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プロローグ

初投稿です、読みにくい部分が多々あるかと思いますが、温かい心で読んでいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。


暗いオフィスの中にPCキーボードのカチャカチャという。入力音だけが響いている。

「ふう、終わったー」


土田道雄(35歳)が今週分の請求書処理を一人土曜出勤をして行っていた。

「もう、20時か・・・、もう少し、やりたいけど。一区切りしたし月曜日に早めに出勤して、やるから今日は帰ろう」

作業内容を保存し、PCをシャットダウンした。席から立ちあがると自分の席の周りだけ明るく、それ以外は暗いオフィスを見渡し、もう一度深いため息をついた。


「いつも、俺だけこんな事をしている気がする・・・、考えるのはやめよう!今日はプレミアムビールを買って、明日は夕方まで寝てよう」

考え始めるとブラックになっていく思考を、プレミアムビールというご褒美を思い浮かべ、プラス思考に変えていく。


オフィスをでると土曜日の20時過ぎということもあり、まだまだ人通りがある駅までの道を、薄いコートの前を閉め首をすぼめて早足で歩き始めた。

『プレミアムビール♪、プレミアムビール♪』


道雄の頭の中は、プレミアムビールの事でいっぱいになっていた。


「やめてー、誰か、誰か、誰か助けてー‼」

駅前の広場に差し掛かった時、道雄の左側前方方向から、女性の必死な叫び声が聞こえてきた。

道雄は、声の聞こえた方向に首だけ向ける。そこには隈取りの様な化粧をした、長髪の男が嫌らしい笑みを浮かべ、8歳くらいの女の子の首を左手で捕まえて、右手に刃渡り20㎝位の包丁を握っていた。


叫び声を上げた女性は、「やめてー!」「あなたは誰っ? 愛ちゃんを離してっ!」と男の注意を引き付けようとしていた。


『えっ、やばくねぇ⁉』

道雄は、その様子を見ながら周りを見渡すが周りの人々も遠巻きに見ているだけか、足早に通り過ぎていく。


『警察は何をしているんだ?』

駅前の交番まで警官を呼びに行く人の姿が見えるが、警官が来るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

男はというと、濁った眼をしたまま、変なことをぶつぶつとつぶやきながら女の子を捕まえている。


「あと、3分で俺は、異世界に行ける。メリガス様にこの子を捧げます! 俺を、俺をあなたの世界へ転移させてください」

男の息遣いが荒くなる。


『やばい、やばい、やばい、悪寒がする。あいつ本気だ』

道雄は、昔からこの悪寒がすると悪い事に遭う。この悪寒がする度に行動を変えたりしていた。つい最近では、交差点で悪寒を感じ、急いで交差点を離れた瞬間。今まで道雄が立っていた場所にトラックが突っ込んできたりした。


『早く離れないと。

 でも、あの子が。

 まだ、警官は来ないのか⁈』

交番の方を見るが、運悪く警官はいなかったらしく交番の前で右往左往している人々が見えた。


「あと、1分だ!」

『やばい』そう、道雄が思った瞬間、道雄は男に向かって体当たりをしていた。

少しメタボ体形の道雄の体当たりは、思ったより効果があり女の子も一緒に倒れてしまった。

男から女の子を離すことはできたが、女の子も一緒に倒れてしまったため、逃げ出す事が出来ていない。

男は、すぐに立ち上がり女の子に近づいていく。


「時間だぁぁぁー、これで俺は自由になれるぅぅぅっ!」

男は倒れている女の子に向かって、包丁を振り上げながら再度近づいていく。


「やめろーっ!!」

必死に道雄は、女の子に覆いかぶさった。「ドスッ」背中に鈍い衝撃を感じた後激しい痛みを感じる。


「邪魔を、するな!」

男は、道雄の上から女の子に向かって再度包丁を振り下ろす。

バタバタ、数人の人の走ってくる足音が聞こえる。

「ドスッ」今度は腰のあたりに衝撃を感じた。痛みが麻痺しているのか先ほど以上の痛みはなかった。


「離せー、メリガス様に、メリガス様に」

数人の男達の「おとなしくしろ、暴れるな」とかの声が聞こえてきた。

男の声が聞こえてくる、どうやらようやく警官が男を取り押さえたらしい。


「愛ちゃん!」

女性が俺の下にいる女の子を、引っ張り出す。

「ありがとうございます、ありがとうございます」

女性の声が聞こえると段々意識が遠のいて行く。

『ありがとう、本当にありがとう』

母親とは別の声が聞こえた。そこで道雄の意識は途切れた。



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― 新着の感想 ―
コミックまとめ買いしたけど、やはり原作あった…当たり前か。 読まさせてもらいます
[良い点] コミックで好感を持ち探しました。気持ちのいい作品ですね。 [一言] YouTubeのコミックから来ました。
[良い点] 2022年1月28日より読み始めます どうぞ宜しくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ
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