お土産を買おう
”賢者様の書”の『【魔法】行使時の【魔力】削減について』に書かれていた【魔力】削減方法は、4つで① 魔石の中の【魔力】を使用して行う方法 ② 周辺の【魔力】を集めて行う方法 ③ 4元素魔法であれば、使用する元素を用意する方法(水魔法なら、水がある所で使用する)④ 【魔力操作】の【スキル】レベルを上げて魔力を繰り強く変換する。例外)勇者が作った【魔力削減】の【スキル】や魔道具を手に入れる方法 だった。④以外は、今までも何となくだが行っている方法で”賢者様の書”の方法を行えばもう少し効率が上がりそうだった。
④については、今後も循環の訓練を続ければ出来そうだ。しかし、例外の【魔力削減】の【スキル】習得方法が分からないので、勇者様が作った魔道具を入手する方が可能性が高いが、まず無理だろう。勇者様が作った物なんて超レアアイテムになるから、王国の宝物庫にあるレベルだろうし。
「はぁ~、一朝一夕には出来ないのか。地道に検討を続けるしかないな、”浴場”に使うお湯に関しては別の方法も考えてみよう。しかし、この賢者様は転移、転生者じゃなかったみたいなのに凄いね。この人みたいな人を天才と言うんだろうな」
夢中になって読んでしまったので大分遅い時間になってしまった。そろそろ寝ないと明日起きられない時刻になってきたので、後ろ髪を引かれながら本を閉じて寝る事にした。カインは、帰りの馬車の良い時間つぶしが出来たと思いながら眠りについた。
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”ガヤガヤ””ゴトゴト”「今日も取れたての野菜だよ、買ってって」「もう少しまけなさいよ!」「はい、はい、冷やかしはごめんだよ」今日も市場通りは、とても賑やかだった。カインとバルビッシュは、食材を購入するために通りを歩き、並べてある野菜や果物、穀物などを見ながら市場通りを歩いていた。
カインは、”米”、”味噌”が無いか店舗を見て探し歩いていた。事前にシールズ辺境伯家の料理長に聞いてみたが、知らないと言っていたので見つかる確率は大分低いが0%でない事を信じて探し続けている。少し大きめの穀物店を見つけ店内に入ると、小麦、大麦、ライ麦と様々な麦が脱穀前と脱穀して粉にした物が袋に入って並んでいた。後は豆、トウモロコシらしき物などを見つけたが、”米”らしきものはなかった。あきらめきれないカインは、店員の一人を捕まえて聞いてみる。
「すみません、”コメ”か”ライス”と言う白い粒状の穀物を探しているんですが取り扱っていますか?」
「”コメ”?”ライス”?聞いた事ないですね。ちょっと待ってくださいね、店長! てんちょー!」
「はいはいはい、聞こえているからそんなに大きな声を出すんじゃない。お待たせしました、あっ、ああー!これは、”石畳”様じゃないですか! ご来店ありがとうございます。”石畳”にしていただいてとても荷物の搬入などしやすくなりました。本当にありがとうございます」
店長は、深々と頭を下げてお礼をして来た。
「喜んで頂いて良かったです。でも”石畳”化は、シールズ辺境伯様のご指示ですから。お礼は、シールズ辺境伯様にお願いします」
「畏まりました、今度何か献上にお伺いしたいと思います。本日は、どの様なご用命でしょうか?」
カインは、探している”米”について、特徴を伝えてみたが知らないとの事だった。ただ、王都などでは、色々な地方の穀物が集まると言う情報を得る事が出来て嬉しくなった。
ただ、残念ながら”味噌”については何も分からなかった。中々あの外見だし、発酵食品は難しいかもしれない。その後も”石畳”様と声を掛けられたり、お礼を言われながら市場広場でお土産を探した。大体のイメージはついているが、中々目的の物が見つからずに、金属で小物を売っている店を見つけては、次の店、見ては、次の店と歩き回っていた。
「カイン様、先ほどからどんな物を探しているのですか? 教えて頂ければ自分も手伝いますが?」
「えっ、いいよ。一緒に探したら護衛できなくない?」
「大丈夫です、そんな事で警戒を怠るような事はありませんから」
『そお?』と言いながら、探している物を説明した。日頃書き物が多いルークには、金属製のペン先がついているペン。ランドルフには、ルーペのような拡大鏡を探している事を説明した。
「ルーペは分かりませんが、金属のペン先であれば自分が作りましょうか?素材と形状のイメージが分かれば何となく出来そうですね」
「本当!じゃあ、素材を買いに行こうか。何処なら売っているかな? 錆びると嫌だから金かな? さすがに金貨を潰すと怒られそうだね?」
「金なら大きな商店か、冒険者ギルドにも少量ならあると思いますが。コネが無いので冒険者ギルドが一番簡単でしょう」
カインとバルビッシュは、冒険者ギルドに向かって市場広場を後にした。
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