家に帰ろう。05
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リディアとマギーはカインの報告を聞いて椅子から立ち上がりカインを取り囲んだ、二人のプレッシャーに押されてプルプル震えながら【魔法の腕輪】から【美容の泥】が入った樽を取り出した。そして【解析の眼鏡】で調べた効能を伝えると周囲の男性陣とメイド達と一人ひとりと目を合わせてからリディアが宣言をする。
「この【美容の泥】については、サンローゼ家門外不出とします。その代わり全女性使用人及び女性文官、武官が使用する量は必ず確保します」
「「「承知いたしました」」」
リディアの突然の宣言にその場にいたメイドから物凄いやる気の籠った返事が返ってきた。その後、マウントバック砦の女性兵士からの進言について説明をしたが【美容の泥】の事が最優先になっているのか、リディアが即答しまったく異論、質問も無く承認された。
次の日、早朝からザインが呼び出され温泉地への【転移の杖】での移動確認実験が行われ問題無く移動できる事が分かると、リディア、マギーと数人のメイドを引き連れて温泉地への視察が行われた。
リディアとマギーで【美容の泥】の効果が【解析の眼鏡】で示された以上だと分かると、その日から10人単位で1日2回温泉地への出張が組まれカインは1週間送り迎え要員として駆り出されたのであった。その結果、今までもサンローゼ家の女性使用人はリディアを筆頭にまとまっていたが、それにマギー、文官、武官の女性達も加わりより一層団結力が増したのであった。
この【美容の泥】は王太子妃シャーリーにも献上され、王妃、第二、第三王子妃にも共有され王家の団結にも一役買う事になる。そのおかげでカインは2週間に1度の割合で王都へ出張する事になるのだが、サンローゼ家の価値が爆上がりししいてはシールズ辺境伯家の力も増すので頑張ってその役目を務めたのだった。
それにより、表向き一時的に世界樹の森の村から【転移の杖】をサンローゼ領から王都間の使用に限りカインに貸与する契約がされた。背景は2週間に1回も王都に行きたくないとザインが苦情を言って来たからだった。
「しかし、女性の美に対する努力って凄いよね…」
「はい、尊敬に値しますね」
「まあ、そのおかげで酷寒期に向けての寒さに強い作物の種などを融通して貰えているのだから感謝なのかな」
カインとバルビッシュは王都シールズ辺境伯屋敷で定期的に実施している【美容の泥】販売会に参加している貴族夫人、子女の美容への熱心さに敬意を感じていた。サンローゼ家では、【美容の泥】だけではなく特産品であるツバキオイルの石鹸やツバキオイルのヘアオイルも併せて販売しており生産が追い付かない程人気を博していた。
カイン達が壁際で即売会の様子を見ていると反対側の壁際で談笑をしていたシャーリー王太子妃が扇子を使って手招きをしているのが見えた。念のため周囲を見渡しカイン以外がいないことを確かめて一礼をしてから近づき、2メートルくらいまで近づき頭を下げて「お呼びでしょうか」とシャーリー王太子妃に声をかけた。
「カインちゃん、そんな遠くじゃお話が出来ないわ。もっと近くに来て」
「は、はい。失礼いたします」
「私とカインちゃんの仲じゃない?そんなに固くなる事ないわぁ~今日はお母様を紹介したくて」
「ふふふっ、シャーリーあまり男の子をからかう者じゃないわ。小さくても紳士なのですから、初めましてカインちゃん。シャーリーの義母のソフィアよ素晴らしい物を見つけてくれて本当にありがとう。毎日綺麗になっていく肌や髪が嬉しくて、ありがとう」
「もったいないお言葉、有りがたき幸せにございます」
カインは王妃と王太子妃、そして王子妃達に囲まれて冷や汗で背中がびっしょりになった。気安い感じで話されてはいるが、少しでも不敬な発言をすれば首が飛びかねなく、サンローゼ家やシールズ辺境伯家に不利益が生じるからだ。必死に笑顔を張り付け丁寧に応対をするのだった。
「あ、そうそう。今度私も【美容の泥】浴に行きたいの、シャーリー曰くその方が美容効果も長続きするみたいだから。よろしくね」
「そ、そちらの件については何分子供なので分かりかねますので、母であるサンローゼ子爵夫人を呼んでまいりますので。お、お時間を頂けますと幸いです…」
「ふふっ、上手に応対するわねぇ。いいわ、サンローゼ子爵夫人を呼んできてもらえるかしら」
カインは「はいっ、承知しました」と即答し後ずさりでその場を辞してリディアの元に走ったのだった。そして、リディアに王妃様が呼んでいると伝え逃げる様に即売会を行っている部屋から出ていくのであった。
その日を境に王妃はカインを見かけるたびに呼び寄せたり、王城に登城しているのをどこからか察知して自分の部屋によんだり何かにつけて接触するようになった。カインはそのたびに緊張でガチガチになりながらも親交を深めていくのだった。
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