まだまだ頑張ります。
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カイン達は、せっせとシールズ伯爵領都内の通りの石畳化をこの1週間行ってきた。相変わらずドートン達の手際が良くカインは、ただただ石畳化をするだけで良かったので、とても効率良く石畳化が出来た。あまりにスムーズ過ぎて自由時間が出来、領民と交流が結構あり、作業中の通りの住民から色々な差し入れなど受け取ってしまった。
一度受け取ると、私も、自分もと増えて行きガーディーが両手では持ちきれない状態になってしまった。護衛のガーディーの行動もそうだが、段々と競い合う感じが見えてきたので諸々の受け入れをウィルに変更した。
これは、次期領主の采配の練習とイメージアップを狙ったのだ。カインとしては、オーバーワークにならなければ、多少の追加作業は問題なかったし、通り以外の例えば商人の家の屋敷の中の石畳化も費用を支払えば実施することにした。これをする事でカインのしている内容は領主が結構お金をかけているとアピールする事にもなる。
「皆さん。おはようございます。今日も作業手順を守り事故なく、怪我無く作業を行いましょう。ドートンさん、本日の作業予定の通りと追加作業の内容説明をお願いします」
カインが朝の挨拶から朝礼を始めた。
「はい、本日の石畳化は北第3通り、東第12,23通りです。北通りと東通りの移動がありますので本日は早目の昼食です。東第23通りの作業終了後、ロナーン商会が管理する迎賓館の敷地内の石畳化1件をお願いします」
ドートンが作業計画書を確認しながら今日の予定を説明する。
「ドートンさん、北第3通りは他の通りより少し長いですよね?分割で作業ですか?それとも一括作業で行きます?」
カインが長い通りの作業内容を確認する。
「本日は、町内の顔役の調整により一括で実施が出来ます。その代わりお昼までの時間で終える必要がありますので、本日は人員を少し増やして対応いたします」
「お昼までですか…?分かりました、それじゃ皆さん本日もよろしくお願いします」
「「「お願いします」」」
カインが朝礼を締める。そしてすぐに馬車に乗り込み移動を開始した。
北第3通りは、左右にカーブしている通りで端からは全体を見渡す事が出来なかった。いつも通り作業終了地点から開始地点へ移動しながら、分割点を決めていく。最終的に4回に分けて実施することにした。
「この通りは轍が結構深いね、ちょっと補修をしないとこのまま石畳化すると道がうねるね」
カインが通りを眺めながらバルビッシュへ確認をする。
「そうですね、ちょっと他の通りよりも深いですね。でも補修とはどうするのですか?」
カインの問いに同意したバルビッシュが質問をしてくる。
「そうだなぁ?【アースウォール】で一度轍を埋める土を作って、一度土に戻してから石畳化かな?」
カインがさらっととんでもない事を言い出し、バルビッシュの返事を待たずに作業を始めだす。
「皆さーん、始めますよ。【アースウォール】x2」
カインが【アースウォール】を唱えると轍に沿って2本の高さ50㎝ X 幅30㎝の土壁が出来上がる。土壁が出来上がってから【マッド】を唱え一度泥に変え【ドライ】を掛けて泥を乾燥させた。この間約1分、側で見ていた関係者はただ、ただ吃驚するだけだった。
「よし!準備完了!本番行きますよー!」
カインの掛け声と共に子供達が何処からともなく現れる、カインの詠唱に合わせ呪文を唱えだす。そしてカインの「せーのっ」と言う掛け声と共に【ストーン】と一緒に唱えた。
カインが手を付いている地面を起点に通りが発光しドミノが倒れる様に通りが石畳化していく。発光が終わると石畳化が完了し周辺から歓声が上がった。その後も同じ作業を4回繰り返し北第3通りの石畳化を終える。
カイン達は次の作業を行う東通りの定食屋に移動してきた。庶民的な佇まいだが、味は保証するとドートンが豪語していた。カインは特に店の佇まい等にこだわりが無く、美味しければいいのでかなり楽しみにしていた。
「ドートンさん、ここのおすすめはなんですか?」
カインが待ちきれずに、席に座った瞬間に質問する。
「ここは、肉煮込みシチューが絶品で週1回は食べに来るほどです!!」
ドートンが少し大きな声で即答した。そしてすぐに、店員を呼び人数分のシチューとパンを注文する。
すでにシチューは煮込まれている為か、注文してすぐに配膳された。煮込みシチューは、赤ワインと複数の野菜で煮込まれていて、本日の肉はワイルドボアだそうで脂身がトロッとして、スプーンでほぐれる程柔らかく煮込まれていた。
「「「旨い!」」」一口食べるとカインを始め全員が声を揃えて、感想を言った後夢中で食べ始める。ドートンはその姿をドヤ顔で眺めながら、ゆっくりと味わっていた。
カインは、『お昼ご飯が美味しいと午後の作業に気合が入るよね』と思いながら夢中でシチューを食べた。
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