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第3話 野原でお団子 あるいは 草上の昼食(挿絵も登場)

もうね、やっぱり私は、一話分はこのくらいの字数にするほかないみたい……。


 そうそう、ペルセウスのお母さんについて、その後のお話をしておりませんでした。



 ペルセウスのお母さん、つまり、アルゴス国王の娘はその名をダナエといいましたが、彼女はヘラ女神の策略により、幼い息子ペルセウスを連れて王国を抜け出すことを余儀なくされたのでございました。


 親子はしばらくの間、力を合わせて辛い逃亡生活を続けておりました。

 息子は海辺で釣りをして、母親は山で採集をして……。


 ところがある日、たまたま海辺を通りかかった貴族の男が、採集を終えて戻ってきたダナエをさらっていってしまったのです。

 母の叫び声を聴いてペルセウスが駆けつけた頃には、すでに母の姿はなく、波打ち際に大きな桃の実がひとつ、落っこちていたばかりでした。


「お母ちゃん……」






挿絵(By みてみん)






「お母ちゃんとの再会でさえ諦めていた僕なのに、もっと素敵な女性が現れるとは思ってもみなかったなあ」



 そんなことに思いを巡らせながら、アンドロメダの作ってくれたお団子を抱えたペルセウスは野原を歩いていたのでした。しかし、しばらく行ったところで、あることに気がつきます。


「そういや、僕はメドゥーサの居場所を知らないぞ。困ったなあ……」






 その様子をオリュンポスの峰から見ていたアテナ女神は顔を真っ赤にして怒り出し、神々の使者にして旅人の神でもあるヘルメスを引っ捕まえました。


「ヘルメス、てめえ」

「ああ、痛い痛い、離してえ」



 アテナが手を離すと、ヘルメスの身体はフカフカのソファーめがけて飛んでいきました。


「おげえっ……。一体、僕が何をしたっていうんだよう」

「したんじゃなくて、しなかったんでしょうが」

「ええー?」


 ヘルメスは呆れてき返します。


「ええーじゃないわよ、まったく。なんでペルセウスは、何にも持たずに野原なんかほっつき回ってんのよ。あんたが地図と武器を届けてくれるって約束じゃなかったの?」

「ええー、僕はちゃんと、届けたよう」

「ああ? あんた知らないの? 嘘つきは泥棒の始まりっていうのよ」

「だって僕、泥棒の守護神でもあるし……、あーいててててていてっ、血が出ちゃうよーう」



 アテナが手を離すと、ヘルメスの身体はフカフカのソファーめがけて飛んでいきました。


「おっかしいなあ。僕はちゃんと、二つとも届けたはずなんだけどなあ」

「じゃあなんで、あいつはあんなところでずっとマヌケヅラしてんのよ」

「知らないよーう。僕、知らないよーう。ああっ、何をするっ」

「私も忙しいんだから、言われたこと、ちゃんとやってよね。あんたはもう、ペルセウスがメドゥーサのところにたどり着くまでは帰ってこないこと」

「あー、嫌だ嫌だ、離してえ」

「健闘を祈るわ。行ってらっしゃい」

「あーれーえ……」



 アテナが手を離すと、ヘルメスの身体は高価な窓ガラスを突き破り、空高く飛んでいってしまいました。


挿絵(By みてみん)






「ああこともなし、こともなし。……お腹が空いたなあ」



 ペルセウスが野原の真ん中で、草上そうじょうの昼食を楽しんでおりますと、


「あーれーえ……」


 空から、得体の知れない何かが落っこちてきました。


 よく見ると、それは「何か」ではなく、「誰か」でした。



 羽のついた帽子ぼうしに、同じく羽のついたサンダル。んん? これは、もしかして……。






「その通り。僕はヘルメス、神々の使者にして、旅人の神さまだよう」


「神さまっ。ははあーっ……」



「いや、そういうノリじゃなくって……。くんくん、何やら美味しそうなにおい。君はお団子を持っているね」

「持ってますけど……」



「一つわたしに 下さいな」

「ついて行くなら やりましょう」






 ということで……、次回こそ、冒険に突入です。お楽しみに。




「いよいよ登場した僕だけど、こんなキャラクターで良かった?」

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