連合国の欺瞞工作「プラン・フォーティテュード」
作戦の準備等は大幅に省略するので早足でいきます
ノルマンディー上陸作戦の最大の懸念材料は機密保持にありました。
侵攻作戦に参加する各部隊は、ソーセージと呼ばれる野営地に隔離され、外部との接触は一切禁止されます。
イギリス本土での防諜体制も最高レベルにまでひきあげられ、各国大使館の交信は検閲され、出入国は厳しく管理されました。
イギリス国内に潜んでいたナチスのスパイは、一斉検挙され、彼らを使ってドイツ本土に偽の情報を送る、
ダブルクロス作戦が実施されました。
このダブルクロス作戦は、対独欺瞞作戦「プラン・フォーティテュード」の根幹を担う作戦でした。
「プラン・フォーティテュード」は歴史上最も大規模な一大欺瞞作戦であり、様々な方面の欺瞞工作で構成されます。
フォーティテュード・ノースはノルウェー駐留ドイツ軍を釘づけにするため、スコットランドのイギリス第4軍に偽のノルウェー上陸作戦を準備させます。
フォーティテュード・サウスでは連合軍のノルマンディー上陸作戦は、予備兵力をパ=ド=カレーから引き離すための陽動であり、本命はブローニュ=シュル=メールとソンム河口流域の間に上陸することにある、とドイツ軍に誤認させる欺瞞工作が実施されました。
有名なジョージ・パットン将軍を司令官とする第1軍集団という架空の部隊を作り、実物大の模型飛行機やゴム製戦車を大量に配置し、偽の揚陸用舟艇250隻まで用意しました。
ガーボというコードネームの二重工作員は、架空の情報提供者をなんと27人もでっちあげ、ダブルクロス製の情報を、ドイツ軍情報部のマドリード支局に送り続けました。
彼は後に、ドイツから鉄十字章を、イギリスから大英帝国勲章を授与され、史上最も優秀な二重スパイとして、歴史に名を刻みます。
ブロンクスというコードネームの女性スパイは、ドイツ軍当局に「至急50ポンド送られたし、歯医者支払いのために」と、暗号情報を送りました。
この暗号は「上陸は6月15日頃、ビスケー湾に」という意味であり、ドイツ空軍は直ちに反応し、ビスケー湾近郊の飛行場を自ら爆破してしまいました。
その他にもフランス西海岸への侵攻をにおわせるアイアンサイド作戦、モントゴメリーにそっくりの俳優を地中海に派遣し、地中海方面からの侵攻をにおわせるコパーヘッド作戦などが実施されます。
連合軍は欺瞞作戦の効果や結果をブレッチリーパークで用意に検証・確認出来ました。
ブレッチリーパークは信号情報を傍受・解読する極秘施設です。
施設内には「ウルトラ」と呼ばれる傍受監視システムが導入され、連合軍の首脳部はウルトラを通じて、欺瞞作戦の効果を知れたのです。
1944年5月、ドイツ軍が連合軍のパ=ド=カレー上陸を想定した大規模な演習を実施したことが、ウルトラで確認され、「プラン・フォーティテュード」は順調に進んでることが、明らかにされました。