2度目の訪問3
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シールズ辺境伯が投下した爆弾発言により、馬車の中は気まずい空気が流れていた。ルークは何度か何かを言おうとしては、口を閉じるを繰り返し、ザインは声を出さずに小さく肩を震わせながら笑っていた。
「お祖父さま、あの…陛下はあた「まて、カイン。それ以上は口に出してはならん」は、はい」
カインが絞り出す様にコメントを出そうとすると、シールズ辺境伯からストップがかかる。
「それ以上は、カインを不敬罪で罰せねばならぬ。カインも貴族の末席に名を連ねているのじゃから腹で思っても口に出してはならん。良いか?」
シールズ辺境伯は最初は厳しい口調で説明をしていたが、カインが下を向き小さくなっているのを見て最後は頭を撫でながら言った。
「ザインもそこで笑っていないでちゃんとフォローしないか。お主も一緒に聞いていたじゃろう?
ルーク、カイン安心せよ。陛下はただ闇雲に旅行をしたいと言われているわけではない、我が国はそれなりに広い、王都の指示が我がシールズ辺境伯領や他国との国境に接している貴族領に広まるまで時間を要する。
陛下としては以前からその辺を気にされていて指示や情報がどの様に伝わるのかを確認したいとのご希望なのじゃ」
「それならば、わざわざ退位されてから行われなくても…」
ルークがシールズ辺境伯の説明に少し納得がいっていない様で追加で質問をする。
「それには正当な理由があった、王位についたまま視察に行き視察先で何か事故でもあったら大変じゃ。それに比べ退位された後であれば、万が一があっても王位につかれているわけではないので国政に影響が少ないと言うのが陛下のお考えじゃ。
…分かっておる。退位されてても影響は勿論ある、それでも退位されていれば影響は少ないのが一般的じゃな」
シールズ辺境伯の説明にルークとカインは「「確かに」」と考え頷いた。納得し始めている2人に対して小さく笑いをこらえていたザインがついに声を上げて笑い出した。一度笑い始めてしまうと中々収まる物ではなくしばらく笑い続けるザインを3人で見守った。
「あー、やっと収まった。皆さん、すみませんでした。決してフローラル王の発言に対してでは無いです。一緒に冒険をしていた頃の快活なフローラル王を思い出し、落ち着いたなと思う反面、あまり変わっていなかったと思ってしまいまして。本当に失礼いたしました」
笑ってしまっていた原因をザインは説明し最後は、居住まいを正して頭を下げて謝罪をした。
「儂としては、長年王都からほとんど出る事も無く政務を努められていた陛下のご希望は出来る限りご協力したいと考えておる。しかし、儂には”転移の杖”の操作は出来ない、ザイン、カインなんとか協力して貰えないかの?」
「ふぅ、ジョン?私は旧知の友人の希望であり、頼みだから出来る限り協力するよ。でも、私も世界樹の村の大使としての活動があるから全部が全部叶えられないけどね。
それに、カイン様の方が負担が多いと思うよ」
ザインはシールズ辺境伯の要望に「出来る限り」と前置きをしてOKをした。
「お祖父さま、僕も協力します。ただ、ザインさんの様にずっとは…まだまだ、領民の皆さんに喜んで貰う為に色々やりたい事もありますし…」
「ありがとうの、カイン。その辺は儂がちゃんと陛下と話をするから任せて欲しい」
シールズ辺境伯は、カインの返答に目を細めながら喜ぶと再度頭を撫でるのであった。
話の結論が出た所で馬車の扉をノックする音が聞えてきた。シールズ辺境伯が「どうぞ」と返答をすると。「シールズ辺境伯様、サンローゼ子爵様、お待たせしました、準備が整いました」と伝えられた。
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