〖future〗 夢と希望と、祈りと願い。
【まえがき】
ある夜、ふと思いついた話です。
そこまで長くならない予定です。
全然興味なんてなかったのに、気付いたら二人の恋を応援している自分がいる……。
そんな百合っぽい話を目指しました。
各話、登場人物ごとに分けておりますが、実は『読みたい人だけを読む』というのも可能なように作文しております。時期は飛んでしまうかもしれませんが、焦点を変えてストーリーを見たいという方はぜひ、試してみてください。
後述しますが、〖 〗で囲われたタイトルを持つ話はサブエピソードになっております。なので、読まなくてもストーリーを進められるように、作文しております。読んでいただけると、その後のストーリーや、仕組まれたトリックに気づきやすいかと思われますので、時間があれば是非読んでみてください。百合度が高いのも特徴です。
本編前のプロローグになります。
うわめんどくさいと思った方は、第三章から読んでいただくと超面白いです。
※本作品は、より多くの皆様に読んでいただけるよう、大賞タグが貼られています。
もしも。
もしも、一つだけ『願い』が叶うなら。
どんな『願い』も一つだけ叶うと言うのなら。
あなたは何を願うだろう。
僕は何を願うだろう。
そんな、簡単な質問。
△▲△▲
空を飛びたい。
でも、着地に失敗したら死んでしまう。
賢くなりたい。
でも、何を基準にして賢いと定義しているのだろう。
強くなりたい。
でも、怪物みたいな外見になったら嫌だな。
格好良くなりたい。
でも、誰かしらは非難する。
お金持ちになりたい。
でも、お金が無限にあったらお金の価値が無くなってしまう。
王様になりたい。
でも、皆をまとめるリーダーシップは僕にはない。
魔法が使いたい。
でも、そんな力が使えたって便利なことだけじゃない。
人の心を読みたい。
でも、知らなくても良いことだってたくさんある。
未来を予知したい。
でも、未来を予知する未来を見てもしょうがない。
後悔したくない。
でも、振り返って悔いて反省しなければ納得できない。
過去をやり直したい。
でも、後悔するのがとても怖い。
死にたくない。
でも、誰かが死ぬのも見たくない。
何回でも『願い』を叶えられるようにしたい。
でも、今悩んでいるのは一つしか叶えられないからじゃない。
進むべき道を照らしたい。
でも、辿り着いたその場所は本当に望んだ場所なのだろうか。
何を願うか決めたい。
でも、それだけは叶わない。
『願い』が叶うと言うのに、僕は否定的なことしか考えられない。
もしかして、すでに満たされているということ?
いや、何を叶えようか悩む時点で満足はしていないのだろう。
悩まない心が欲しい。
悩まないとしたら、僕は何を叶えてしまうのか。
嫌な人を殺してしまうだろうか。
好きな人と結婚してしまうだろうか。
もしかしたら、他の人の願いを叶えてあげてしまうだろうか。
どれもこれも、何か満たしているようで何か満たされていない。
誰にも迷惑をかけない『願い』を僕は望むけれど、果たしてそんな『願い』があるだろうか。
空を飛ぶにしても「航空法」が、お金を持つにしても「税金」が、死人を蘇らせるのにも「人権」が、邪魔というか当然のように関わりを持ってくる。
ああ。
死ぬにしてもだ。
僕には、僕のために泣いてくれる人がいるのだ。
ならいっそ。
僕に関する記憶をみんなから全消去しようか。
……笑えない。
『願い』が一つ叶えられるというのに、自分自身の存在の抹消を願うだなんて。
僕の迷いは、叶えてしまった後に生じるはずの後悔から来ている。
後悔しない心を願わないのは、後悔したいから。
後悔しなければ、進んできた道が正しかったかどうかわからないと思うから。
でも、後悔はしたくない。
そんなジレンマが僕を底無しの苦悩の沼へ引きずり込む。
少なくとも、『願い』を叶えなければいけないという決まりはないのだ。
ならば、叶えなくてもいいのではないか。
僕自身、それを〈もったいない〉などと思うことはない。
けれど、叶えられるのなら、叶えなければ、叶えられない人への冒涜になるとも思うのだ。
言うなれば、自分で自分の進む道に靄をかけているようなもの、なのかもしれない。
でも。
きっと。
その道を進んだ先にはまた、同じ『願い』がある気がする。
△▲△▲
ああ。
僕は何を叶えるべきだろう。
そんな、難しい問題。
どうしてこんなにも悩まなければならないのだろう。
一つの『願い』が叶うだけなのに。
一つの『願い』が叶うのに。
ああ。
僕は何を叶えるべきだろう。
【あとがき】
「なんでも一つ願いが叶います」
そう言われたらどうしますか?
どう感じますか?
どう答えますか?
私は「詐欺かなー?」と疑いますね。
次回から本編に入りますよ!
あ。これは詐欺じゃないです。