新年が明けて7
【祝5,500万 PV】
何時もお読みいただきありがとうございます。
温度を一定に保つ範囲は“暖房機を中心に半径3mで高さ3mの円柱と説明された。なぜ円柱?と質問をすると元々の魔法陣の仕様が円柱だったからと回答が返ってきた。
色々物凄く突っ込み所が沢山あるが、カインは”ファンタジーの世界だから“と追求するのをやめる事にした。
「それで、お値段の方はどのくらいですか?」
「こちらは金貨3枚になるそうです、こちらもほぼ原価なのでこのように黒樹板が剥き出しになっています。ですのでトーラスからは販売される時はカイン様の方で外側を作成して販売して欲しいと言われています」
またも破格の金貨3枚と言う値段が出てきてカインは頭を抱えた。この性能で金貨3枚など魔道具の価格破壊も良い所で、この値段で市場に出した場合、どんな影響が出るか想像も出来なくカインはルークやシールズ辺境伯へ丸投げする事を心に誓った。
「ありがとうございます、早急に使って使用感をレポートにして提出します。後はないですか?」
カインは質問をした後、カラカラになった喉を潤すために香茶を口に含んだ。
「そうですね、ほぼ説明しましたが…ああっひとつ忘れていました。この魔道具の名前ですが”カインヒーター“だそうです」
ブゥーー、ザインから告げられた余りにもインパクトのある名前に思わず口の中に入っていた香茶を吹き出す。危なく目の前のザインに吹き付ける所をすんでの所で左を向き誰もいない空間に吐き出した。
「ご、ごふぉ。す、すみません。な、なんで僕の名前が入っているのですかっ!そ、そんなの許可できません」
「はははは、そうは言っても世界樹の森の村では魔道具を作った製作者が名前をつける権限を持っていまして。もう登録もされてしまいました。ははははっ」
ザインもこの事を予測していたのか少し乾いた笑いをして何とか誤魔化そうとしている。カインはすぐに取り消しに行ってきますと飛び出そうとしたが、バルビッシュ達に引き留められまた、ザインが取り下げるのには裁判が必要との説明をされて泣く泣く諦めたのであった。
「何故、僕の名前が…目立たなく静かにゆっくり過ごしたいだけなのに…」
「…カイン様?何もサンローゼ領で販売する時にそのままの商品名で売らなければいいだけです。販売時には外側に何か箱ををつけるのですよね?
そうであれば、例えばサンローゼで売るのですからサン=カインヒーターとかにすればどうです?」
「サーシャっ!そのアイディアとっても良い!でも、あんまり変わってないっ!」
サーシャとカインの漫才の様なやり取りに一同は盛大に笑うのであった。
「そうそう、もう一つ大事な事を言い忘れました。このカインヒーター分解しようとすると魔法陣が自壊しますので何卒分解などしようとしないでくださいね。特にベンジャミン殿とか。
複製防止の為につけた機能だそうです、あと販売後この魔道具の開発者を名乗る者が、まあ言いがかりをつけてくるものが出てきましたらこのキーワードを唱えてくれと言われています」
ザインはそう言ってカインヒーターに手をかざし呟く。
【汝の製作者を示せ】
カインヒータの前面部が3回淡く光るとほぼ中央部に光るエルフの古代文字が現れ
【製作者:世界樹の森の村のトーラス】と表示された。
「何処にでも悪知恵を働かせる者が居るので対策を追加させました。後追加でこの魔道具をサンローゼ領から持ち出そうとすると検知できる様にする事も可能なので必要な場合はおっしゃってください。銀貨5枚で追加します」
複製、言い掛かり、盗作、盗難対策まで至れりつくせりでカインは感謝しか感じていなかった。これでお金は掛かるが、酷寒期に寒さで亡くなる人を減らせると思うと胸がいっぱいになったのだ。
カインヒーターについては使用感のフィードバックをした後、契約を結ぶ事にしてザインは自宅に帰って行った。
その夜、カインからカインヒーターの説明を聞いたルーク、リディア、アーサー、ベンジャミンそしてランドルフが思いっきり頭を抱えたのは仕方がない事だろう。
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