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9. 帰り道にいるネコミミ

 放課後になり、健二はランドセルを背負いながら帰り道を歩いていた。

 途中まで帰り道が同じ方向の男子クラスメイトと一緒に歩いていたが、交差点に入ったところで、また明日~と手を振りながら別れた。


 それから、健二は無言で歩いていると、その視界の隅に特徴的なメイド服を着た銀髪の少女の姿が目に入ってきた。

 しかし、少女は別の道に向かったようで、すぐにその姿を消した。


 気にはなったが歩く方向も違うので、健二はそのまま家に向かっていった。

 

 次の日、健二は同じ道を歩いて自宅に向かっていた。

 今日は学校でサッカーをしてから帰ったので、時間がだいぶ遅くなり夕刻になっていた。

 動き回ったおかげで心地よい疲れを足に感じながら、健二は夕陽に染まる道を歩いていた。

 

 そこに、小さな影が見えた。

 西日が刺さり目を細めると、両手に大きな荷物をもったメイド服の少女が見えた。

 少女は前の道を横切っていったので、健二は曲がり角に差し掛かったところで少女の姿を探した。

 

「あれ? いない」

 

 まっすぐにのびる道の先には、学生服をきた高校生や帰宅途中のサラリーマンなどがいたが、少女の姿を見つけることはできなかった。

 

 健二は首をひねりながらも、自宅への道を歩いていった。

 

「よう、健二、サッカーやってかねーか」

 

「わりい、ちょっと今日用事あるんだよ」

 

 次の日、放課後になると健二は教室から足早にでていった。

 その目線の先には、下駄箱で靴を履き替えるユキの姿があった。

 

 2日続けて姿を見せては、すぐにどこかに消えてしまうユキが気になってしょうがなかった。

 健二は電柱や塀の物陰に隠れながら、スカートの裾ゆらめかせながら歩くユキの背中を見つめながら、ユキの動向に注意を払っていた。

 

 路地の先には車が通れないほどの細い小路が見え、ユキはスルリと入っていった。

 健二は慌てて追いかけると、既に道の奥まですすんでいるユキを見つけた。

 

 ガッチャガッチャとランドセルを揺らしながら、必死に追いかけるが小路を抜けた先にユキの姿を見つけることは出来なかった。

 健二は辺りを探しまわったが、結局疲れただけで何の成果も得ることはできなかった。

 

 徒労感を感じながら家に向かうと、玄関前で健二の母が誰かと話しているのが見えた。

 また、近所のおばさんとでも話しているのかと思いながら健二は相手の顔を見た。

 

「なんで、お前がいるんだよ!?」

 

 そこには、ごきげんようといいながら挨拶をしてくるユキの姿があった。

 

「こら、健二、女の子を指差しながらお前とかいうんじゃないよ!!」

 

 母親に怒られた健二は首をすくめがら、ユキをちらちらと見ていた。

 

「では奥様、わたしはこの辺で失礼しますね」

 

 ペコリと頭を下げながらユキは杉沢家を後にすると、そのまま隣の家に入っていった。

 

「え、なんで都築さん家にいっての、あいつ?」

 

「なにいってんの。ユキちゃんは、あそこの子じゃない」

 

 母親から呆れた声を出しながら告げられた事実に、健二は驚きの声を上げるしかなかった。

 

 次の日、日直当番であった健二はいつもよりも早起きして玄関をくぐると都築家の前の道をほうきで、サッサッとはいているユキの姿を見つけた。

 

「おはようございます、杉沢様」

 

「……ああ、おはよう」

 

 挨拶をしてきたユキに、健二は憮然とした表情で返した。

 

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