下水道建設3
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バルビッシュは突然目の前に広がった景色に驚愕していた。今までもカインは常識では考えられない事を行って来ていたが、この目の前の物は桁が違うと考えていた。カインの力を他国との戦争などに使用した場合、敵の感知できない場所から地下を掘りながら進み、敵の砦や都市の下に目の前に広がる空間の様な物を作ってしまえば都市を壊滅させる事は容易なのだから。
『カイン様は、ご自身の力をどのくらい認識されているのだろうか』
バルビッシュは冷や汗を垂らしながら円柱を叩いているカインを見つめる。
「カイン様、これは凄いですね!?こんな空間と言うか建物でも見た事がないです!」
ガーディーが興奮しながら少し大きめな声で出現した空間を指さす。
「ガーディー落ち着いて、声が凄い響くからね」
ワンワン響く音を耳をふさいでカインは防御した。
「す、すみません」
大きな体を小さくし小さな声で謝るガーディー。
「大丈夫、ちょっと大きかっただけだから。それよりもちょっと一度に魔力を使いすぎちゃったから休憩したいんだけど、早目のランチに出来るかな?」
カインはお腹をさすりながら上目づかいでガーディーを見つめた。
「今すぐ準備しますね。バルビッシュ!ぼっとしてないで手伝ってくれ!」
少し離れた場所でカインを見ていたバルビッシュに声を掛ける。
ガーディーは、背負い袋から厚手の敷物と今日のランチが入ったバスケットを取り出して並べる。バルビッシュは、香茶のセットを取り出す。
「カイン様、申し訳ございませんがこのポットに【ホットウォータ】でお湯を頂けないでしょうか」
ガーディーの引いた敷物に腰を掛けていたカインは「はーい」と言いながらポットにお湯を溜めていく。
「はぁー美味しい。バルビッシュ最近、香茶を入れるのうまくなったんじゃない?」
カインが香茶を飲み感想を言う。
「ありがとうございます、本日のランチはハムサンドとタマゴサンドです」
バスケットの蓋を開けてカインの前にサンドイッチの箱を並べる。
「やったね、タマゴサンドめっちゃ美味しいから好きなんだぁー。いただきまーす」
カインはタマゴサンドを1つ取りかぶりついた。
「美味しいー!今日のタマゴサンド味が濃くていいねー。香茶にも良く合うねぇ」
満面の笑みを浮かべながら、タマゴサンドを食べるカイン
『この姿を見ると普通の子供なのですが…』
カインがタマゴサンドを食べている姿を見つめながら、バルビッシュが心の中でため息をつく。
「なに?バルビッシュ?」
食べているのを見つめられて、恥ずかしくなったカインがバルビッシュに質問をする?
「いえ、休憩後に何をされるかと思いまして」
バルビッシュが必死に冷静さを装う。
「えっとね、このままだと此処に水を入れると目が粗いから浸み込んじゃうんだよね。だから【アースプレス】を使ってツルツルにして水をはじく様にしたいんだよね」
「水をはじくですか? はぁ?」
バルビッシュは、いまいち理解が出来ないのかあいまいな応答をする。
「【アースプレス】と言うと、浴場を作った時に井戸水を流す管に行った【魔法】ですね。確かにあれなら水が浸み込まないかもしれませんね」
以前作った浴場の水道管の事を思い出したのか、ガーディーがつぶやく。
「そうそう、その【アースプレス】をここ全体に掛けようと思ってね」
「「えっ、ここ全体ですが‼」」
またも、2人の声がハモる。まさかと考えたのか、2人はキョロキョロと周りを見渡す。
「大丈夫だって、なぜかイメージ完璧だし。魔力の循環さえ失敗しなければ一度で出来ると思うよ」
カインは何をびっくりしているのって感じで返答する。
ランチ休憩後、カインは精神統一をした後魔力を循環させた。そしてこの空間をイメージすると3D映像を見ている様に空間が手に取る様にイメージできる。カインが魔力を地面に付けた手から少しずつ広げていく。魔力が空間全体に広がったのを確認してカインが呪文を唱える。
「【アースプレス】」
カインが呪文を唱えると、空間全体が少し発光する。光が収まると大理石の様に表面がツルツルの状態に空間全体が変化した。もうバルビッシュとガーディーはポカーンとした表情でたたずんでいた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
1月15日に『異世界領地改革 ~土魔法で始める公共事業~』の2巻が発売されます。
よろしくお願いいたします。
https://www.hifumi.co.jp/books/lineup/saga_forest.html




