温泉を探しに行こう。06
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カインが放った言葉に男達は一瞬にして顔面蒼白になる。いくらキックス伯爵の縁者だと言え一般人である、それが貴族のそれもキックス伯爵より格上のシールズ辺境伯が家臣のカインに「ぶっ〇してやる」は明確に不敬罪にあたる。
キックス伯爵領であれば即座に断罪されても文句の言えない状況であった。男達はブルブルと震え始め五人共に牢屋の中でペタンと腰が抜けたかのか座り込んでしまう。その様子をみてカインは「よし、シナリオ通り」と小さく呟きバーバー隊長に目配せをした。
「先ほどまでの威勢はどうしたのだ?全く情けない、まあ不敬罪はその場で死罪にされても文句が言えないから致し方がないが、こちらのカイン様はその様な事はご希望では無いと先ほどおっしゃっていた。ただし、お前達の態度次第だがな」
死罪に震えていた男達はワラでもつかむかのように格子の所に走り寄り膝をついて「何卒ご容赦を」と口々に言い始めた。バーバー隊長はその様子を見てバルビッシュに合図を送った。
「自分はシャムロック家が家臣、バルビッシュだ。お前達に問いたい、正直答えたならお前達の不敬罪は問わないと言われている。正直に答えよ、お前達は昨夜のトンネル襲撃者達と仲間でトンネル襲撃もキックス伯爵の指示で相違ないか?お前達はあくまでキックス伯爵の指示で行動をしただけで合っているか?」
バルビッシュは男達に少しだけ威圧を放ちながらゆっくりと”キックス伯爵の指示”と言う所強調して質問をした。男達は戸惑い、返答まで時間がかかったが絞り出す様に「間違いない」と答えたのだった。
「もう一度聞く、キックス伯爵の指示で間違いないな?」
「間違いないっ!キックス伯爵様の指示ですべてやった事だ、だから命だけは命だけは助けてくれっ!」
バルビッシュの念押し確認にリーダーらしき男ははっきりと答え、命乞いを始める。カインはその結果に満足の笑みを浮かべ最後の筋書きを話し始めた。
「そうか、全てキックス伯爵の指示か…それであればお前達の私に対する不敬罪は不問とするが、王領の代官であるページ卿が作られたトンネル襲撃についての罪は不問にはできない。これは誰の指示であっても明確なる王国への反逆だ、よってお前達に即刻死罪を言い渡す!」
カインは静かだがはっきりと男達に”死罪”だと伝えた、バルビッシュの問いに正直に答え存命の希望が見えた所を再度奈落に落とされ男達はその場でむせび泣き始める。男達が十分絶望を感じたタイミングで牢屋の部屋の扉が開きダブリが入って来た。
「お待ちくださいシャムロック卿。その者達の刑罰は私に一任して頂けないでしょうか?王領ポートトレビスの代官補佐として現代官のベンジャミン様のお沙汰を伺いたいと存じます」
「ダブリ代官補佐…確かに私がこの者達に刑罰を与えるのはいささか越権行為になるやもしれないなぁ、分かったこの者達の処罰は現代官のベンジャミン殿にお任せする」
そう言い放つとカインは牢屋の部屋からバルビッシュ達を引きつれ退場をした。牢屋の部屋の扉が閉まると中からは命が助かった男達の歓喜の叫びが響いたのだった。カインは心の中で「これにて一件落着」と微笑むのであった。
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兵舎の応接室にはカイン達とダブリ、バーバー隊長が椅子を持ち寄り午後のお茶を楽しみながら談笑をしていた。先程迄の寸劇は全てカイン達の筋書き通りでうまく行った事のちょっとした打ち上げをしているのだ。
「しかし、あそこまでカイン様の筋書き通りとは御見それしました」
「本当に、あの者達のセリフまでほぼカイン様の推測通りであの者達も演者かと一瞬疑ってしまいましたよ」
「えっーー?それは無いです、大体悪者達は同じ事しか言わないから予測が簡単なだけです。それに本来の目的はキックス伯爵との衝突とサンローゼ子爵家、シールズ辺境伯家が追わない事なんですから。流石のキックス伯爵も王領のトンネル襲撃に関わった犯罪者を縁者だからと言って庇う事は出来ないでしょう?」
カインの目的に賛同し協力した二人は「「確かに」」と大きく頷いたのだった。後日、襲撃を行った六人と騒ぎを起こした五人はポートトレビスにて犯罪奴隷にされ五十年の労働を課される事になる。ポートトレビスではキューディシアの脅威とキックス伯爵領への不当な関税の支払いが無くなり急激に発展をしている為、一人でも人手が欲しかったので渡りに船の案件だったのだ。
まあ、その中で代官に就任したばかりのベンジャミンだけが就任早々問題を持ち込んだカインに対して今度会ったらきつめの修行を付けてあげようと黒い笑みを浮かべていたのは誰も知る由もない話である。
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