魔力操作習得7 ~習得~
「まったく、集中を切らす時は前方斜め前に上げろと言っただろう」
そこには、砂を被った羅刹ベンジャミンがいた。”ゴン” ベンジャミンは、拳骨をカインの頭に落とした。
「おおおおぅ、い、痛いです。ベン兄さま」
拳骨が当たった場所が陥没したのでは?と思うくらいの衝撃があった。涙がにじむ。
「カインが指示を守らないから、危なくみんなを巻き込む所だった。初めからはうまくいかないから、集中を切らす時は、手を前方斜め上に上げるように言ったんだ。まったく」
「だって、”魔力”が段々抜けてきて意識が朦朧となってしまって...」
まだ、痛む頭を押さえながらベンジャミンに訴えた。
「ふむ、通常より”魔力”の多いカインは普通とは違うのかもしれないな。よし今日はここまで。明日また続きをするよ」
ベンジャミンが戻ろうとする。
「今度は、ちゃんとやりますから。まだやらせてください」
昨日以上に必死にカインは、懇願した。
「ダメダメ、明日にならないと”魔力”が回復しないからできないんだよ。明日は、”魔力”を20にして試そう。そうすれば、多少”魔力”が抜けても大丈夫だろうしね」
やさしく微笑みながら、カインの頭を撫でた。
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昨日、”魔吸器”の設定をMP20が残る様に設定をし直し、一晩眠った。ベンジャミン曰く、これでMPは20になっているそうだ。気持ち、いつもより”魔力”があるような気がするカインだった。
昨日と同じ場所に到着すると、昨日と同じ様に”循環”から”放出”を行い”魔力”をまとめていく。やはり”魔力”を纏めていくと”魔力”が抜けていくが昨日よりも余裕がありそうだった。
3分程行っていると、両手の間にソフトボール程の”魔力”の塊が出来た。
「おおっ、出来た。出来ました」
「集中を切らさない!」
「は、はい」
「そのまま10分くらい”維持”を続けて。危なくなったら前方斜めに腕を上げる事」
5分くらいして、集中が切れたカインは”魔力”の塊を放物線状に飛ばした。
”ドーン” 飛ばした”魔力”の塊は20mくらい前方に着地し爆ぜる。
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3日後、漸く10分間 ”維持”が出来た。
「よく頑張ったね。うん、【魔力操作】のスキルが発現してたよ」
「えっ、ステータス・オープン」
カインは、ステータスボードを確認すると、そこには【魔力操作】のスキルが増えていた。
「やったぁぁぁー、”魔法”がつ・か・え・るーーー」
両手をあげてカインは、喜びを表す。
「本当によく頑張ったね。こんなに早く【スキル】が増えるのも珍しいのだけどね。でもこれからも訓練は続けた方がいいからね。【魔力操作】のスキルレベルを上げるにはとてもいい訓練だから。だけど”維持”の訓練をする時だけは、城壁外でやる事」
「ベン兄さま、ありがとうございました」
カインは、思いっきり頭を下げてお礼を言った。
「ちなみに、この訓練で出来る”魔力”の塊をそのまま飛ばす事が出来るようになれば、呪文なしで攻撃が出来るからね」
とベンジャミンは右手を森の方に向けて、手のひらを開き”魔力”の塊を手の前に作り前方に飛ばす。
かなりのスピードで飛んで行った”魔力”塊は、直径50㎝位の木に当たり爆ぜた。
木にかなり大きな穴が空き、バキバキバキと音を立てながら後ろに倒れた。
『この人は、ドラゴン〇の人か⁉』
絶対に逆らうのはやめようと思った、カインだった。
長くなりました、次回から漸く”魔法”を使います。よろしくお願いいたします。




