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最弱魔導士は魔法語が話せるので最強です  作者: スティ
始まりの地ドスタ
3/20

魔導師は気づく


足下の光が消え、周りを見渡すと幅の広い石畳の上を歩いている冒険者が大勢いたり、道の脇の露店の主人が客引きをしている。


「そこの兄ちゃんひとつ買ってかない?少し負けるよ」


「おーい、ポーション足りてるか?」


「このポーションがラスト一個だ、剣も刃こぼれしてる。金がたりねーよ!」


「ノランのやつ冒険者やめたらしいぜ」



ここは見たことがあるな、ベルセルクオンラインで何度も訪れたことがある始まりの街ドスタだ。またドスタに来てしまったっていうことはここは異世界ではないな。またバグか?一応確認してみるか。


「すいません、ここってどこですか?」


俺は露天商に恥を忍んで聞いてみる


「兄ちゃん変なこと聞いてくるな、ここは初級冒険者溢れる始まりの街ドスタに決まってるだろ、ほらついでになにか買っていけよ」


「いえ、いまはもちあわせがないので」


「そうか、次は頼むぞ!」


こいつから見たら俺は頭のおかしなやつだと思うのだが……どんな人でも商品を買わせようとする商人の商売根性に驚かされるが、ここの場所の名前の方が驚きだ。


「マジでヤバそうだ俺が異世界転移していないことになってる。色々とバグってやがる」


俺はメニューを開きゲーム終了しようとする。


『ゲームクリアまでログアウトできません』


「ん……いやいや、そんなことしたら俺死んじゃうよ」


ベルセルクオンラインはゲームクリアまで200時間はかかる超大作だ

200時間水分なし食事なしでプレイしてたらガリガリに痩せた死体が出来上がってしまう


夢でも見てるのか?二の腕をつねって見るとやはりゲームでは感じないはずの痛みを確認できる。

いつもよりリアルに感じる触覚、双方向のコミュニケーションができるNPC、そして出ることのできない世界


どうやら俺は本当に『異世界転移』してしまったようだ。


「聞いてねーよ!大体異世界転移なんて普通信じるか!?いや信じない!ゲームから転移するとか誰が想像できるんだよぉぉぉ!」


大変なことになってしまった。幸いこの世界の知識はあるが死んだら最後、コンテニューなどは存在しない。


教会で『おおユータ死んでしまうとはなさけない……。』などと言われ目を開けたら生き返ってるみたいなことも起きないのだ。死は『死』を意味する。ゲームクリアまでと言うことはゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのか?


俺の所持金は0zだ金を稼がなければ、この世界が現実だとすると、もちろん盗賊などの犯罪者グループも存在する。


この街は治安が他の街よりはいいから野宿をした時追い剥ぎに襲われる確率は確か5%くらいだったっけ?ゲームでは自分の所持品が無くなるだけだが(それでも充分厳しいが)


この世界のレベル1が盗賊なんかに襲われたら死んでしまう。95%に俺の命は掛けられない今日はなんとしてでも金を稼ぎ宿に止まらなければ。


当面の目標は2つ


「最低限宿に泊まれて食事ができるくらいの金を稼ぐこと。」


「レベルを上げて魔物や盗賊などの犯罪者と戦っても死なないようにすること。」


の2つだこの世界がベルセルクオンラインと全く変わらない世界なら俺の知識が絶対に活きてくるはず。バグ技でもハメ技でもなんでも使ってこの世界を生き延びてやる!


「そうとなったらギルドに冒険者登録だ!」


ギルドはこの街で一番大きな建物。見た目は地味だがこの街唯一の4階建立ての建物は目を引く。木造4階建は少し危ない気がするが……入り口の重厚な観音開きの扉は人の出入りが激しいためいつも開けっ放しだ。


ギルドに入ると懐かしの光景が目に入ってくる。うん、ここもゲームと全く同じだな。今は体感で午前11時くらいかな?ゲーム同様比較的ギルドが空いてる時間でカウンターに並ばず受付できた。


「冒険者登録を頼みたいんだが」


「冒険者登録ですね、でしたらこの紙に必要事項を記入してください」


彼女は慣れた手つきで紙を渡してくる。そして俺は

年齢や職業、性別などを記入してカウンターに提出する。


「魔導師……ですか」


「何か記入漏れでもあったか?」


「い、いえなにもありません」


受付嬢のつぶやきが聞こえる。ゲームがそのままこの世界に反映されてるだけあって、この世界でも魔導師は不遇職に変わりないらしい。


「では冒険者のシステムを説明しますね。冒険者は基本クエストの依頼を受けその報酬で生活する職業です。そういえば冒険者と言ったら私の弟が冒険者になりたいとか言ってくるのよ、冒険者は危険でリスクのある仕事だって何回も言っているのに、ロマンがあるとか訳の分からないことを言って反論してくるのよ………………………………」



受付嬢の長話、通称受けバナを聞くのは8回目だ。ネーミングセンスがゼロなのは分かるが自然とこの名前が定着した。


初回はスキップすることができないので5分にも及ぶ話を延々と聞くことになる。 しかもその話の9割が雑談と言ったらスキップをしたくなるのも仕方ないと思えてしまうだろう。ないのは分かってるが今もスキップボタンを探してしまう。


「話の内容は大体知っている。冒険者は黒、金、銀、銅、青、赤、黄色、白のランクで分かれていてランクが上がることで受けることのできるクエストが増えていく。あと、受けるクエストに書いてある0~10の星の数は、星が一定の個数溜まるとランクが上がる。また、レベルをあげることでランクをあげることも出来る。でいいよな。」


受付嬢は目を丸くさせて驚いた様子でこちらを見てる。やはりこのシステムもゲームと同じか、


「は、はいあっています!それではこちらをお渡しします。無くしても再発行はできますが10000zかかるのでお忘れなく」


彼女は俺の職業や名前が書かれた白色の名刺サイズのカードを渡してくる。ランクが上がると色の違うカードを貰える。


「クエストを受ける時はそのステータスカードがないと受けられないので持ってきてください。」


「了解した、ありがとう。」


早速クエストを受けなければ、クエスト依頼書がランクごとに分けられて大きな板に貼ってある。


「これだ!」


クエストを掛け持ちで受けることはできないので1番報酬が高いクエストを選択する。


——————————

ランク白~

★★★

オーク3体の討伐


報酬

10000z


場所

プラント大森林


——————————

ランク白で星3つは珍しいな

10000zというと、白の次のランクである黄色ランクのクエストの報酬の平均程度だ。俺は依頼書をさっきステータスカードを受け取った所と同じカウンターに持っていく。


「このクエストを受けたいんだが」


「クエストを失敗すると報酬の10分の1を支払って頂くことになってますが……失礼を承知で言いますが冒険者になったばかりのあなたがこのクエストを受けても失敗すると思います。」


彼女は心配そうな顔でこちらを見つめてくる。


「ああ、クエストの難易度が自分のランクに合ってないのは分かってる。だが俺がオークより強いことも分かってる」


「初クエストがオークですか、オークは牙での攻撃力が高く、重傷を受ける白ランクの冒険者が大勢います。気をつけてくださいよ~」


プラント大森林というと俺が最初にスポーンした森だ。この街から歩いて行ける距離だしさっさと終わらせて金をかせごう!



「よし、着いたぞ」

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