未来に向かって。
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サンローゼ領屋敷の裏庭をカインが一人下を向きながら何かを探しながら歩いている、太陽がかなり高く上がっていて暖かな日差しが裏庭を照らしていた。中々目的の物が見つからないのかあっちに歩いてはしゃがみ、こっちに歩いてはしゃがみを繰り返し井戸のそばにようやく目的の物を見つけた。カインが探していたのはサンローゼ領で“春の訪れを告げる花”と言われている小さなピンク色の花だった。
「にぃーちゃまぁー」
小さな女の子がぽてぽてと足早に歩きながらカインに近づいてくる、カインは先ほどよりもっと笑顔になり近づいてきた女の子を抱きしめた。女の子からはミルクの甘い匂いとお日様の匂いがしている、女の子もカインの胸にぐりぐりと嬉しそうに顔をうずめた。
「リファ、お早う。もう朝ご飯は食べたのかい?」
「うん、たべたよぉー。おいちぃかった、にぃーちゃまはなにをちてたの?」
「この小さなお花を見ていたんだよ。そうか、リファは初めて見るんだね。このお花が咲くと冬が終わり、春が来るんだ」
「はるぅ?」
「そう、春。リファにとっては初めての春だね。沢山お花が咲いてとてもキレイなんだぁ!」
「おはなぁ?りふぁ、おはなぁすきっ?」
カインは物心がついてからずっと冬しか知らない可愛い妹に沢山春を教えてあげよう、沢山美味しい食べ物を食べさせてあげようと心がワクワクしてくるのを感じていた。酷寒期の中、何度もつらい事や悲しい事があったがいつもこの小さな妹が家族を笑顔にしてくれた。今度は自分がリファをずっと笑顔にする番だとかわいいプクプクの頬をつつきながら思うのだった。
カインはリファを抱き上げると裏庭の所々に咲き始めた花の名前を一つ一つ教えるのだった。その度にリファは「かあいいねぇ」とか「きえいだねぇ」など楽しそうに答えていた。リファとの楽しい時間を過ごしていると屋敷の方からバタバタと数人が走ってくる。
「あ~いたいた。もう、勝手に外に出ちゃダメでしょう」
「いいじゃないか、やっと暖かくなってきたんだから。少しは自由にしてあげようよ」
アリスがカインに抱かれているリファを見つけて安堵の笑みを浮かべながら注意をするが、一緒にリファを探していたと思われるクリスに宥められていた。リファはアリスを見つけるとカインからもがく様にはなれ、タタタッと走り寄ると「ねぇーちゃま」と抱き着くのだった。
「ごめんなさい、おこってゆ?」
「はい、もう怒ってないわよ。でも次はちゃんと姉様かクリス兄様に言ってから外に出ないとメイド達が大騒ぎしているわ」
「はーい」「「ははっははは」」
リファの可愛い謝罪にアリスは注意をするが全く怒れずその様子を見た、クリスとカインも笑い始めたのだった。リファはアリスに抱かれてクリスと共に屋敷に戻って謝罪行脚だ、屋敷の中ではリファの大捜索が行われているのだろうと思うと笑みがこぼれる。
一人裏庭に残ったカインは、井戸や小さな畑を見て『ここから始まったのだ』と昔を思い出していた。
サンローゼ領の為に異世界の知識を使い少しでも便利に生活がしやすく、みんなを笑顔にと思って頑張ってきた。
その頑張りもありサンローゼ領で酷寒期に寒さで亡くなる人や飢えで亡くなった人は一人もいなかった、終わらぬ冬は無いとの言葉はあるが、本当だなと長くつらかった酷寒期の生活を思い出し涙が自然と流れてきた。
「カイン様っ!こんな所にいたのですね…んっ?どうかされました?」
「えっ、ああ、ちょっと目にゴミが、入ってしまっただけだよ。ガーディ」
「「「ああっ、いた」」」
ガーディと話しているとバルビッシュ、ララ、サーシャがガーディと同じ様にカインを探していたらしく裏庭に集まってきた。酷寒期中に10歳になり成人もしたがこの4人は変わらずカインのそばに居続けてくれた。振り返ると何度も何度も死にそうな目にあってきたがいつもこの仲間たちと乗り越えてきたなと改めて思うとこみあげてくる物があった。カインは必死にこぼれ落ちそうな涙を堪え大きな声で言うのであった。
「ガーディ、ララ、バルビッシュ、サーシャっ!本当にいつもありがとう。そしてこれからもよろしくねっ!」
「「「「はい」」」」
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異世界領地改革 土魔法で始める領地改革 少年編 はこれで終了です。
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