかいない森にくるのはよほどのもの好きでない限り初期職業で魔導師を選んだ初級冒険者だろう。俺は不遇職の魔導師を選んだやつの顔が見たくなり、寄り道することにした。
音がした方に向かい歩いて行くと、俺と同じ紅のローブを着た魔導師がオークと戦っていた。オークも見つけられるなんて一石二鳥だな。
「みーずーよーわーれーのーちーかーらーとーなーりーいーきーおーいーよーくーとーべー」
「ウォーターショット」
「グオォォオ」
鋭い水の刃がオークの足を切断し、オークは体のバランスを崩し膝をつく。
「詠唱ってこんなこと言ってるのか」
詠唱が日本語に翻訳されるとかなり単調なことを長い時間かけて言っているのが分かる。《魔法語自動翻訳》は詠唱が翻訳されて聞こえるということか?どう使えばいいのだろう?
対人戦をする時の相手の使う魔法が事前に分かるくらいか?まあ魔導師系の職業は少ないし、対人戦も滅多にすることないが……予想はしてたがゴミスキルか……いや自動翻訳というと……もしかしたら……あれができるかもしれない。
そんなことを考えながら少女が戦っているのを見ているとウォーターショットを放った魔導師が転んでしまう。その瞬間、オークが気力で鋭い牙で攻撃を仕掛ようとする。このまま行けばあの少女は軽傷じゃ済まない。
「危ない!」
俺はオークを対象に意味のわからない魔法語ではなく日本語で詠唱をする。
「切り刻め!」「ウォーターショット」
ウォーターショット5回分ほどの魔力が減って目の前に水の塊が現れる、
「これは……どうだ?」
「バシュッバシュッシュシュ」
その水の塊はさっき少女が使った魔法とは桁違いの勢いで水を飛ばし、俺の詠唱?通りにオークを切り刻んでいく。
オークは声を上げる間もないままそれは大量のブロック肉と化した
「成功だ!」
俺は仮説を立てる。
詠唱は後に使う魔法をプログラムし、魔法の威力や速度、使用魔力などを変えるものじゃないんだうか。
今の場合俺の「切り刻め」と言う言葉で使用魔力やそれにオークを切り刻むほどの威力、水の量などの要素をコントロールした。
つまり《魔法語自動翻訳》のスキルは詠唱をする時日本語で魔法のすべての要素を決めることができると言うことだ。
おそらく合っている。ベルセルク内でが魔導師が最弱だった理由は詠唱をプログラムできなかったからだ。まあ知ったところでそれは不可能なのだが……
しかしこの世界では違う!俺は翻訳スキルを持っている。
「チートスキルじゃないか。」
魔導師がユータ限定で最強の職業になった瞬間だった。
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名前……ユータ
魔導師
LV.3
体力 150
防御 15
攻撃 15
俊敏 15
魔力 5018
魔攻 18
魔防 18
残りスキルポイント3
スキル
〈魔法語自動翻訳〉LV1
〈炎魔法〉LV1
ファイアボール
〈水魔法〉LV1
ウォーターショット
〈土魔法〉LV1
ウォール
〈風魔法〉LV1
ウインドカッター
〈光魔法〉LV1
ヒール
〈闇魔法〉LV1
バインドアロー
〈無属性魔法〉LV1
ライト