おばあちゃんのお願い5
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カイン達は、魔道具屋から真直ぐ屋敷に戻ると玄関先で第三執事のニコライがカイン達を出迎えた。
「カイン様、お帰りなさいませ」
「只今戻りました。ニコライさんがお出迎えなんて、僕に何か用ですか?」
いつもは、メイドさんがお出迎えしてくれるのだが、ニコライが待っていた事を不思議に思った。
「はい、急ではありますが浴場の件でお館様のお時間が取れましたので、お戻り直後で申し訳ございませんが、ご足労お願いいたします」
ニコライはビシッと90度の礼をした。
「うん、分かりました。一度部屋に戻って着替えるので迎えに来て貰えますか?」
ニコライは「はい」と短く返事をした。
カインは急いで部屋に戻って着替えをした。ちょうどカインが着替え終わる頃に部屋のドアがノックされる。どこかに監視カメラでもあるのかと思うほどピッタリのタイミングだった。
「お祖父さま、失礼しますカインです」
執務室の扉をノックし名乗ると、扉が開き「どうぞ」と返事が返って来た。
「お祖父さま、只今戻りました。本日は、お時間を頂きありがとうございます。浴場建設の許可を頂きたく参りました」
カインが執務机の前まで進み、帰宅の挨拶と面会の理由を説明する。その間にニコライから企画書が配られシールズ辺境伯が内容を確認した。
「ふむ、カインすまんな。アイシャが無理を言った様で、リディアからの手紙を貰ってからしきりに羨ましがっておっての。儂からもその内にお願いしようと思っていたのじゃ」
シールズ辺境伯がすまなそうな表情で、カインにお願いをして来た。
「大丈夫ですよ。僕もお祖母さまに喜んで頂くのが一番ですから」
「すまんの。内容は全てこの計画書通りで問題なしじゃ」
「ありがとうございます、完成しましたら是非、お背中流させて下さいね」
カインはニッコリと笑い言った。
その後、建設開始日や職人の手配などを話し合い執務室を辞した。建設日時の短縮の為、カインが基礎と浴槽、壁などを作成し屋根や窓などを職人が作る事になった。また、排水関係もカインが担当になった。
カインは、2週間位で完成できそうと思いちょっと安心した。シールズ辺境伯領の滞在もあと1か月くらいなので中々忙しいのだ。
夕食を終えてカインは、部屋に戻ると今後の予定について色々考えていた。うまくまとまらなかったのでペンと羊皮紙を取り出して書き始めた。
「はー、こう書きだしてみると結構やばい状況だという事が分かったなぁ…でもなぜこうなった?」
夕食後今後の予定を一度書き出してみようと思い立って、羊皮紙に書き出してみた。そこには、これからやらないといけない事が見える化出来た。
〜〜〜〜
1.領内の道を石畳化する。
2.橋を架ける。
3.ショートケーキの作り方を伝える。
4.浴場を作る。
5.ザインの故郷に行く。
〜〜〜
「石畳化をあまり忙しくしないで、ゆっくりシールズ辺境伯領での滞在を楽しむはずだったんだけど…まあ、頑張って全部できれば領民に喜んで貰えそうだし踏ん張るかな?」
カインは持っているペンで頭をかきながら呟く。
「うーん、でもスケジュールを立てるのは苦手なんだよね。どうしよう?…こんな時は皆に頼ろう!よし、明日の作業後にでも相談だね。はぁー、明日も早いし寝よう」
問題を棚上げしてスッキリしたせいか、眠気が襲ってきたのでカインはベッドにもぐりこんだ。
◇
「今日も、作業終了っと。ドートンさん、皆さんお疲れ様でした」
「「「お疲れ様でした!」」」
カインが作業終わりの挨拶をすると参加者から元気よく返答が返って来た。
「カイン様、本日はこの後いかがしますか?今日も少し早く終わりましたので、雑貨店等見て回りますか?」
ドートンが気を使って声を掛けてくれた。
「ありがとうございます、ドートンさん。でも、今日は今後の事を話し合いたいのでまたの機会でお願いします」
ドートンは、「畏まりました。次は必ず」と言って別れて行った。
カイン達は帰宅の報告をした後、カインの部屋に集合した。今日はバルビッシュ、ガーディーだけではなくララも参加していた。
「みんな、忙しい所ありがとう。ちょっと今後の事について相談したくて、集まってもらいました」
テーブルの上に昨夜作成したやる事リストの羊皮紙を広げた。
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