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第13話 知恵の女神はおバカさん? (←何このタイトル)

「ええと……、うん、大丈夫だね。いないよね」


 さて、ヘルメスは、メドゥーサの住まう洞穴ほらあなが、グライアイの洞穴のすぐそばだということをペルセウスに教えました。


「ああこともなし、こともなし。こうして僕とヘルメっちは、大した冒険をすることもなく、メドゥーサの首を手に入れるのでありました」

「うん、さっきのグライアイのところも、僕のおかげですんなりいっちゃったしね」

「ヘルメっちにとっては、クジャクさんとの闘いが一番だったのかな」

「いや、僕にとっての一番は、初登場シーンだね」

「ハツトージョー?」



 ヘルメスの初登場シーン。読者の皆さまは、覚えておいでございましょうか。

 それは、第3話、アテナ女神と一緒のシーンでございました。



 ーー


「ああ? あんた知らないの? 嘘つきは泥棒の始まりっていうのよ」

「だって僕、泥棒の守護神でもあるし……、あーいててててていてっ、血が出ちゃうよーう」


 ーー



 これで、思い出していただけたでしょうか。




「まあでも、僕のときは大したことないよ。アレスが相手のときはもう、あの女神さまは……」

「アレスって、戦争の神さま? 女神さまっていうのは?」

「知恵の女神アテナ」

「へーえ」

「バカにしてる?」

「とんでもない」


「知恵の女神はおバカさんだからね、僕を投げるときとアレスを投げるときの力の差に、自分で気づいていないんだ。実際には、アレスは僕の数千倍も痛い思いをしていると思うよ」

「そりゃ、大変だね。でもどうして? 知恵の女神って、頭がいいんじゃないの?」

「あのおバカさんはね……」


 ここでヘルメスは、警戒して辺りを見回しました。

 そして、アテナの来ていないことを確認すると、


「自分の感情に気づいていないんだよ。乱暴アールしてい女神のくせにね」

「ああ、なるほどね」

「ぐひょえ……」





 ぐひょえ、というのは、以前と同様、ヘルメスしんの潰された声でございます。

 しかし今回は、ヘルメスを潰しているものが透明なので、ただヘルメスがぺしゃんこになって、地面にめり込んでいるようにしか見えないのでありました。


「あれ、何やってるの、ヘルメっち」



 いかな物分かりの良いペルセウスとて、ヘルメスを思い切り踏みつけて、踏みにじっているアテナ女神が、かぶった者の身体を透明にする機能を持つハデスのかぶとを脱ぐまでは、その正体を認識することができなかったのでありました。


「あ、もしかして、知恵の女神さま?」

「そうよ、私がアテナ。よろしくね」



 アテナはヘルメスに体重を載せたまま、にこりと笑いました。

 そして、


「これ、せっかく貸してあげたのに、あんたたち置いてったから」



 それは、以前、アテナ女神がヘルメス神のうえへと落としてくれた、黄金の盾でございました。



「人間がメドゥーサの目を直接見ると、あまりの怖さに身体が固まって動けなくなるってことだから、この盾に敵を映して近づいて、直接見ないようにして倒すのよ」




「わあ、ありがとう」と、ペルセウスがそれを受け取ろうとしたとき、




「その必要はないわ」


 そこに現れたのは、美の女神アフロディテでございました。






 さてと。

 続く……






「(うう……、早くどいてよう……)」

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