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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

本日、王子様は婚約破棄を婚約者に言い渡すそうです~詰んだ悪役令嬢と私 編~

続きはありません。

ものすごく長い闘病生活の末、私は死にました。

私の手術を担当するお医者様は、「科学と医療技術が発展したから、この手術は100%成功する」とおっしゃったのです。

ですが、私は死にました。

お医者様のミスではなく、神様のミスで。


死んだ私は、お約束の白い空間の中にいました。

そこには、神々しい人がいました。

「ワシは、神様じゃ。お主は死なないはずだったが、ワシのミスで死んでもうた。メンゴ、メンゴ★」

ふざけた調子で言った自称神様を私は思わず釘バット再起不能になるまで殴り倒した。

「ヒドイな。ワシは神様なのだから、それぐらい許せよ★」

私は、自称神様を釘バットでアッパーカットした。

私が再び、自称神様を釘バット殴ろうとしたところ、

「ちょっと待って!神様の話を聞け!お主はワシのミスで死んだから、記憶を持ったまま全国日本女子の憧れ、『乙女ゲームの世界にヒロインとして転生』させてあげるぞ♪」

ここはやっぱり、世のため人のため自称神様以外の神様のため、この釘バットで全力で殺ろうと思いました。

「ホント、ごめん。お願いだから、話を聞いて!もう、ちょーオマケ!転生特典として、何か好きな能力をあげるから。お願い、許して―――――!」

悲壮に叫ぶ姿は、少し前の神々しい神様はもう存在しませんでした。

「元の世界には、戻れませんよね?」

「はい、本当に誠に申し訳ございません」

土下座し、そう言う自称神様。

「それに、私、闘病生活でその『オトメゲーム』というのはしたことがないんですけど...」

「.........」

「......」

「とにかく、素敵な男性と恋愛できるゲームだよ★」

「そうですか...」

「ゴメン、決定事項だから代えられないや」

「そうっすか...」

「うん、今度は健康体に生まれさせてあげるから、楽しめるかもしれないよ?で、なんの能力がいい?」

「背景モブ化能力で」

ピンポン、パンポ~ン♪

はいはい~、ここでお知らせで~す。

生まれる待ちのみなさ~ん。

もうすぐ、次に行く世界の旅立ちの時間になりま~す♪

それでは、逝ってらっしゃ~い♪

という、どこからともなく聞こえてくるふざけた口調の声と同時に、私の意識が眠りに落ちました。

眠りに落ちようとしている時に、自称神様は

「本当は、乙女ゲームをしたことがあるんじゃないの――――――!?」

と突っ込んできました。

イヤですね、自称神様。

オトメゲームはしたことなくても、闘病生活中に妹が持ってきた『オトメゲームを舞台にした小説』を読んでいたからこその背景モブ化能力をお願いしたのですよ。

実際に、ゲームをしたわけではありません!

小説からの知識ですよ!


さてさて、無事に転生を果たしたハイケイ・モブです。

ここは、ナントカというオトメゲームの世界です。

オトメゲームのタイトル?

知りませんよ、したことないんですから。

オトメゲームの舞台となる学園に入ってからは、背景モブ化能力でヒロインの役割をスルーしまくり。

そして、オトメゲーム小説定番のヒロイン乗っ取りをされました。

それで現在の自称ヒロインは、ヒロイン・ノットタヨです。

ヒロインを乗っ取られているのはどうでもいいことなのですが、このヒロインちゃん、悪役令嬢ことセイレン・ケッパク公爵令嬢にイジメられたと大ウソを攻略対象たちに言って同情を買っているらしいです。

これは先日のこと、

「ハイケイさん、大変ですわ」

「どうかしたんですか、セイレン様?」

「私、ヒロインさんという方をイジメていることになっているらしいですわ。今日、婚約者のオロカナル・グシャ殿下にそう言われて大声で非難されましたの」

「えぇっ!?ヒロインさんとやらは、どのクラスです?」

「Aクラスですわ」

「あー、あの成績だけは優秀クラスですか」

「はい。殿下と同じクラスですの」

「なら、少し調べてみますね」

「お願いしますわ」

セイレン・ケッパク公爵令嬢は、その名の通り清廉潔白な方です。

男爵令嬢という低い身分の私も、他の令嬢たちと違い公平に扱って下さるのです。

そのおかげで、セイレン様を見習った位の高い令嬢たちは身分の低いものを不当に扱うことがありません。

でも、まさか私を含めたこの名前って、現在の自分の役割を表した名前ではないですよね?

そんなことを思っていると、自称神様の「そうだよ、分かりやすいでしょ♪」という声が聞こえてきました。

マジでか――――!

名前なんて、一生ものですよ。

オトメゲームなのに、変な名前って気付かれると

「それは、ダイジョ~ブ♪君以外、この名前の異常性は気付かないさ。これは、神様補正~♪」

それはともかく、人の思考を読まないでくださいよ。

「いや~、それについてもダイジョウ~ブ。ぼくが、答えないといけない疑問だけ、君の考えていることが分かるから心配しないで♪じゃあ、僕はこれからおやつの時間だから、じゃーねー♪バイビー♪」


調査した結果、ヒロインさんが侍らしているのは、オロカナル・グシャ殿下、ウザイ・ショタッコ、センセイ・ワク、コウリャク・タイショウという見目がよく、かつて優秀と言われた人たちでした。

いくらなんでも、最後の名前だけ投げやりですよ。自称神様?

