アーサーの結婚式。02
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季節はすっかり春になりたまに日中長袖のシャツでは汗ばむ陽気になった日の午後、カインとルークがサンローゼの屋敷の前の車止めでリディア達に見送りをされていた。今回出かけるのはルークとカイン、ララ、バルビッシュ、ガーディ、ランドルフそしてザインの7人だ。
サーシャはザインの代わりに残り温室栽培の指揮とリファの護衛を務める。今回ランドルフがルークと共に王都に行くので屋敷の中の警護が少し手薄になるとカインが考えたからだ。まあ、その考えは当たってなく、ランドルフが完璧な警護体制を構築しているので問題が無かったとカインは戻ってから知らされるのである。
「あなた、くれぐれもマギーの先方に失礼が無い様にね。ランドルフおねがいね」
「分かっている、昨晩さんざん注意を受けた。私は基本的に何も要求をしない、それでいいのだな?」
リディアはルークの返答に「良く出来ました」とまるで子供を褒めるかのように、にこやかな笑顔で言うのだった。ルークの横でランドルフが恭しく頭をさげて「お任せください」と返事をしているのでルークに立つ瀬がない。
カインはメイド長が抱いているリファに向かっていつまでも「バイバイ」や「お昼寝するんでちゅよー」と、離れる気が無いのではないかと思うほどべったりだ。
「はいはい、そろそろ行かないと待ち合わせの時間に間に合わなくなりますよ」
ザインがしびれを切らし出発を促すとルークはカインをリファから引き離し、リディアとアーサーに「行ってくる」と告げるとカインを右腕に抱えたまま馬車に乗り込んだ。ルーク達が乗りこみ扉をランドルフが閉め御者席に座る。ザインとララ達は、後続の幌馬車に乗り込んだ。
ランドルフが「出発」と声を発すると御者が鞭を鳴らし馬が走り始める。それに合わせてサンローゼ家の使用人から「行ってらっしゃいませ」と見送りの言葉で送られた。馬車はいつもの様に旧市街から新市街の大通りを通り街門を出る。
街門の外にはカインの農業チームが作っている小麦畑に青々とした小麦が順調に初穂し始めていた。その横をカイン達の馬車が通ると作業をしていた従業員が馬車に向かって頭を下げていた。カインはその様子を馬車の中から見て手を振って答える。
街門を出てしばらく進むと街道から馬車がはずれ草原の中で停車する。ザインの幌馬車もその後を追い、街道を逸れてルーク達の馬車の後ろで停車した。
「はい、それではいつもの様に並んでください。まずはシールズ辺境伯領に【転移】して、集合場所で待っているジョン達と共に再度【転移】して王都に行きますからね。シールズ辺境伯領についてもその場から動かないでくださいね。それでは…【転移】」
ザインの【転移】の言葉で周囲の揺らぎと共に酩酊感を感じると数瞬後、見慣れたシールズ辺境伯領の街門が見えた。カイン達が【転移】して来た場所から少し離れた所にシールズ辺境伯とアイシャが待っていた。
「おおっ、カイン時間通りだな」
「ねぇ、ジョン?なぜカイン様なんだい、今回は僕がコントロールしているんだけど?」
シールズ辺境伯とザインが何やら口論を始めるが【転移】して来た位置から動くなと言われているのでその場で見守る事しか出来なかった。そうこうしているうちにアイシャがカインの横に移動し並び立つ。
「ザイン殿、早く移動しましょう?私は早くマギーちゃんに会いたいの」
アイシャの言葉にシールズ辺境伯が苦虫を嚙み潰したような表情をしながらザインを睨みつつアイシャとは反対側に立ち並ぶ。サンローゼ領から【転移】の時の様にザインが【転移】と唱えると今度は王都の城壁が見える場所に移動したのだった。
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