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魔力操作習得5 ~放出~

「ばぁい」

ベンジャミンは鬼だとカインは思った。


あの激痛事件から5日が経っていた。この”循環”の訓練は、ベンジャミン曰く細い魔力の通り道を魔力が通りやすいように広げる作業なんだそうだ。これがとにかく痛い。想像して頂きたい、鼻の中に綿棒を入れてぐりぐりさせながら奥に奥に進めていく様な感じだ。また、”集中”で集めた魔力が熱いので余計にだ。


でも、この激痛を伴う訓練で一つだけ発見があった。動かした”魔力”を再び下腹に戻すと”魔力”が少しだけ”濃く”なっているみたいなのだ。最初は気のせいかと思ったが、”魔力”の熱量が上がっているので間違いないと思っていた。


そして、本日の最終の訓練時間に”循環”を一周させることが出来た。

「ベン兄さま、出来ました‼」

カインは、かなりのドヤ顔でベンジャミンに言った。


ベンジャミンは、ほんの少し目を見開き。

「どれ、もう一度”循環”させてみて」

とカインに指示した。


「はい、分かりました」

カインは、両手を下腹に当てずに手を広げ目を瞑る。

そして、”魔力”を”集中”で集めゴルフボール大にして胸から順番に”循環”を始める。

”魔力”がカインのイメージ通りに身体を移動していく。”魔力”が左足から下腹に戻ってくると”魔力”の熱が5度くらい上がった様な気がする。


「カイン、そのまま”循環”を続けて」

ベンジャミンが少し声を大きくして指示をする。


カインは、言われたまま”循環”を続けた。そうすると段々移動の速度が上がってくる。そのまま、3周、4周、5周と続け、10周した所でストップの声がかかった。


「よし、カイン合格だ」

「やったぁ、これで痛いのは終わりだ!!」

カインは、飛び跳ねた。『やべ 集中が切れた!』しかし、”魔力”は拡散せず下腹に留まっている。


「ベン兄さま、集中を切らしたのに”魔力”が拡散しません」

不思議そうにカインが尋ねる。


「はは、カインは凄いね。もうそこまで無意識で出来るんだ。次の”放出”は少し楽かもね。それじゃ今度は、胸の前で手を繋いで”輪”になるようにして」


カインは、言われるままに胸の前に”輪”になる様に手を繋いだ。

「そうしたら、その”輪”の間で”循環”をさせて。手のひらをぴったり繋げるんだよ」


カインは、ゆっくりと”循環”を始めた。”魔力”が胸→右腕→右手と動いていく、そして左手に移そうとすると”魔力”が引っ掛かってしまった。”魔力”が何かにぶつかった様に右腕のあたりに戻ってくる。カインは、少しスピードを上げるようにイメージして再度右手から左手に動くようにイメージする。また、何かにぶつかる。


「ベン兄さま、右手の所で何かにぶつかって”魔力が進められません」

カインが困りながらベンジャミンに助けを求める。


ベンジャミンは、少し笑みを浮かべながら

「カイン、3つの選択肢を上げよう。1、”循環”の時の様に私が補助をする。2.”魔力”を少し小さくして再度行う。3.”魔力”を大きくして再度行う。どれがいい?」


『また、鬼ベンジャミンがでてきたーーー、どれも絶対痛いはず。少しでも、痛みが短く終わるのはどれだ?...自分でやるのは長くなる気がするし、3.なんて一番痛いはず。ここは...』

「ベン兄さま、1.の補助でお願いします」


「えっ、いいの?また、痛いと思うよ?」

『なぜ、聞き返す?痛くない方法があるのか? いや、鬼ベンジャミンの事だ、1.が一番痛みが少ないから聞いたんだ』

「いえ、1.でお願いします」

覚悟を決めた表情で、カインは答えた。


「了解、それじゃ後ろを向いて」

ベンジャミンは、カインの背中に手を当てて魔力を動かし始めた。”魔力”が胸→右腕→右手と動いて来た、そして手のひらに当たる、やはり跳ね返る。ベンジャミンの魔力が流れ込んできて、カインの”魔力”の形が細く尖ってくる。その形状のまま、手のひらに刺さる。


「痛ってぇ」

カインが声を上げるが、前の時と同じで無視される。尖った”魔力”が少しずつ手のひらを貫通していく。そして左手の手のひらに刺さる。


「痛い、痛い」

カインは、手を離しそうになるが外部から力が掛かっているのか、外れない。その内左手を貫通する。

”魔力”がそのまま、左手の中に入ってくる。変形した”魔力”が半分くらい左手に刺さった後、”魔力”の形が変わって太くなってきた。そのまま、φ10㎜位になった所で通り抜けた。


「ふう、よく頑張った。でもそのまま”循環”させるからね」

カインは、意識を失わないように歯を食いしばって我慢をする。体感で30分くらい経って漸く終了した。


「はい、お疲れ様。休憩しよう」

ベンジャミンも額に玉の汗をかいていた。


『羅刹ベンジャミン...』

1.を選んだ自分を呪ったカインであった。

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