魔導師は到着する
「ミーア、起きろ、もう着くぞ」
「ん……わかった」
まだ瞑ってる目をこすりながら眠そうに目を覚ます
ドスタからここまで、10日ほどの日数をギリギリ2人が横になれるくらいに狭いこの馬車の中で過ごしたんだ、相当疲れてるだろう。しかも日本みたいに道はアスファルトで舗装されてないので車輪が小石を踏んだだけで大きく揺れ、満足に眠れない。俺もかなり疲れてる
これでもかなり多めにお金を払い俺とミーアで馬車を貸し切ったのだ。10分も前からずっと見えている高い高い塔のあるにもうすぐに着く
最初の冒険の目的地は塔の街タワトンだ。この街のランドマークでもある塔は黒を基調としたデザインである。細部まで細かで美しい彫刻が施された彫刻は、世界中の芸術家が見学しにくるほどだ。また塔の直径は200メートルほどで、100階層で構成されたこの塔はタワトンの都市ができるはるか昔に存在したダンジョンだ。
通常のダンジョンが地下に広がるのに対して、タワトンのダンジョンはその名の通り上に広がる。これはこの世界のダンジョンの中ででも唯一だ
ダンジョンの周りには冒険者が集まり冒険者の周りには装備やポーションなどを売る店がある。店の周りには従業員が住む住宅がある。そして住宅の周りには日用品や食品を売る店がある。このようにして塔の街タワトンは世界有数の巨大都市に成長したのである。
街の門から500メートルほどのところで馬車が止まった
「よし、ここで到着だ。お疲れさん」
「ここまでありがとう、お疲れ様、これがここまでの移動費だ」
俺は大銀貨が40枚入った袋を俺たちをここまで運んでくれた御者に渡す
「1、2、3、~40確かに40万z頂いた。運賃がこんなに高くて乗客が2人とはまさに上客だな、ハハハ、じゃあな死ぬなよ」
俺たちが冒険者と知ってた風なことを言って馬車は帰って行った
ドスタからタワトンまで1番安くて1人10万zくらいだったか、今回は前金と合わせて50万zだったが男をミーアに近づけないためなら安い出費だ。ミーアは別に乗り合いでもいいと言っていたが俺がなんとか意見を通した。それにニーナさんにミーアは俺が守るって言ったしな
馬車を降りると街に入ろうとする人の長い列が門からここまで続いているのが見える、これは全て街に入るための審査に時間がかかっているせいだ
門は日が沈むと同時に強制的に閉められる。あと1時間ほどで日没なのでぎりぎり街に入れるくらいか。門を増やせばいいと思うが、増やすには壁の中の建物と壁を壊さないといけないので、そう簡単に増やせるものではないが設計ミスではあるな
「え、ユータさんもしかしてこの列に並ぶの? もう疲れたし早く宿に泊まりたいよー」
宿に行って休めると思い喜んだ矢先にこの長蛇の列だ、ミーアが文句を言うのもわかる。しかしこの列を飛ばしてすぐ街に入るには貴族にでもなるしかないな、そうすれば顔パスで入れる
今もいかにもお金持ちの雰囲気の金の馬車が白い馬に引っ張られて列の横を通り過ぎてった、ああいうのが貴族だろう
「そこのカッコいいお兄さん、タワトン名物の肉まん買ってかない?」
自分よりは若い男の子がお盆を持って食べ物を売りに来た。ここの列の人は逃げられない客なので売り込みが沢山できる。商売のチャンスなのだろう
ミーアは絶対お腹が減ってるだろうし、俺も肉まん5つくらいなら入るお腹の空き具合だ、何個か買ってみるか
「じゃあ、5ついただく、一ついくらだ?」
「5つも買っていただけるんですか、ありがとうございます。1つ200zなので合計で1000zです」
銀貨一枚を渡すと肉まんをお盆から皿に移してくれた、それに冷たいことを予想していたがなぜか出来立てのように温かい、あのお盆は魔道具なのか?
「ミーア、肉まん買ったけど食べるか?」
4つの白い食べ物を見せて声をかける。
それまでぐったりと地面に寝ていたミーアが体を起こし肉まんに飛びついてきた
「肉まんって何? 白くて不思議は見た目だね、でも美味しそう!」
「肉まんっていうのはな白いふかふかのパンのような生地に肉を入れた、それはとても美味しい食べ物なんだ」
解説しているとミーアの手から2つ肉まんが消えている、さては食べるのに夢中にで聞いてなかったな
「ユータさんなんか言った? 肉まんってとても美味しいね」
やっぱり聞いてなかった、俺も食べるとするか……うん!美味い!ゲームでもここの肉まんは名物だったし、実際に食べてみると実に美味だ。
コンビニで食べることが多かった肉まんだがお腹が減ってたせいかそれより美味しく感じる。それにしてもこの世界の飯は総じてレベルが高い。日本と同等のかそれ以上だ。おそらくベルセルクオンラインのデータをそのまま流用していて、そのゲームを作ったのが日本の会社だからだろうか。
そうこうしてるうちに列が前に進んでいき俺たちの順番がくる。海外旅行に行ったことがない俺にとってこういう入国審査みたいなのは初めてだ。
「お連れ様と一緒にこちらへどうぞ」
順番がくると入街審査所に一緒に来た人と案内されるシステムのようだ、ミーアも一緒でよかった。
1人じゃ少し心細い。
ギルドの受付のようなところでいくつか質問をされる
「ここでの目的は?」
「ダンジョンで稼ぐためです」
「滞在日数は?」
「1ヶ月から2カ月くらいです」
「ステータスカードをそこにかざしてください」
青白い光を放っている板を指差しながらそう言われる10センチかける15センチくらいの小さい板でステータスカードが2枚収まるくらいだまたその板には魔方陣が刻まれている。これは指名手配犯かどうかや犯罪履歴を確認するためのものだろうか、これに引っかかったら街に入れないとか、カードをかざすと板が緑色に発光する
「ようこそ、塔の街タワトンへあちらが街への入り口です」
緑色のはセーフってことか?
ミーアのかざした板も緑色に発光しこちらに案内されてる。ここまでかなり事務的な問答だったがそうでもしないと並んでる人全員が入れないのだろう
係員の人も本当はこの街について紹介とかしたいと思うのだが……これも門が少ないせいだ
ここまで長かった。やっとタワトンについたぞー!
「そういえばユータさんなんでこの街に来たの? ただ単にこの街が大きいから?」
肉まんを食べて元気になったのか、いつもの調子で質問をする。そういえばミーアにこの街での目的を言ってなかった
「いやこの時期はここタワトンで一大イベントが開かれる、それに参加するために来たんだ」
「え、なにそれ、もったいぶらないで教えてよ」
俺に文句を言うが怒ってるミーアもかわいい
「ほら、あそこのポスターに載ってるやつだよ」
もともと教えるつもりだったので目立っている大きなポスターを指差す
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竜のごとく塔を駆け上がれ
サバイバルバトルレース!
参加資格:3人以上のパーティであること
パーティ内の過半数が青ランク以上の冒険者であること
参加費:1000万z
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「「あれ、参加資格1つもクリアしてなくない?」」




