アーサーの結婚式。17
何時もお読みいただきありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
翌朝、朝食が終わると王太子夫妻とベンジャミン、ペシュケ達は三日後のアーサーの結婚式の前日には戻ると言ってザインにポートトレビスへ【転移】で移動していった。それからサンローゼ家の人々は結婚式の準備に奔走を始める。
今回アーサーの結婚式を開催に際しカインはブライダルコンサルタントを担当していた。アーサーの結婚式と披露宴の内容を聞いてあまりにもつまらなかったからだ。基本的にサンローゼ領では信仰の自由が認められているので教会での式などは行わない。
基本的に人前式だ、今回はシールズ辺境伯夫妻が参加するのでシールズ辺境伯が結婚の見届け役を行う。人前式が終わるとサンローゼ領の商業、工業、農業のそれぞれの顔役などを会食に招待し挨拶をして終了という、地球時代の結婚式が頭にあるカインに取って物足りなさ過ぎたのだ。
そこでカインは、自分が考える結婚式プランをリディア達にプレゼンをして認められブライダルコンサルタントに任命されたのだった。ほとんどの準備はすでに終わっており本番を迎えるだけなのだが、マギーが来ないと出来ない事が三つほど残っており本番までの間つきっきりで練習にいそしむのであった。
「はい、ワンツースリー、ワンツースリー、はい」
カインの掛け声とアントに達のヴァイオリンの演奏に合わせアーサーとマギーがダンスの練習をしていた。今回カインがアーサーの結婚式に追加したのがダンスで、有名なテーマパークのアニメなどでプリンセスの結婚式でみんながダンスを踊っているのを思い出し取り入れたのだ。
ただ、生粋の日本人であった地球時代にダンスなどやった事が無かったので唯一文化祭の後夜祭で練習した二種類のステップだけの超簡単なダンスにした。ワルツのリズムに合わせて移動するステップと新婦をクルリとターンさせるステップの二種類。移動する方向を変えればその二種類だけでもダンスしている様に見えるからと後夜祭で行ったのを思い出したのだった。
「はい、ワンツースリー、ワンツースリー、アーサー兄さま、マギー姉さま上手です。はい、続けてワンツースリー、ワンツースリー、はい、ターン」
練習初日ではあったが、アーサーとマギーは、二つのステップをほぼ習得し披露宴会場に使う食堂の中を自由自在にステップを踏みながら移動していた。流石に一時間も踊っていたので二人とも結構な汗を流していた。
「はい、お疲れ様です。これで汗を拭いてください」
ダンスの練習を終えて息を整えているアーサーとマギーにカインは二人に良く絞った濡れタオルを渡した。二人は笑顔で差し出された濡れタオルを受け取り首筋などに浮き出ている汗をぬぐった。
「カイン君、ダンスって楽しいわねぇ」「そうだな、凄く良い運動になる」
二人の感想を聞いて気に入ってくれたのが分かりカインは「それは良かったです」と答えたのだった。当日は二人だけが踊るのでかなり緊張すると思うが、二人以外このダンスのステップを知らないので多少間違っても大丈夫と伝えるとアーサーとマギーは安心したのか「それは良い(わ)」と声を上げて笑うのだった。
---
「カイン君?この歩き方で良いのかい?」
「はい、合っていますラインハルト伯爵様。はい、イチニッ、イチ二ッ」
カインの掛け声に合わせてマギーとラインハルト伯爵が右足、左足、左足、右足と歩く練習をしていた。二人とも最初は恥ずかしがって中々足が揃わなかったが、「二人で歩くのも最後かもです」とカインが言うと途端に真剣に練習を始めた。
「しかし、こうやって娘と、マギーと歩き婿殿へ引き渡すと思うと込み上げてくるものがあるね」
まだ練習ではあるがラインハルト伯爵は本番を想像し寂しい気持ちが込み上がってきている様だった。マギーはその言葉を聞いて「父上、しっかりしてください」と叱咤していたがその表情は嬉しそうだった。
「その様な気持ちがあるという事は、ラインハルト伯爵様がマギー姉さまを深く愛されていた証です」
カインの言葉を聞いて余計ラインハルト伯爵は込み上がってしまったのか練習は一時中止となった。その様子を見てラインハルト伯爵夫人は「他の娘達にも同じ事をしてあげたかったわ」と優しい笑みを浮かべながら言うのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
しばらくの間1日2話更新で進んでいきます。
よろしくお願いいたします。




