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第2話 聞き苦しい会話

おや、字数が少ない……。


初回はサービスだったということで。

拡大スペシャルみたいな、ね(笑)


「ああこともなし、こともなし。……あれ、誰かいるぞ」



 ギリシアのあるところ、海沿いの洞穴ほらあなに隠れ住んでいたペルセウスのところへ、一人の娘が現れました。


 娘の他に誰か、つまり、国王のつかわした追っ手が来てはいないかとペルセウスは警戒しましたが、どうやら娘は一人のようでした。


「こんなところで何してるんだい?」



 ペルセウスが声をかけると、娘は彼に顔を向けました。

 娘は背が高く、肌は輝くような褐色かっしょくで、引き締まった身体の線からは若さとすこやかさが見て取れました。



 ペルセウスが見惚みとれておりますと、娘はにこりとして、言いました。


「踊りはいかが?」



 娘はペルセウスの前で、優雅な踊りを披露しました。

 色香ただよう娘の踊りを目にしたペルセウスは大いに感動してしまいました。というのも、もとよりこのような麗しいものを見る機会がなかったのですから。

 ペルセウスは涙を流し、感情をあらわにして言いました。


「君は素晴らしいものを見せてくれた。何かお礼をしなければ」



 すると娘は、いたずらをするときのように目を輝かせて言いました。


「私の願い、なんでも聞いてくださいます?」


「ああ。君のためなら僕、なんでもやっちゃうよ」



 すると娘は、心から嬉しそうな顔をして、こんなことを言いました。


「メドゥーサの首を所望しますわ」






 メドゥーサというのは、もとは海の神ポセイドンの愛人で、麗しい娘であったのですが、その麗しさが仇となり、うかつにもこんなことを口走ってしまったのでありました。


「私は美の女神アフロディテに愛されているのだから、女神級の美しさであるに違いないわ。少なくとも、あの跳ねっ返りのアテナ女神よりは、女らしくて美しいと思うわ」



 当然それはアテナ女神の知るところとなり、哀れなメドゥーサは、激怒した女神によって怪物の姿へと変えられてしまいました。若々しかった顔はシミだらけのブサイクヅラに、そして、きめ細かかった髪は、密集した蛇の群となってしまったのです。

 怪物になったメドゥーサは、本当にたまーにでございますが、大空を飛んで人里へと向かい、大暴れをして人々を困らせていたのでございました。






「君はなぜ、そんな恐ろしいものを?」


 ペルセウスはきました。


「教訓のために」

「教訓?」


「麗しさを自慢して女神さまに対抗しようとすると、こういうことになるんですよ、っていう教訓ですわ。私の家系は、そういった目に見える教訓がないと続いていかないと思うの。私の母が美人の血を持ち込んだせいなのだけど。現にその母だって、危うくポセイドンに殺されそうになったんですもの」

「ポセイドンに?」

「ええ。自分の麗しさを自慢して、海の女神たちネレイデスに対抗しようとしたというので」

「おいたわしやー」

「ひょっとして、バカにしてらっしゃる?」

「とんでもない」

「私の母は、エチオピアの王妃よ」

「えっ……」


「申し遅れました。ワタクシ、エチオピア王ケフェウスの娘、アンドロメダと申します」

「あ……、ペルセウスです。どうも」



「いいわ。あなたが女怪メドゥーサの首を取ってきてくださったなら、私があなたの妻となって差し上げましょう。そうしたらあなたは、次期国王になれるのよ。まあ、私の家系は偉大だけれど、多少あなたのようなお顔が混ざったとしても違和感はないでしょうから」

「僕もイケメンのつもりなんだけどな」

「人並みにはね」






 このなんとも聞き苦しい会話の後、ペルセウスはアンドロメダのために、そして、王女との結婚という危うい口約束のために、メドゥーサ退治の冒険へと出かけることになるのでありました。


 次回、いよいよペルセウスの冒険の旅が始まります。アテナ女神の思惑通り。



「虎の子欲しけりゃ虎の穴、人生欲しけりゃメドゥーサの首ってなもんだて。はははっ」





サロメ? 誰だい、それは。

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