役割で考えた結果、最後でネタ切れになったんですね。

私は、背景モブ化能力を生かし、彼らの日頃の様子を魔法記録道具(音声録音可能)で記録しました。

そして、彼らに苦々しい思いをしている人たちの協力を得て、彼らのこと特にヒロインさんのことを詳しく抜かりないように調べあげました。

私と彼らが調査した内容を報告書にまとめて、セイレン様のお父様に渡しました。

セイレン様を溺愛しているセイレン様のお父様なら、私よりもうまく事を運ばせることができますから。


そして、とうとうお昼の食堂で来ました。

前世の妹が好き好んで読んだ婚約破棄系小説の出来事が!

「セイレン・ケッパク公爵令嬢。お前は、王妃に相応しくない心根の持主だ!よって、婚約破棄する!そして、美しく広い心のヒロイン・ノットタヨと俺は婚約する!」

そのオロカナル・グシャ殿下の言葉により、ヒロインさんの取巻きたち以外の生徒は、嘲笑、失笑をヒロインさんとその取り巻きたちに向けました。

馬鹿ですね、この人たち。

普段から、自分の都合のいい言葉しか聞かないのですね。

そこに、オロカナル・グシャ殿下の予想外の人物が登場。

この国の王様です。

「そうだな。オロカナル・グシャ」

王様のそのお言葉により、期待するオロカナル・グシャ殿下。

状況を理解できないオロカナル・グシャ殿下とヒロイン・ノットタヨは手に手を取り喜びあいます。

それを見た王様は怒気を強めて、

「お前こそ王家に相応しくない。よって、学籍剥奪、王位継承権の破棄、王籍剥奪を言い渡す!いますぐに、ここを出て行くがよい!なに、心配するな。王城に戻らずとも、その準備はしておいた」

顔面蒼白になるオロカナル・グシャ殿下。

「どうしてですか、父上!?」

「ふん、その程度も分からぬか!そこな出来そこないの女狐に騙されおって。王家特殊情報収集 の一人ハイケイ・モブ嬢がすべて詳細に調べておるわ。お主らの悪行を。出来そこないの女狐の取巻きとした馬鹿どもも安心するな!すでに、お主らは家から勘当されておる。なに、お主らも心配することはない。学籍はすでに剥奪されておるし、オロカナル・グシャ同様、家に戻らずとも出て行く準備はしておいた。最後に、オロカナル・グシャ。すでに、セイレン・ケッパク嬢との婚約は解消しておるから、いまさら婚約破棄する必要はないぞ。よかったな」

「俺は、聞いてない!」

「いや、すでに一ヵ月前には告げたはずじゃ。のう、ハイケイ・モブ嬢」

「はい、すでに記録し王家の記録保管場に保存しています」

「なによ、なによ、なによ!背景モブのくせに!私は、ヒロインの位置を乗っ取ったのよ!モブのくせに、でしゃばらないでよ!」

ハッハッハ、ヒロインの位置を乗っ取っただけで、本物のヒロインになれるわけないでしょ。

バッカじゃないの~♪

ぼくが、せーっかく作った世界を壊したくせに幸せになれると思わないでよね。ふざけるな。

私と同じように、ヒロインさんは自称神様の声が聞こえたのでしょう。

彼女は絶望でその場に崩れ落ちました。

ヒロインさんの取巻きたちはその美貌が台無しなほど怒りの表情を込めて、私に襲いかかろうとしました。

もちろん、私は血に塗れた釘バットで返り討ち。

ちなみに、この釘バットの血は自称神様のですよ。

「馬鹿だ馬鹿だと分かっておったが、そこまで愚かになり下がりおったか。ハイケイ・モブ嬢は、ただの男爵令嬢じゃないぞ。王家所有特殊情報収集する家で最も優秀な娘じゃ。モブ家の男爵という爵位は名義上じゃ。本来は、公爵家を名乗るに相応しい家。公爵の爵位を受けると、動くのに不便だといって初代のモブ家当主が拒否して、男爵位のまま。これくらい、お主らの立場なら常識のはずじゃがな」

王様は、彼らの行動に呆れかえりました。

そして、彼らの拘束の指示を出し拘束させました。

「ところで、ハイケイ・モブ嬢。例の準備はできておるか?」

「もちろんでございます」

「そうか。さすがは仕事が早いな。騎士団たち、奴らを森の奥深くの家まで連れて行け!」

「「「「「「「「「「「オウ!!!」」」」」」」」」」」

森の中に建てている家というのは、監禁専用に作られた建物です。

これで、軟弱な彼らでは一生出ることは不可能です。

いくら優秀と言われても、その程度では砂に埋もれる程度の一粒。

セイレン・ケッパク公爵令嬢や私のように突出した優秀さは全くありません。

『所詮、その程度』と嘲笑われるくらいの(自称)優秀さならありますが。



それにしても、自称神様。

次に、ゲームを元にした世界を作る時はちゃんと名前を考えてあげて下さい。

でないと、私は再び釘バットで自称神様退治を本格的にしますよ?

読んでくださり、ありがとうございました。

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